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《櫻井ジャーナル》

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2011.07.20
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 盗聴事件で窮地に立たされているルパート・マードックはオーストラリア生まれで、米英などアングロサクソン系の国々のメディアに大きな影響力を持つ人物。支配層と緊密な関係にあることで知られ、巨大企業や富豪たちにとって都合の良い話を広めるプロパガンダ担当者として重要な役割を果たしてきた。

 マードックがメディアの世界に君臨する基盤は父親から受け継いだ資産。1952年に死亡した父親、キースから新聞社の株式を相続したのである。そうした中には「ザ・ニューズ」という夕刊紙を出していたアデレードの会社も含まれていた。父親の死後、ルバートはイギリスのオックスフォードから戻り、1956年には「TVウィーク」という週刊のテレビ雑誌を創刊している。

 1960年代になるとルパートは地方紙の買収を本格化、そのうちの1紙がシドニーの「デイリー・ミラー」である。この新聞は1964年にセンセーショナル記事を掲載し、話題になった。ある少女の日記に基づき、ハイスクール生徒の「乱交」に関する記事を掲載して13歳の少年を自殺に追い込んだのだが、この記事には大きな問題があった。個人的な問題を大々的に報じたというだけでなく、事実ではなかったのである。この日記は幻想を書いたに過ぎず、日記の筆者が処女だということが後に確認された。

 そうした事件があったにもかかわらず、マードックの新聞は1971年にも「乱交話」を大きく報じている。「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」がイギリスのテレビ局、BBCの人気番組に出演していた人の「乱交」を伝え、15歳の少女を自殺に追い込んだのだ。この話も「ファンタジー」に基づく「報道」だった。ルパートにとって、部数を伸ばす切り札は「乱交話」なのだろう。

 しかし、米英の支配層にとってルパートのこうした経歴は「傷」にならないらしく、彼の友人には大物が多い。例えば、1999年に38歳年下のウェンディ・デンと再婚した際に行われた少人数の結婚式に出席した人を見ると、ジョージ・H・W・ブッシュ大統領の息子、つまりジョージ・W・ブッシュ大統領の弟にあたり、住宅金融機関S&Lの不正融資に絡んで名前が出てきたニール・ブッシュ、あるいはロシアからロンドンに亡命した大富豪のボリス・ベレゾフスキー(亡命してからプラトン・エレーニンに改名)らが含まれている。

 言うまでもなく、ベレゾフスキーはボリス・エリツィン政権下のロシアでクレムリンと手を組み、「私有化」と「規制緩和」というかけ声の下、公正とは言えない手段で巨万の富を手に入れた人物。彼の交友関係には「ジャンク・ボンド」で有名なマイケル・ミルケン、そしてロスチャイルド卿と息子のナサニエル(ナット)・ロスチャイルドもいる。

 ロナルド・レーガンやトニー・ブレアもルパート・マードックと緊密な関係にある。例えば、1983年にレーガン大統領はイギリスを拠点とするメディア界の大物ふたりを呼んで軍事や治安問題で一緒に仕事のできる「後継世代」について語ったのだが、そのふたりとはルパート・マードックとジェームズ・ゴールドスミスだ。そしてBAPが組織された。トニー・ブレアを含め、ブレア政権にはBAPの関係者が少なくなかった。

 こうした仕組みを作ろうとした原因はイスラエル軍のパレスチナ人虐殺事件に対する世界的な反発。1982年9月、レバノンでファランジスト党のメンバーがイスラエル軍の支援を受けながら、無防備のサブラとシャティーラ、両キャンプを制圧、建造物を破棄すると同時に、数百人、あるいは3000人以上の難民を殺害、イギリス労働党の内部でもイスラエルの責任を問う声が大きくなったのである。

 こうした労働党のイスラエル離れに歯止めをかけ、再び「親イスラエル政党」へ引き戻したのがトニー・ブレアである。1994年1月にイスラエル政府はブレアと妻のチェリー・ブースをイスラエルに招待、その2カ月後にブレアはロンドンのイスラエル大使館で富豪のマイケル・レビーを紹介されている。イスラエル政府がブレアのスポンサーになったと言えるだろう。この年の5月に労働党の党首だったジョン・スミスが心臓発作で急死、ブレアが新党首に選ばれ、1997年の総選挙で労働党は勝利してブレアが首相になった。

 マードックは単なる「新聞屋」ではなく、巨大な権力システムでプロパガンダを担当している人物。だからこそ、これまでイギリスの警察も盗聴行為を不問に付してきた。権力層の内部で激しい闘争が始まっている可能性が高い。





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最終更新日  2011.07.20 17:34:03



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