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リビアの内乱にはフランス、イギリス、アメリカが深く関与している。前回、「攻撃の主体はイギリス軍であり、その傭兵として反政府軍が動いているようにも見える」と書いたが、その反政府軍に外国からの傭兵が多数、参加しているという報道がある。6月頃まで「革命軍」は1000名ほどの規模にすぎなかったことから、NATOが傭兵部隊を編成したというのである。
そうした部隊の中には、コロンビアの死の部隊に所属していた集団やカタールやアラブ首長国連邦の人間も含まれ、チュニジアの失業者やカダフィ体制に不満を持っていたリビア人が集められたという。アメリカがグアンタナモ収容所で拘束していた武装勢力のメンバーもリビアの反政府派に合流している。 カタールやアラブ首長国連邦の背後にはサウジアラビアが存在していると考えるべきであり、リビアの「革命」は英米仏と湾岸の独裁産油国が推進しているということになる。リビア国民は端役にすぎない。 アメリカとエジプトの特殊部隊が反政府軍を軍事訓練、エジプトからはカチューシャ・ロケットが運び込まれているとも伝えられていたほか、アメリカのCIAやイギリスのMI6やSASも秘密工作を展開中だとも報道されてきた。ベンガジの周辺ではそうした「西側の顧問」が目撃されているとも伝えられている。 カダフィ体制が崩壊した後、治安維持のためにカタール、アラブ首長国連邦、あるいはヨルダンから約1000名の兵士を連れてくる予定らしい。「革命」の主体はフランス、イギリス、アメリカであり、この欧米軍に湾岸のカタールやアラブ首長国連邦が協力していたことを考えれば当然だろう。 現在、反政府軍はTNC(暫定国民評議会)を前面に出している。その代表を務めているムスタファ・アブデル・ジャリルは、ムアンマル・アル・カダフィ政権で司法大臣を務めていた人物で、カタール人脈があると言われている。 もっとも、このTNCに反政府軍全体を統率する力はない。反政府軍の中心的な存在はNCLO(リビア反体制国民会議)だとされ、その傘下にはNFSL(リビア救済国民戦線)が存在している。そのほか、元内務大臣のアブデルファター・ユニス将軍をはじめとする軍からの離反組、サヌーシ教団の影響を受けているというベンガジの分離独立派、そしてLIFG(リビア・イスラム戦闘団)などが含まれている。 NFSLは西側諸国や中央アメリカ諸国でイスラエルやアメリカの訓練を受けてきたとも言われ、CIAの下でカダフィ体制の打倒を目指してきた勢力。またサヌーシ教団とはイスラム系の宗派で、1837年(1840年とする説もある)にサイード・ムハンマド・イブン・アリ・アッサヌーシーが創設したという。第1次世界大戦の頃、この教団を指導していたのがムハンマド・イドリースで、1951年にリビアが「独立」する際には国王(イドリース1世)に選ばれた。そういう意味で、サヌーシ教団は「王党派」でもある。 アル・カイダと結びついているLIFG(リビア・イスラム戦闘団)は1995年に創設された武装グループ。アフガニスタンでソ連軍と戦った経験があり、MI6(イギリスの情報機関)との関係も噂されている。 要するに、反政府軍は混成部隊であり、決して一枚岩ではない。7月には反政府軍の幹部、アブデル・ファター・ユニスが殺されているが、この出来事は「カダフィ後」のリビアを暗示している。ユニスはフランスのエージェントで、ムスリム同胞団の人間に暗殺されたと言われている。リビアだけでなく、アフリカ大陸全域の利権が絡んでくるだけに、相当の混乱を覚悟するべきだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2011.08.24 16:28:48
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