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シリアの反政府軍は大規模な戦争を始める準備をしていると伝えられている。これまでロシアや中国の反対でNATO(アメリカ、イギリス、フランス、トルコが中心)は本格的な軍事介入に成功していないが、シリアの場合も、10年近い時間をかけて体制転覆の準備をしてきたわけで、簡単には引き下がれない。
アメリカの場合、シリアのバシャール・アル・アサド体制を倒す工作を進めてきたのは親イスラエル派(ネオコン)や戦争ビジネスにつながる人びとで、イランの体制転覆にも熱心。ジョージ・W・ブッシュ政権を支えていた人たちということ。現在のバラク・オバマ政権ではヒラリー・クリントン国務長官が軍事介入に最も熱心なようだ。 政権全体が熱心だということになると、イギリスが一番手だろう。リビアにしてもシリアにしても、異様なほど軍事介入したがっている。北海油田の生産量がかなり落ちているようなので、経済状況は危機的。 過去を振り返ってみると、1970年代前半の石油価格暴騰で北海油田が採算に合うようになり、マーガレット・サッチャー政権で経済を持ち直すことができたわけで、その北海油田で稼げないとなると深刻な事態になる。何しろ、サッチャー政権は富裕層、大企業を儲けさせるため、イギリスの社会システムを破壊してしまった。 それはともかく、米英をはじめとするNATOはシリアの反政府軍にてこ入れをしてきた。最近ではロシア製の対戦車ミサイル、9K115-2メティスMや9M133コーネットを含む武器をアメリカ政府はサウジアラビアやカタール経由で供給、トルコはIED(路肩爆弾)の使い方をシリアの反政府軍に訓練しているともいう。軍事訓練は昨年の春から米空軍インシルリク基地などで実施してきたが、最近ではコソボの施設でゲリラ戦の訓練を本格化すると言われている。 こうした支援だけでなく、自国の特殊部隊を潜入させている国もあるようだ。イスラエルの報道ではカタールとイギリスが、ウィキリークスが公表した民間情報会社のストラトフォーの電子メールでは、アメリカ、イギリス、フランス、ヨルダン、トルコといった国の名前が挙がっている。 当初、「西側」はホウラ地区の虐殺をシリア軍による砲撃によるものだとしていたが、大半は至近距離から射殺されたりナイフで殺されていることが判明している。 すると、反シリア軍派はシリア政府を支持しているシャッビアが殺したと言い始めた。実行犯を名指しているということは、覆面を被らず、素顔で殺していったということなのだろう。国連人権高等弁務官もシャッビアの犯行だという説を受け入れているようだ。 この虐殺には多くの疑問点があるが、そのひとつが犠牲者の出身家族。殺された多くの子どもは政府を支持しているアラウィー派(大統領を含め、党や軍の幹部に多い)だと言われているのである。 昨年の春、シリアで内戦が始まった直後からスナイパーが住民を射殺しているという話は出ていたが、いまだに正体は不明である。シリア政府側の人間だとする人もいるが、現地を取材したウェブスター・タープリーは反政府軍側だと断言している。 本ブログでは何度か書いたことだが、NATOには「秘密部隊」が存在していた、あるいはしている。1970年代に発覚、1990年にイタリア政府が公式に認めている。この組織は街角で爆弾を炸裂させるだけでなく、要人を暗殺していた疑いが濃厚である。フランスのシャルル・ド・ゴール大統領暗殺未遂、アメリカのジョン・F・ケネディ大統領暗殺、イタリアのアルド・モロ元首相の誘拐殺人などでも噂になった。 また、アメリカにはSOA(現在はWHISCまたはWHINSEC)というテロリスト養成所がある。ラテン・アメリカの軍人を集め、狙撃訓練、ゲリラ戦、心理戦、軍事情報活動、尋問手法などの訓練を実施している。帰国後に「死の部隊」を編成して反対派を殺害ていくことも珍しくなかった。 要するに、NATOにしろアメリカにしろ、非武装の住民を殺すことくらい、何とも思っていない集団が存在している。 現在、コフィー・アナン元国連事務総長が主導している和平工作は風前の灯火である。最初から軍事介入を主張しているNATOや湾岸産油国などにしてみると好ましい展開なのだろうが、住民にとっては絶望的な状況だ。現在の事務総長、潘基文よりマシだとは言うものの、アナンも学生時代から背後にはフォード財団がついているようなので、残念ながら、期待しすぎることはできない。 6月3日までアメリカのバージニア州にあるウェストフィールズ・マリオット・ワシントン・ダレス・ホテルでビルダーバーグ・グループの会議が開かれるようだが、ここでシリア問題に関しても、何らかの話し合いが行われ、今後の行動が決まるかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2012.06.02 03:30:53
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