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《櫻井ジャーナル》

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2012.11.21
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 野田佳彦首相はTPP(環太平洋パートナーシップ)協定を死に物狂いで推進しようとしている。アメリカの巨大多国籍企業を儲けさせる仕組みにすぎないということで、日本でも多くの人が反対しているのだが、支配層は「賛成」の大合唱。その意向を受けてマスコミも熱心に宣伝してきた。

 民主党にしろ、自民党にしろ、内部に反対意見を抱えているが、民主党は野田首相が議員に強要、自民党も「国益が守られれば交渉」すると矛盾したことを言っている。維新の会も「原則的に賛成」だとしている。要するに、マスコミが大きく取り上げる政党は賛成に軸が移動している。

 TPPはアメリカの多国籍企業を儲けさせることが目的だが、そのアメリカでも反対の声が挙がっている。まず批判されているのは交渉の秘密性。交渉内容を知っているのは多国籍企業の幹部だけで、庶民は漏れ出てくる情報から知るだけ。どうやら、通常の経済活動、自然環境、人間の健康、労働者、消費者などを守るための規制が無力化する可能性が高い。

 ところで、最近、アメリカの支配層の中に、露骨なカネ儲けの亡者が現れた。支配層の本音をあからさまに主張しているのだ。その代表的な存在が石油業界の大物、チャールズとデイビッドのコーク兄弟。環境規制に反対して気象学者を敵視、経済面では富裕層への税率を徹底的に下げ、社会保障は最低限のとどめるべきだとしている。TPPは、こうした富裕層の願望を実現する道具として使われるだろう。

 TPPには、行政が環境破壊や健康被害を守ることを許さない条項も入れられそうだ。それがISDS(国家投資家紛争処理)条項。オーストラリア政府が交渉の中でこの条項を協定に入れることを拒否しているようだが、当然だろう。

 本ブログでも何度か書いたことだが、現在、オフショア市場/タックス・ヘイブンの無法ぶりが問題になっている。特に、1970年代に整備されたロンドンを中心とするネットワークが批判の対象だ。TPPはこうした金融取引の規制を拒否するだろう。

 この仕組みを使って多国籍企業や富裕層は資産を隠し、課税を免れている。アメリカやイギリスはターゲット国の富を搾り取るため、王制をでっち上げたり、軍事独裁者を作り上げてきた。そうした人びとが支配する国に融資した資金はオフショア市場にある独裁者の個人口座へ流れていく。つまり、「西側」の金融機関に資金は還流する。あとは独裁者に支配されている人びとが借金を返済していくわけだ。勿論、麻薬業者をはじめとする犯罪組織も、こうしたネットワークの上得意である。

 ベトナム戦争にしろ、ニカラグアの反革命ゲリラ支援にしろ、アフガニスタンにおけるソ連との戦闘にしろ、あるいはコソボ独立にしろ、CIAは麻薬業者と手を組んできた。メキシコも長い間、麻薬業者に支配されていたのだが、この支配グループがNAFTA(北米貿易協定)を支持していたことから、アメリカ政府は黙認してきた。

 NAFTAのおかげで麻薬の密輸やマネー・ロンダリングが容易になったようだが、2006年にはメキシコで麻薬資金のロンダリングを金融機関が行っている実態の一部が明るみに出ている

 UNODC(国連薬物犯罪事務所)によると、2008年における麻薬取引の利益、3520億ドルの大半がオフショア市場を経由して金融システムの中に流れ込み、その重要な一部を占めるようになっている。2009年に犯罪組織がロンダリングした資金は1兆6000億ドルに達し、その5分の1は麻薬取引だという。

 TPPは多国籍企業や富豪だけでなく、犯罪者の利益にもなりそうだ。3者とも似たようなものかもしれないが。





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最終更新日  2012.11.22 04:46:29



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