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ゴラン高原にはUNDOF(国連兵力引き離し監視軍)が駐留している。シリアとイスラエルの停戦を監視するため、非武装地帯に駐留しているのだが、オーストリア政府は自国の部隊を撤退させると発表した。
元々、この地域はシリア領だった。1967年にイスラエル軍が軍事侵攻、占領したのである。国連もイスラエルの併合を無効だと決議しているのだが、現在に至るまで支配している。「国際社会」とやらはイスラエルに対して寛容だ。 オーストリア政府の決定は、シリア情勢と無関係ではないだろう。イスラエルの情報機関、モサドと近いと言われるメディア、デブカ・ファイルによると、シリアの首都ダマスカスは政府軍が制圧、戦闘はほぼ終了した。レバノンから反シリア政府軍への補給拠点になってきたアル・クサイルも政府軍が押さえたと伝えられている。 6月3日にイスラエルのモシェ・ヤーロン国防相は国会でシリア情勢について報告、反シリア政府軍がまだダマスカスの4地区を支配、政府軍はシリア領の40%をコントロールしているだけだと説明したのだが、これは嘘だとデブカ・ファイルは伝えている。シリア全土を政府軍が制圧しつつあるということだ。 アメリカでは、反政府軍へアメリカ政府が直接、軍事支援することを認める法案を上院外交委員会のロバート・メネンデズ委員長とボブ・コーカー議員が提出、ジョン・マケイン上院議員はトルコからシリアへ入り、反政府軍の幹部と数時間にわたって会談した。一方、イギリスやフランスは軍事介入を実現しようと必死。EUの外相理事会で両国は強引に反シリア政府軍への武器禁輸を解除すると決定させている。それほど焦っているわけだ。 2001年秋の段階でネオコン(親イスラエル派)はイラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンを攻撃することにしていたとウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官は語っている。また、2007年に調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュが書いた記事によると、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアはシリアやイランをターゲットにした秘密工作を開始していたという。 イスラエルの思惑としては、シリアもリビアのように片づけ、レバノンを制圧すればヒズボラも叩けると計算していたのだろう。が、シリアで目算が狂い、ヒズボラは弱体化するどころか、イスラエルとゴラン高原で軍事衝突する可能性が出てきた。オーストリア軍が撤退する理由はその辺にありそうだ。そうした動きを受け、ロシア政府は部隊をゴラン高原へ派遣する用意があると表明したが、国連は断ったという。イスラエルの友好国でなければ困るということなのだろう。 また、シリアへの軍事介入を支えてきた国のひとつ、トルコではレジェップ・タイイップ・エルドアン首相の足下に火が付いた。エルドアン首相もシリアの体制を簡単に倒せると踏んでいたのだろうが、思惑は外れた。彼の政策に対する国内の不満を押さえきれなくなり、反政府運動は全国に広がりつつある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2013.06.09 02:21:59
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