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《櫻井ジャーナル》

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2013.08.26
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 アメリカとイギリスは1、2週間のうちにシリアを攻撃する計画を立てているという情報が流れている。イラク攻撃前の「デジャビュ」だと言う人も少なくない。8月24日に両国の首脳、つまりアメリカのバラク・オバマ大統領とイギリスのデイビッド・キャメロン首相が電話で40分にわたって会談、そこで軍事行動について話し合われたようだ。

 もっとも、23日付けのツイッターでCBSのエグゼクティブ・プロデューサー、チャーリー・ケイはアメリカの国防総省がシリア政府軍に対する巡航ミサイルでの攻撃を準備中で、艦船をシリアへ接近させていると書き込んでいる。土曜日の電話会談は最終調整だったのかもしれない。

 本ブログですでに書いたことだが、「シリアを攻撃するなら、早い段階で実行しないと反政府軍の主張が崩れてしまう可能性が高」く、国連の「調査が進む前に巡航ミサイルで攻撃し、すでにダマスカスの市内、あるいは近郊に潜伏していると見られる500名ないし600名の特殊工作部隊に攻撃させることも考えられる」。空爆は地中海からだけでなく、ヨルダンで待機しているF-16を利用、化学兵器が使われたとされる地域を念入りに攻撃して証拠隠滅を図る可能性がある。

 今年3月のケースでは、状況から見て毒ガスを使ったのは反シリア政府軍だとイスラエルのハーレツ紙は分析、国連独立調査委員会メンバーのカーラ・デル・ポンテも反政府軍が化学兵器を使用した疑いは濃厚だと発言している。今回も状況証拠は反政府軍を指し示している。

 反政府軍はリビアから化学兵器を持ち込んだと以前から言われている。ジョージ・W・ブッシュ政権でコリン・パウエル国務長官の首席補佐官を務めたローレンス・ウィルカーソン退役大佐はイスラエルを疑っている。トルコやヨルダンでは反政府軍の戦闘員に対して化学兵器の取り扱いも教えていたとも言われている。化学兵器の入手ルートは沢山あるということ。

 今年6月、イラクでアル・カイダの化学兵器工場が摘発されていることから、そうした「自家製」の毒ガスがシリアへ持ち込まれている可能性も指摘されている。アル・カイダはイラクで塩素ガスを使っていた。

 シリアの体制転覆プロジェクトを指揮しているのはシリア駐在大使のロバート・フォードだと見られている。2010年12月、つまり体制転覆プロジェクトが本格化する直前に指名され、翌年の1月に赴任しているのだが、注目されているのはその前歴。2004年から06年にかけて、イラクでジョン・ネグロポンテ大使の下で活動しているのだ。ネグロポンテは1981年から85年、死の部隊が暴れ回っていた時期にホンジュラス駐在のアメリカ大使を務めていた。

 ネグロポンテ大使の時代、イラクで特殊警察コマンドの訓練をしていたのがジェームズ・スティール退役大佐。1984年から86年にかけてエル・サルバドルへ軍事顧問団の一員として入っている、つまり死の部隊を使い、アメリカの巨大資本にとって邪魔な存在を殺害する作戦を背後から指揮していたということだ。イラクでも死の部隊を編成していたという。スティールはネオコン(親イスラエル派)のポール・ウォルフォウィッツに近いことでも知られている。

 要するに、フォード大使は「死の部隊人脈」ということ。「アラブの春」では「サルバドル・オプション」と呼ばれる殺戮作戦が展開されているようだが、その源はこの人脈にあると言えるだろう。中東/北アフリカではアル・カイダが死の部隊として機能している。アメリカやイギリスの軍事攻撃があるとするならば、それも大量殺戮プロジェクトの一環ということになる。

 実際のところ、アメリカは化学兵器の使用に寛容である。アメリカ政府は激しく否定しているが、ベトナム戦争でサリンを使った疑いは濃厚。それだけでなく、イラン/イラク戦争でイラク軍が1983年から化学兵器を使用していたこと知りながら沈黙していたことも判明している。(反シリア政府軍の化学兵器使用にも「寛容」ということ。)

 1988年にイラン軍が防御の甘い場所を狙って大攻勢を仕掛けるとアメリカ軍は衛星写真で察知、その情報をアメリカはイラクに提供し、イラクが化学兵器を使うことを黙認したのだ。イランの攻勢が成功するとバスラが陥落する可能性があり、そうなるとイランの勝利で戦争が終わる可能性があった。それをアメリカは嫌ったということ。この年、イラク軍はクルド系住民の住む村も化学兵器で攻撃しているが、これもアメリカは容認している。シリア攻撃を計画しているとするなら、それは「人道」以外の理由があるからだ。





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最終更新日  2013.08.27 12:35:51



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