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《櫻井ジャーナル》

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2013.09.12
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 アメリカ政府などシリアの体制転覆を目指している勢力は、「傀儡軍」としてアル・カイダを使っている。その実態があからさまになったのは、リビアのムアンマル・アル・カダフィ体制を崩壊させたとき。

 シリアも同様だが、体制転覆をなかなか実現できず、「西側」は劣勢の反政府軍を支援するために直接的な軍事介入を目論んだ。その口実として持ち出してきたのが「政府軍による化学兵器の使用」だが、ロシア政府は反政府軍が使ったことを示す情報を明らかにし、それ以外にも化学兵器を使っているのは反政府軍だする証言が相次いでいる。

 2011年に始まった中東/北アフリカの体制転覆プロジェクトでは、サウジアラビアとカタールが傭兵を雇ってきた。「独裁者」に対する「民衆の反乱」という構図に陶酔していた自称左翼もいたようだが、実態は違う。アメリカをはじめとする「西側」の支配に対して造反している国が攻撃されているのだ。

 最近、カフカス(グルジアやチェチェンなど、黒海とカスピ海にはさまれた地域)出身者で構成された戦闘部隊がシリアで編成されたと伝えられているが、ここに来て別の情報が話題になっている。サウジアラビアが死刑囚を戦闘員としてシリアへ送り込んでいるという。サウジアラビア政府は否定しているらしいが、斬首されたくなければシリアで反政府軍に加われということのようだ。

 その内訳は、シリア人254名、サウジアラビア人212名、パキスタン人203名、イエメン人110名、スーダン人96名、エジプト人94名、ヨルダン人82名、ソマリア人68名、クウェート人44名、アフガニスタン人32名、イラク人23名、パレスチナ人21名。

 実は、ベトナム戦争の際にアメリカの情報機関と特殊部隊が実行した住民皆殺し作戦、フェニックス・プログラムでも似たことが行われている。この作戦の実働部隊だったのは傭兵で構成されたPRUで、メンバーの中心は殺人、レイプ、窃盗、暴行などで投獄されていた囚人たちだという。これまで反政府軍が残虐行為を繰り返してきた一因はこの辺にあるのかもしれない。

 ベトナム戦争でアメリカは敗北したが、シリアでも「負け戦」になっている。欧米ではアメリカの直接的な軍事介入に反対する世論が盛り上がり、アメリカ議会もシリアとの開戦に反対する意見が強い。イスラエルやサウジアラビアからの圧力で戦争に向かって動き出したのだが、進退窮まり、ロシアの提案を受け入れる形でシリアに対する直接的な攻撃はひとまず遠のいた。

 しかし、体制転覆を求める勢力は存在しているわけで、これでシリアに平和が戻るとは言えない。アメリカ政府は反政府軍に対して公然と武器を供給しはじめ、シリア沖に軍艦を集結させている状況に変化はない。8月17日と19日にシリアへ潜入した約550名の特殊工作部隊も撤退してはいないだろう。この部隊はアメリカ、イスラエル、ヨルダンの特殊部隊員が率いている。

 それ以前にもシリアへは外部から特殊部隊が潜入していると推測されている。イギリスとカタールの特殊部隊が潜入しているとイスラエルのメディアが報道したほか、民間情報会社ストラトフォーの電子メールにはアメリカ、イギリス、フランス、ヨルダン、トルコの特殊部隊が入っているという推測もある。

 こうした部隊と連携して体制を倒すはずだった「西側」の海軍や空軍も臨戦態勢は解いていない。例えばアメリカ軍が地中海に配備した艦船は、5隻の駆逐艦、1隻の揚陸艦、そして紅海にいる空母ニミッツと3隻の軍艦など。

 アメリカ軍がシリアを攻撃してもロシア軍は手出しできないとネオコンのジョン・マケイン上院議員は宣伝しているようだが、これは1991年に同じネオコンのポール・ウォルフォウィッツが言っていたこと。だから安心して攻撃しようということなのだろうが、アメリカ国民の多くには支持されていない。

 しかも、ロシア側も軍艦を地中海の東部に集結させつつある。NATOから「空母キラー」と呼ばれている巡洋艦のモスクワを中心に、フリゲート艦2隻、電子情報収集艦、揚陸艦5隻、さらにコルベット艦2隻が合流しつつある。駆逐艦(対潜水艦)はモスクワと交代で、ウラジオストックへもどるようだ。

 流れは戦争回避の方向に動いているが、危険な状態が続いていることも確かだ。





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最終更新日  2013.09.13 04:16:31



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