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《櫻井ジャーナル》

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2014.02.15
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 昨年11月に大使として日本へ赴任したキャロライン・ケネディにNHKはインタビューを申し込んでいたが、今年2月になって断りの回答があったようだ。大使本人やワシントンの意向だという。NHKを通じてメッセージを伝えることで得られるメリットより、番組に出ることによるデメリットの方が大きいということだろう。

 こうした判断をした理由は、言うまでもなく、安倍晋三首相が任命した経営委員や、その新委員を含む経営委員会によって選任されたNHK会長の発言にある。

 そうした新委員のひとりで昨年11月に任命された小説家の百田尚樹は、極東国際軍事裁判(東京裁判)について、東京大空襲や原爆投下を「悲惨な大虐殺」を「ごまかすための裁判だった」と主張しただけでなく、南京大虐殺も否定したという。事実を見ず、妄想の世界へ入り込んでいる。

 また、12月に任命された埼玉大学名誉教授の長谷川三千子は「大悲会」の会長だった野村秋介に対する追悼文の中で、「人間が自らの命をもつて神と対話することができるなどといふことを露ほども信じてゐない連中の目の前で、野村秋介は神にその死をささげたのである」としたうえ、野村氏の自殺によって「わが国の今上陛下は(『人間宣言』が何と言はうと、日本国憲法が何と言はうと)ふたたび現御神となられたのである」としている。完全にカルトの領域へ入っている。

 NHKの新会長、籾井勝人は「従軍慰安婦」について「どこでもあったと思いますね、僕は」と根拠を示さずに断言、だから日本だけが非難されるのはおかしいと主張した。しかも、韓国を恐喝犯であるかのように表現している。

 前にも書いたことだが、東京裁判に問題があることは確かだが、アメリカの支配層はこの儀式によって日本の戦争責任を問う声を封印し、支配構造(天皇制官僚国家)を維持しようとしたのだ。身代わりを立て、昭和天皇や朝香宮鳩彦(昭和天皇の叔父)たちを助けたということ。この儀式を否定するということは、戦争責任の問題を蒸し返すことに通じ、昭和天皇や朝香宮鳩彦の問題も議論され、靖国神社を存続させた理由も問われる可能性が出てくる。

 靖国神社が日本の東アジア侵略を象徴する存在だということは否定できない。日本が降伏し、占領されていた時代、GHQ/SCAPの内部では将校の多数が靖国神社の焼却を主張していたという。そうした意見を封じ込めたのがイエズス会(カトリックの一派)のブルーノ・ビッテル(ビッター)やメリノール会(同)のパトリック・J・バーンだった。ビッテルはCIAとつながっていた可能性が強く、「闇ドル」を扱っていた。

 東京裁判を否定するということは、その前提になったポツダム宣言の受諾、つまり日本の降伏を否定することになり、戦後日本を否定することにもつながる。ポツダム宣言の前からやり直すということは、降伏するのか戦争を続行するのかというところから再開することになり、昭和天皇や朝香宮鳩彦の戦争責任も問われ、靖国神社の存続も議論されることになるだろう。勿論、国連からは追放だ。

 新しい会長や経営委員の発言に問題があることは確かだが、それがなくてもNHKの報道は信頼されなくなっていた。東電福島第一原発の事故で偽情報を流して批判されたが、それだけでなく、「特定秘密保護法」、「国家安全保障基本法案」、そして国から政策決定権を奪って「国境なき巨大資本」が支配するシステムを作るTPPについても、まともに報道していない。つまり、情報源としての価値はゼロに近い。

 それ以上にひどいのが国際情勢に関する報道。リビアやシリアなど中東/北アフリカの情勢に関する「西側」の報道は「西側」やペルシャ湾岸諸国のプロパガンダで、そうしたプロパガンダの中からさらに自己検閲で選んだ話を日本のマスコミは流してきた。「西側」や湾岸諸国にとって都合の悪い話は伝えない。

 「国境なき記者団」なるNGOが発表した2014年の「報道の自由度インデックス」によると、イギリスは33位、アメリカが46位、そして日本は59位なのだという。シリアへの軍事侵略を正当化するために明らかな偽情報を伝えていたイギリスとアメリカがこれほど上位にランクされているとは驚きだ。日本において「ジャーナリズム」は絶滅に近い状態なわけで、本来ならランキング外だろう。

 シリアだけでなく、ラテン・アメリカ、ユーゴスラビア、アフガニスタン、イラク、イラン、リビア・・・イギリスやアメリカなど「西側」のメディアは巨大資本のためにプロパガンダを続け、巨大資本にとって都合の悪い情報は封印している。イスラエルやサウジアラビアが人権を無視した政策、虐殺行為、テロ組織支援などについても触れようとしない。そうした状態だからこそ、WikiLeaksやエドワード・スノーデンのような存在に意味があるわけだ。

 このランキングを発表した「国境なき記者団」は1985年にフランスで設立され、「人権」や「言論の自由」を掲げている。活動資金の約4分の1は個人からの寄付なのだが、中身を見ると興味深いものがある。投機家ジョージ・ソロスのソロス基金、反カストロの姿勢が鮮明なCFC(自由キューバ・センター)、CIA(中央情報局)の秘密工作では常連のNED(ナショナル民主主義基金)が含まれているのだ。

 国境なき記者団の創設者、ロベ−ル・メナールがCFCから資金を引っ張るときに交渉した相手はオットー・ライヒ。ロナルド・レーガン時代にはニカラグアの反革命ゲリラ「コントラ」を支援する秘密工作に深く関与していた人物で、ラテン・アメリカの軍人を訓練し、アメリカ巨大資本の傀儡である軍事独裁政権を作り上げてきたWHINSEC(治安協力西半球訓練所/かつてのSOA)にも関係している。

 WHINSEC/SOAの出身者は帰国後、民主的に成立した政権を軍事クーデターで倒したり、巨大資本のカネ儲けにとって邪魔な人びとを虐殺してきた。ライヒは2002年にベネズエラ政府をクーデターで倒そうとしたチームの一員としてもオットーの名前は挙がっている。そのベネズエラのランキングは第116位なのだという。ある意味、納得できる。「国境なき記者団」とは、そういう団体だということだ。





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最終更新日  2014.02.15 17:37:14



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