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ウクライナの戦いは二重構造になっている。ひとつは西部と東/南部の地域的な対立であり、もうひとつは「国境なき巨大資本」の支配を受け入れるか、ロシアにつくのかという経済的な対立である。地域対立には人種差別がからみ、巨大資本はネオ・ナチと結びついている。
大まかに言って、暫定政権を支えているのは西部に住み、巨大資本に好意的な人びとなのだが、作り上げたのはネオ・ナチ。棍棒、ナイフ、チェーンなどを手に、石や火炎瓶を投げ、途中からピストルやライフルを撃ち始め、警官隊(ベルクト)の隊員を拉致、拷問したうえ、殺害している。目を潰された状態で発見された隊員の死体もあるようだ。 事態を悪化させたのは狙撃だが、アレクサンドル・ヤキメンコSBU(ウクライナの治安機関)元長官によると、最初の狙撃はアンドレイ・パルビーなる人物が制圧していたビルから。このパルビーはネオ・ナチの「ウクライナ社会ナショナル党」を創設したひとり。この政党は後に党名を「スボボダ(自由)」へ名称を変えている。今は国家安全保障国防会議(国防省や軍を統括する)の議長だ。 キエフでクーデターの拠点になった広場への出入りを管理していたパルビー。武器の持ち込みも彼の許可が必要で、スナイパーが彼の指揮下にあったことは間違いないと見られている。しかも、狙撃チームはアメリカ大使館を根城にしていたという。 エストニアのウルマス・パエト外相がEUのキャサリン・アシュトン外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者)に電話でキエフの状況を報告する電話が盗聴され、インターネット上に公開されたのだが、それによると、パエト外相は次のように言っている: 「全ての証拠が示していることは、スナイパーに殺された人びと、つまり警官や街に出ていた人たち双方、そうした人びとを同じスナイパーが殺している。同じ筆跡、同じ銃弾。実際に何が起こったかを新連合(暫定政権)が調査したがらないほど、本当に当惑させるものだ。スナイパーの背後にいるのはヤヌコビッチでなく、新連合の誰かだというきわめて強い理解がある。」「新連合はもはや信用できない。」 「アノニマス」と名乗る集団がハッキングで入手した「電子メール」なる文書が公開されているのだが、その中にはアメリカの駐在武官補佐官ジェイソン・グレシュ中佐とウクライナ参謀本部のイーゴリ・プロツュクとの間で交わされたものがある。 それによると、ロシア軍の軍服を着せた戦闘員にウクライナ軍基地を襲撃させ、ロシアがウクライナへ侵攻しているように見せかけようとしていた。ロシア軍の特殊部隊を装ってメリトポールのウクライナ空軍第25基地を3月15日までに、つまりクリミアで住民投票が行われる前に襲撃するよう、グレシュ中佐は指示している。 ネオ・ナチはアメリカ/NATOと結びついているのだが、「EU幻想」からビクトル・ヤヌコビッチ大統領に反対した人びとの中にはネオ・ナチを嫌う人もいる。パエト外相にキエフの状況を教えたひとりは、そうした人だ。 ネオ・ナチが目立つと、暫定政権は「民主化勢力」とは言いにくくなる。そこで右派セクターを率いていたひとり、アレキサンダー・ムージチコが「処刑」されたのかもしれない。殺された本人が死の直前に録画した映像によると、自分を殺そうとする人間がいて、ロシアの情報機関に責任をなすりつける計画もあるとしている。 暫定政権はネオ・ナチのクーデターで成立した。治安機関は勿論、軍の内部にも離反者がいるようで、東部や南部の都市でクリミアの後を追う動きが出てくると、対応できなくなりかねない。そうなるとネオ・ナチに頼るか、傭兵会社の戦闘員を雇うことになる。実際、ネオ・ナチで「親衛隊」を編成するようで、数百人規模の傭兵がウクライナに入っているとも言われている。 国家安全保障国防会議の副議長を務めるドミトロ・ヤロシュは右派セクターを引き入れいるひとり、つまりムージチコの仲間だが、アル・カイダのドッカ・ウマロフなる人物に支援を求めた可能性がある。アル・カイダがウクライナにも入り込むかもしれない。 オリガルヒや巨大資本のカネ儲け、ネオ・ナチの暴力、場合によってはアル・カイダの参戦、そしてアメリカの傭兵・・・。ウクライナの暫定政権を「民主的」だと主張することは難しくなってくるだろう。それでもマスコミは「大東亜共栄圏」的な物語を語り続けていくのだろうか? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.03.27 05:46:35
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