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《櫻井ジャーナル》

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2014.03.30
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 ネオ・ナチを使ってクーデターを実行したのはオリガルヒ(一種の政商)や「西側」の「国境なき巨大資本」。彼らは「融資」という形式で資産略奪の仕組みを築き始めた。ウクライナ政府が保有していた金塊もアメリカへ持ち去られたと言われている。ウクライナ議会は「危機対策法」を承認、緊縮政策、つまり庶民から搾り取る準備が進んでいる。とりあえず庶民の年金を半減させるようだが、当然、それだけではすまない。

 こうした「西側」の傀儡ファシスト政権を拒否する動きはクリミアだけでなく、ウクライナの東部や南部、かつてロシア領だった地域に広がっている。元軍人、治安部隊「ベルクト」などウクライナ内務省の元職員などで武装グループを構成、その人数は7万人とも伝えられている。

 クーデターの際、ネオ・ナチは棍棒、ナイフ、チェーンなどを手に石や火炎瓶を投げ、途中からピストルやライフルを撃ち始め、ベルクトの隊員を拉致、拷問したうえ、殺害している。目を潰された状態で発見された隊員の死体もあるようだ。このベルクトを内務大臣は解散させた。こうした事情があるため、軍や警察の内部には暫定政権に対する怒りを持っている人は少なくないはずで、暫定政権としては手強い相手。

 それに対し、議会は6万人規模の国家警備軍を創設する法律の制定を採択したというのだが、メンバーはネオ・ナチになり、ナチスの「親衛隊」に近い存在になるだろう。反キエフの勢力を鎮圧するため、こうした部隊を創設するほか、アメリカの傭兵会社アカデミ(旧社名はブラックウォーター)などから戦闘員を雇い始めているようだ。イスラム教スンニ派の戦闘集団が入ったとも言われている。

 反クーデター派の動きが最も素早かったのはクリミア。ネオ・ナチやイスラム教の武装勢力が侵入するのを防ぐために自衛軍を編成、外部からの侵入をチェックしていた。すでにイスラム教スンニ派の戦闘員がタタール系住民を装って潜り込んだとも言われたが、大きな混乱はなかった。

 自治共和国最高会議はロシアへの編入を全会一致で議決、3月16日には住民投票が実施され、投票率は83.1%に達した。96.7%がロシアへの編入に賛成している。ロシア系住民云々というような次元の話ではない。非ロシア系住民もファシストやオリガルヒの体制下で生活したくはないということだろう。

 しかも、ここにきてネオ・ナチの一部と暫定政権との関係が悪化している。右派セクターなどは自分たちがファシストであることを隠さず、「民主的勢力」を装いたいオリガルヒ、そして後ろ盾になっている「西側」の巨大資本としては、目障りな存在になっていた。

 そうした中、右派セクターを率いていたひとり、アレキサンダー・ムージチコ(別名、サーシャ・ビリー)が警官隊に射殺された。1994年にチェチェンでロシア軍との戦闘に参加、その残虐さで有名になり、95年にウクライナへ戻ると犯罪の世界へ足を踏み入れたという経歴の持ち主。クーデター後、検察官事務所に押しかけてスタッフを罵倒、暴力を振るったり、武装解除を求めてきた暫定政権の人間を恫喝している。

 内務省の発表では、3月12日にムージチコは警察に指名手配され、ウクライナ西部のレストランにいることをつかんだ特殊部隊が踏み込み、銃撃戦の末に容疑者は射殺されたということになっている。

 それに対し、ウクライナ議会のアレキサンダー・ドニ議員によると、ムージチコの乗った自動車が2台に自動車に止められ、彼はそのまま拉致され、後ろ手に手錠された状態で外へ放り出され、心臓へ2発の銃弾を撃ち込まれたのだという。

 仲間を殺されたということで、右派セクターはアルセン・アバコフ内務大臣の解任と殺害に関与した特殊部隊員の逮捕を要求している。彼らによると、殺害を支持したのは内務大臣だという。このアバコフはオリガルヒのひとりだ。

 ムージチコ自身も自分が命を狙われていることに気づいていたようで、その辺の事情を説明する映像を残し、10日前にYouTubeへアップロードしている。検事総長室や内務大臣が彼の処分を決定、殺害するか、捕まえてロシアへ引き渡し、全ての責任をロシアの情報機関になすりつけて非難する段取りになっているとしていたという。

 クーデターの際、その指揮官はアンドレイ・パルビーだったと言われている。話し合いでの解決を不可能にした狙撃もパルビーがコントロールする場所で始まった。後に暫定政権を作る勢力の中にスナイパーを使っていた人物がいることは、EUも早い段階で知っていた。ネオ・ナチのメンバーは棍棒、ナイフ、チェーンなどを手に、石や火炎瓶を投げ、トラックやブルドーザーを持ち出し、ピストルやライフルを撃ち始めるが、現場を修羅場にしたのは2月22日の狙撃開始。

 25日にキエフ入りして調査したエストニアのウルマス・パエト外相は翌日、EUのキャサリン・アシュトン外務安全保障政策上級代表(外交部門の責任者)へ電話で次のように報告している:

 「全ての証拠が示していることは、スナイパーに殺された人びと、つまり警官や街に出ていた人たち双方、そうした人びとを同じスナイパーが殺している。同じ筆跡、同じ銃弾。実際に何が起こったかを新連合(暫定政権)が調査したがらないほど、本当に当惑させるものだ。スナイパーの背後にいるのはヤヌコビッチでなく、新連合の誰かだというきわめて強い理解がある。」「新連合はもはや信用できない。

 しかし、「西側」が支援している勢力を守るため、つまり「西側」の巨大資本へウクライナの利権を提供するため、この報告をアシュトンは封印する。ネオ・ナチを守ったということにもなった。この事実を報道しないメディアも同じことだ。

 パルビーはアメリカの特殊部隊ともつながっているようで、右派セクターが反旗を翻した場合は鎮圧側につくのだろうが、戦乱に発展する可能性はある。そこで「国際治安支援部隊」と称してNATO軍がウクライナへ入って来たなら、ロシア軍も黙ってはいないだろう。

 「西側」がウクライナでクーデターを実行したひとつの理由は、ロシアからクリミアにある軍事拠点を奪うことにあった。この目論見は今のところ、失敗。ロシアを制圧するためには、どうしても潰しておきたかったはず。

 ビル・クリントン米大統領はロシアを属国扱いし、あのボリス・エリツィン露大統領を怒らせたそうだが、アメリカ支配層の精神構造に変化がなく、クリミアを奪おうとするなら、第3次世界大戦に発展する可能性がある。





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最終更新日  2014.03.30 17:21:59



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