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ウクライナの東部や南部でキエフのクーデターに反発する住民の動きが広がり、危機感を持った暫定政権は軍を使って制圧すると宣言した。その作戦を指揮しているバシリー・クルトフSBU(ウクライナ治安局)第1副長官も乗り込んだが、そこで住民に取り囲まれて抗議を受け、殴られるという場面もあったようだ。
4月12日にジョン・ブレナンCIA長官がキエフを極秘訪問し、14日にアレクサンドル・トゥルチノフが制圧作戦を承認、それを受けてクリトフ副長官は記者に対し、降伏しない活動家は「破壊される」と語ったと言われているが、彼にとっても、また「西側」にとっても予想以上の逆風が吹いている。 そうした活動家はロシア軍の情報機関GRUが派遣した数百名の兵士から支援を受けているとも主張したようだが、EUの情報分析センター(EU INTCEN)のゲオルギ・アラフォツォフ長官は、ウクライナの東部にまとまった数のロシア兵は存在しない、とフィンランドのテレビ局イレに語ったという。 その一方、派遣されたウクライナ軍の中には住民側につく兵士もいて、少なからぬ装甲車が住民側に渡っているようだ。キエフのクーデター政権に対する住民の反発を抑え込むために軍隊を派遣したのだろうが、住民の怒りを読み間違え、目論見は外れている。 EUのリーダーたちはNSAなどに常時、監視されているうえ、多額の報酬を得ている、あるいは得る手はずになっているようで、「西側」の少なからぬ人びとはメディアのプロパガンダを信じ、あるいは信じている振りをしているが、ウクライナの人びとは目覚めつつある。 当初から「西側」は暫定政権が住民から支持されているとは言えないことを十分に理解し、まず「民主主義幻想」を使い、途中からネオ・ナチを使ってキエフを火と血の海にして政権を転覆させたわけだが、東部や南部ではそうした計算を上回る怒りが生まれているのだろう。 今回の制圧作戦ではネオ・ナチを中心に編成した「親衛隊」やアメリカの傭兵も制圧作戦に投入しているようだ。それでも思惑通りに進まないため、NATO/アメリカ軍を使うべきだという意見も出てきた。 バラク・オバマ米大統領は自国の軍事力が圧倒的だと主張、ロシアはアメリカと対決したくないはずだと4月16日にCBSの番組で語った。軍事力を前面に押していけばロシアは屈服するというネオコン的、あるいは石原慎太郎なみの発言だ。 2011年3月8日、大地震の直前にイギリスのインデペンデント紙が掲載した石原慎太郎都知事(当時)のインタビュー記事によると、彼にとって、外交の交渉力とは核兵器を意味し、日本も核兵器を作るべきだとおだをあげていた。 ロバート・ゲーツ元国防長官の回顧録『任務』によると、リチャード・チェイニーはジョージ・W・ブッシュ政権で副大統領を務めていたとき、ソ連やロシア帝国が消滅するだけでは不十分で、ロシアという存在自体を抹殺するべきだと話していたというが、この発想にも通じる。(Robert M. Gates, “Duty,” Alfred A. Knopf, 2014) こうしたメンタリティーの人間が描く戦略に基づいてNATOは世界展開され、日本も組み込まれようとしている。集団的自衛権とは、そういういことだ。安倍晋三政権は、そうした戦略に従っている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.04.19 01:17:54
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