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《櫻井ジャーナル》

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2014.05.22
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 アメリカ政府を後ろ盾とするキエフのクーデター政権はウクライナの東部や南部で制圧作戦を続けている。そうした中、5月18日にロシアのテレビ局「ライフニュース」が派遣したふたりのジャーナリストをクーデター軍は武器を運んでいたとして拘束した。

 例によって、クーデター政権が示す「証拠」は証拠としての価値のない代物。各地域の自治、独立を主張している反クーデターの「連邦派」へ武器を運び込むためにジャーナリストを使うのは愚かなことだ。

 4月24日にアメリカのジョン・ケリー国務長官がロシアのテレビ局「RT」を名指しで批判しているが、これもロシアが伝える事実に苛立っているからにほかならない。当然、クーデター軍も取材クルーを監視している。そんな人間を武器の輸送に使うとは考えられない。

 そもそも、治安機関や軍の中からも離反者がいて、武器は持っている。東部や南部の地域では住民が殺されているが、地元の警察が住民に銃を向けることを拒否、少なからぬ警官が拘束され、中には殺害された人もいるほどで、メディアの人間がちまちま運び込む必要はない。キエフの暫定政権、つまりアメリカ政府の主張は全く説得力がないということだ。

 クーデター軍は4月25日にも「ライフニュース」のジャーナリストふたりを拘束、国外へ追放している。ドネツクで住民から話を聞いていたとき、SBU(ウクライナ治安局)と軍の部隊が連れ去ったのだという。

 1945年5月8日にドイツが降伏してナチス体制は崩壊、その翌日をソ連は戦勝記念日と定め、祝ってきた。その9日、クーデター軍はドネツク州マリウポリ市に戦車部隊を入れて制圧にかかったのだが、地元の警察は命令を拒否、拘束を免れた警官は住民と一緒に警察署へ立てこもり、銃撃戦になっている。この時、住民も撃たれ、何人かが殺されたようだが、取材していたRTのカメラマンも重傷を負っている。

 こうした拘束や銃撃でもロシアのメディアは取材を止めようとしない。そこで再び「ライフニュース」がターゲットになり、今回は意図的に手荒く扱う場面を撮影して流している。「びびらそう」としている可能性がある。5月20日にはRTの仕事をしていたイギリス人ジャーナリストも拘束され、解放されたのは36時間後だ。20日には大統領選挙を取材する目的でウクライナへ入ろうとしたRTの取材陣が入国を拒否されている。

 25日に実施される予定の選挙では候補者が襲撃され、東部や南部ではクーデター軍の制圧作戦が続いている中で行われる。公正な選挙ができる状況ではないが、アメリカ政府としては憲法に違反して実権を握ったクーデター政権に正当化するためにどうしても必要な儀式であり、その実態を報道されたくないはずだ。

 アメリカ政府/クーデター政権がロシアのメディアを嫌う理由は彼らの情報統制にひびが入るからだ。すでにリビアでアメリカ/NATO/ペルシャ湾岸産油国がアル・カイダを地上軍として使っていたことが広く知られてしまい、シリアではダニー・デイエムという「活動家」が「西側」のメディアに流していた「政府軍による虐殺」は作り話だということが明らかになる。その後、「政府軍が化学兵器を使用した」と「西側」は叫び始めるのだが、この嘘もすぐに露見し、容疑者としてサウジアラビアやトルコが名指しされる状況になってしまった。(こうした話は本ブログで何度も書いたので、今回は割愛する。)

 ウクライナでアメリカ政府がネオ・ナチを使ったことは明白で、「西側」のプロパガンダ機関であるBBCでさえ、この問題を取り上げていた。そのネオ・ナチがオデッサで連邦制を支持する住民を5月2日に虐殺する。50名弱が殺されたと伝えられているが、120名から130名が殺されたと住民は主張、300名という数字も流れている。

 当初、全員が焼き殺されたと言われていたのだが、焼け跡の調査で死者の一部は火が出る前に射殺されるなど別の原因で殺され、遺体が動かされていることが判明、レイプされている疑いのある遺体も発見された。しかも、多くの住民は地下室で虐殺され、死体は運び去られたという話も出てきた。外へ逃げ出した人は、ネオ・ナチのメンバーが銃撃したり撲殺している。こうした情報を「西側」のメディアは隠そうとしたが、インターネットやロシアのメディアに暴かれてしまったのだ。

 ウクライナでは「内部告発」が相次いでいるのだが、オデッサの出来事でも内部からと言う情報が流れている。内容が具体的で整合性があり、無視はできない。

 それによると、虐殺の10日前にキエフで秘密会議が開かれている。議長は大統領代行を名乗るアレクサンドル・トゥルチノフ。参加者はオリガルヒのアルセン・アバコフ内相、CIAの傀儡だというバレンティン・ナリバイチェンコSBU長官、そしてキエフのクーデターで現場の指揮官を務め、アメリカの特殊部隊と連絡を取り合っているというアンドレイ・パルビー国家安全保障国防会議議長。そして、ドニエプロペトロフスク市のイホール・コロモイスキー市長がアドバイスしたという。

 コロモイスキーはイスラエル系ウクライナ人で、暴力的な手法が得意なオリガルヒのひとり。ドニエプロペトロフスク市へ乗り込む際、アメリカの傭兵会社「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」から雇った戦闘員を引き連れていたと言われている。

 また、ドイツのビルト紙日曜版は「アカデミ(旧社名はブラックウォーター)」の傭兵約400名がウクライナ東部の制圧作戦に参加、4月29日にドイツの情報機関BNDがアンゲラ・メルケル首相へこの情報を報告済みだという。制圧作戦に英語を話す戦闘員が参加していることは「ライフニュース」も伝えていた。

 ウクライナのユダヤ系住民がファシストの流れを汲むクーデター政権を警戒していることも本ブログで書いたが、その政権はそのユダヤ系住民と連邦派を仲違いさせようとしている。

 以前、ユダヤ人は登録するようにと書かれたリーフレットが配られたことがある。「西側」やクーデター政権は、これを連邦派によるものだと断定、「グロテスクだ」と批判したのだが、これはユダヤ系住民から偽物だと一蹴されてしまった。

 今回は、連邦派のリーダーであるオレグ・ツァレフにコロモイスキーが電話、ウクライナのユダヤ人社会はツァレフを暗殺した人物に100万ドルを支払う準備があるとしたうえで、国外へ出るように命令したという。

 しかし、ウクライナのユダヤ人社会のリーダー、イアン・イプスタインはコロモイスキーの発言を否定している。コロモイスキーは国際シオニスト運動には影響力を持っているが、ウクライナのユダヤ人を代表していないという。シオニストとユダヤ人は本質的に無関係で、むしろ利害は対立している。その事実が表面化しつつあるようにも思える。

 ウクライナのクーデター政権でネオ・ナチが重要な役割を果たしていることが多くの人に知られたなら、クーデターが崩壊するだけでなく、西側支配層の足下も崩れる可能性がある。BBCなどはウクライナのネオ・ナチが信奉するステファン・バンデラとナチスとの関係を消し去ろうとしはじめた。この関係は本ブログでも書いたが、拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』(三一書房、2005年)でも触れている。「西側」は情報戦で巻き返そうと必死だが、メチャクチャなことを言い始めており、相当、追い詰められているようだ。





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最終更新日  2014.05.22 12:19:41



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