27439017 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

《櫻井ジャーナル》

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

バックナンバー

2014.05.28
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
 選挙の正当性はともかく、ウクライナの大統領選でイスラエル系オリガルヒのペトロ・ポロシェンコが勝利した。「チョコレート王」、あるいは「チョコレート・マフィア」と呼ばれている。どのように動けばカネ儲けできるかという基準で動くタイプの人物ということであり、ユリア・ティモシェンコ元首相と同じようにアメリカ支配層の傀儡だ。

 つまり、新政権になっても政策は変わらず、ウクライナの富を「国境なき巨大資本」に贈呈し、その報酬を自分たちは受け取るということ。緊縮を強要して庶民を貧困化させることは決定済み。IMFの命令に従って東南部を制圧するための軍事作戦をすでに再開、ドネツクの空港を戦闘機や攻撃ヘリで攻撃している。

 ドネツクで「人民共和国」を宣言している住民によると、この空爆で約50名の自衛軍兵士が死亡、住宅地への攻撃で非武装の市民も50名ほど殺されたという。キエフのクーデター政権は200名以上を殺したとしている。

 今回、空爆を利用したのは地上軍だけでの制圧が困難だということが選挙前の作戦で明確になったからだろう。戦車を前にしても銃撃があってもひるまない非武装の住民に圧倒されている様子がインターネットで流されている。

 オデッサの場合、住民の証言によると、120名から130名が殺され、遺体の多くはどこかへ運び去られたという。外で殺すと目立つため、労働組合会館へ避難させ、その地下室で100名近くを惨殺、上の階にいた人びとも撲殺、絞殺、射殺した上で火を放ち、焼き殺された人も少なくないようだ。こうした手をドネツク州やルガンスク州では使えないだろう。住民が犠牲になっている実態は外へ漏れてくる。現地に入っているジャーナリストを拘束したり殺害しているが、それでも情報は止められない。

 資本主義が勃興した19世紀、「泥棒男爵」の時代からアメリカを支配しているのは金融機関を中心とする巨大資本である。こうした支配層にフランクリン・ルーズベルトやジョン・F・ケネディなどは挑戦したが、基本的な構造を崩すことはできなかった。

 19世紀と違い、現在は収奪した富を生産活動に投資する必要はなく、新しい産業を生み出すことはなくなった。ロンドン(シティー)を中心に築かれたオフショア市場のネットワークを使って資産を隠し、課税を回避し、投機につぎ込んでいる。

 生産活動を衰退させ、博奕にのめり込んでいる巨大資本は情報操作で人びとを支配している。あらゆる情報を集め、分析し、自分たちにとって好ましい話を流す。学校、メディア、宣伝会社、そして情報機関で人びとを操っているのだ。

 情報機関は支配層のために組織されたわけであり、宣伝会社も以前から政府と緊密な関係にある。安倍晋三政権は教育やメディアの支配に熱心だが、その理由も情報操作で国民を騙そうとしているからだ。言葉で国民を操る・・・陰陽師のような手口だ。

 第1次世界大戦があった当時、アメリカのウッドロー・ウィルソン政権はプロパガンダを目的としてCPI(公的情報委員会)を設置、「フォーミニット・メン」と呼ばれるボランティアが「愛国的」な演説を繰り返した。

 1933年にルーズベルト政権がスタートすると、ウォール街はファシズム体制の樹立を目的とするクーデターを計画したと海兵隊のスメドリー・バトラー退役少将は議会で証言している。その際、クーデター派から「我々には新聞がある。大統領の健康が悪化しているというキャンペーンを始めるつもりだ。そうすれば、彼を見て愚かなアメリカ人民はすぐに信じ込むに違いない。」と言われたとバトラー少将は語っている。

 第2次世界大戦が終わると、巨大資本は新たな情報操作プロジェクトを始める。いわゆる「モッキンバード」だ。中心にいたのはウォール街の弁護士で情報/破壊(テロ)工作を大戦中から戦後にかけて指揮していたアレン・ダレス、ダレスの側近で破壊工作機関のOPCで局長を務めたウォール街の弁護士、フランク・ウィズナー、やはりダレスの側近で後にCIA長官に就任するリチャード・ヘルムズ、そしてワシントン・ポストの社主だったフィリップ・グラハムだ。(Deborah Davis, “Katharine The Great”, Sheridan Square Press, 1979)

 アメリカやイスラエルへの反発がヨーロッパで広がった1980年代、米英の支配層は「英米後継世代プロジェクト(BAP)」を始めている。このプロジェクトの特徴は、巨大資本を支配している人たちだけでなく、メディアからも多くの編集者や記者が参加したことにある。

 イギリスの労働党は「親イスラエル」だったのだが、この当時、イスラエルへの反発が強まり、パレスチナへ接近していた。そうしたときに登場したのがトニー・ブレア。資金をイスラエルから提供されていたことがわかっている。このブレアをBAPは支援した。

 21世紀に入ってもアメリカは戦争を続けている。そうした戦争を実行するために支配層はプロパガンダ機関を総動員している。アフガニスタン、イラク、リビア、シリアでも嘘をつき続けてきた。ウクライナでも嘘を並べている。少しでも思考力のある人なら、アメリカやその傀儡が言うことを信じるはずはない。騙された振りをしているのだろう。強そうに見える勢力についていた方が安全であり、徳だということは確かだ。どのような肩書きであろうと、一連の出来事をどのように語っているかで本性がわかる。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2014.05.29 04:12:21



© Rakuten Group, Inc.