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ウクライナの大統領にペトロ・ポロシェンコが就任した。10億ドル以上の資産を持つというイスラエル系オリガルヒで、「チョコレート王」、あるいは「チョコレート・マフィア」と呼ばれている。今週中に東部の戦闘を終わらせるべきだと発言、ロシアと話し合う姿勢を見せているが、これはアメリカ政府/NATOの軍事強硬策が行き詰まり、EUの内部で不協和音を生じ始めていることから出てきたのだろう。
ポロシェンコも「西側」の傀儡にすぎず、「オレンジ革命」で登場した銀行員あがりのビクトル・ユシチェンコと親しかった。この「革命」は2004年から05年にかけて展開された体制転覆運動。その背後には「西側」の支配層やロシアからイギリスへ亡命した富豪でイスラエルの市民権を少なくとも一時期は持っていたボリス・ベレゾフスキーらがスポンサーとして存在していた。当時、ユシチェンコはポロシェンコと友好的な関係にあったようだが、ビクトル・ヤヌコビッチが大統領になると新大統領へ接近している。「オレンジ革命」の前にはヤヌコビッチに近かった。 ユシチェンコは2005年から10年まで大統領を務め、その間、「西側」巨大資本の意向に沿う形で新自由主義的な政策を推進した。当然、貧富の差は拡大し、政権と結びついた一部の人間は不公正な形で巨万の富を築いた。いわゆるオリガルヒだ。 その間、2007年から10年まで首相だったのがユリア・ティモシェンコ。2008年には投機家のジョージ・ソロスからのアドバイスに基づく政策を実行すると発言、後に「祖国」なる政党をつくった。その一方で巨万の富を築いている。「西側」の傀儡になることで私服を肥やしたひとりだと言えるだろう。 今年2月のクーデターで実権を握り、「暫定政権」と呼ばれた集団で大統領代行を名乗ったのがアレクサンドル・トゥルチノフ。アメリカのビクトリア・ヌランド国務次官補から高く評価されていた銀行業界出身のアルセニー・ヤツェニュクが首相代行とされていた。トゥルチノフとヤツェニュクは、ふたりとも「祖国」のメンバー。つまり、「西側」の巨大資本とつながっている。 この「暫定政権」では、ネオ・ナチの中心的な存在であるスボボダ(自由)からオレクサンドル・シクが副首相に、アンドリー・モクニクがエコロジー相に、オレクサンドル・ミルニーが農業相に就任し、またオレー・マクニスキーが検事総長になった。スボボダ創設者のひとりでクーデターを指揮、警官や市民に対する狙撃の責任者だとも言われているアンドレイ・パルビーは国家安全保障国防会議(国防省や軍を統括する)の議長に就任している。 また、右派セクターを率い、アル・カイダともつながるドミトロ・ヤロシュは同会議の副書記に、NATOとの緊密な関係が噂されているUNA-UNSOからは、テチャナ・チェルノボルが反腐敗委員会の委員長に、またドミトロ・ブラトフが青少年スポーツ相に就任したという。軍や治安機関をネオ・ナチが押さえたと言える。 ウクライナでは評判が悪いユシチェンコだが、新大統領のポロシェンコはユシチェンコ時代の人脈とつながっている。選挙戦を指揮したのはユシチェンコの顧問だった人物で、西部地区で選挙運動の責任者だったのはユシチェンコの秘書。外交問題を担当している人物もユシチェンコのチームにいた。法律問題を担当しているのはユシチェンコ政権の司法大臣だ。「暫定政権」のヤツェニュク首相代行や元ボクサーでUDARを率いるウラジミール・クリチコと手を組むとも公言している。 ウクライナ西部の人びともユシチェンコ元大統領やティモシェンコ元首相を拒否したのだが、彼らが選んだポロシェンコはユシチェンコとティモシェンコの連合体だという茶番劇。おまけにネオ・ナチ付きだ。この新政権も動かすことになるのだろうアメリカ政府は軍事顧問団をウクライナへ入れるなど戦闘態勢の整備を急いでいる。 こうしてみると、アメリカ政府/NATOは軍事的にウクライナを制圧する方針を変更していないようなのだが、問題はEUの動き。アメリカのカネで縛られている首脳も多いようだが、反発も強まっている。アメリカへ従属する政策を続けるなら、EUは空中分解するだろう。そうした事態になったなら、1960年代から1980年頃までイタリアで実行されたような「擬装テロ」を始めるか、一気にロシアとの戦争へ突入する可能性もある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2014.06.09 22:10:28
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