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《櫻井ジャーナル》

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2014.06.19
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 ISIS(イラク・シリアのイスラム国、ISIL/イラク・レバントのイスラム国やIEIL/イラク・レバントのイスラム首長国とも表記)がファルージャに続いてモスルを制圧、首都のバグダッドを伺う動きを見せている。

 こうした状況を受け、ノウリ・アル・マリキ首相はアメリカに支援を要請したというのだが、ISISを背後から操っているのはアメリカやサウジアラビアなど中東で「新秩序」を築こうとしている国の支配者たち。「放火犯に消火を頼んでいる」と揶揄する人もいる。

 ISISを現場で指揮しているのはアブ・バクル・アル・バグダディ、その指揮官を動かしているのはサウジアラビアのアブドゥル・ラーマン・アル・ファイサル王子、そしてその背後にアメリカやフランスの支配層がいる。今年3月、マリキ首相がサウジアラビアやカタールを反政府勢力へ資金を提供していると批判したのも、そうした事情を知っているからだろう。

 名称からもわかるように、この武装グループはイラクから地中海の東岸(トルコ、シリア、レバノンなど)を統一するとしている。この主張を聞いて少なからぬ人が「サイクス・ピコ協定」を思い出したようだ。

 この協定は石油資源に目をつけたイギリスとフランスが1916年に結んだもので、フランスのフランソワ・ジョルジュ・ピコとイギリスのマーク・サイクスが中心的な役割を果たしたことから「サイクス・ピコ協定」と呼ばれている。

 ヨルダン、イラク南部、クウェートなどペルシャ湾西岸の石油地帯をイギリスが、フランスはトルコ東南部、イラク北部、シリア、レバノンをそれぞれ支配することになっていて、後に帝政ロシアも参加するのだが、協定の存在は秘密にされていた。

 ところが、帝政ロシアが1917年3月の「二月革命」で倒される。このときにできた「臨時革命政府」は資本家にコントロールされ、「イギリスの傀儡」とも呼ばれたほど。サイクス・ピコ協定の当事者が関係していたわけだが、11月の「十月革命」で実権を握ったボルシェビキは資本家と対立関係にあり、協定の存在を明らかにした。

 協定が結ばれた翌月にイギリスはオスマン帝国を分解するため、アラブ人の反乱を支援する。工作の中心的な役割を果たしたのはイギリス外務省のアラブ局で、そこにサイクスやトーマス・ローレンスもいた。「アラビアのロレンス」とも呼ばれている、あのローレンスだ。

 ロレンスが接触、支援したアラブ人がフセイン・イブン・アリ。この人物にイギリスのエジプト駐在弁務官だったヘンリー・マクマホンが出した書簡の中で、イギリスはアラブ人居住地の独立を支持すると約束している。いわゆる「フセイン・マクマホン協定」だ。

 しかし、イブン・アリはライバルのイブン・サウドに追い出されてしまう。そして作られたのがサウジアラビア。1932年のことだ。

 その一方、イギリスのアーサー・バルフォア外相がロスチャイルド卿に宛てに出した書簡の中で、「イギリス政府はパレスチナにユダヤ人の民族的郷土を設立することに賛成する」と約束している。1917年11月のことである。なお、この書簡を実際に書いたのはアルフレッド・ミルナーだという

 この「バルフォア宣言」の背景には旧約聖書の記述が反映されているという。離散したユダヤ人の国をパレスチナに作ろうというわけだが、最近の研究によると、ユダヤ人は離散せず改宗した可能性が高まっている。現在いるユダヤ教徒の多くは別の地域で生活、改宗した人たちだということだ。

 しかし、エルサレム神殿があったとされる「シオンの丘」へ戻ろうという運動が19世紀から広まった。「シオニズム」だ。そのシオニズムを信奉する人びとがシオニストである。シオニストの中には「大イスラエル」を夢見る人たちがいて、南はナイル川から北はユーフラテス川まで、西は地中海から東はヨルダン川までを支配しようとしている。

 こうしたシオニストを欧米の富豪が支援してきた。例えば、フランスのエドモンド・ジェームズ・ド・ロスチャイルドやアメリカのアブラハム・フェインバーグなど。このフェインバーグをスポンサーにしていたのがリンドン・ジョンソンだ。「サイクス・ピコ協定」と「大イスラエル構想」は合体する可能性もある。

 レバント、つまり地中海東岸で天然ガスが発見されたこともアメリカ、イギリス、フランス、イスラエルなどの国、特にフランスを刺激し、イギリスはかつて「富の源泉」だったイランを欲しがっているだろう。サウジアラビアも宗派的に対立していることもあり、イランを潰そうとしている。

 被支配者の不満を利用、反乱を演出して自分たちが新たな支配者になるという手口を欧米は今でも使っている。





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最終更新日  2014.06.20 03:54:11



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