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《櫻井ジャーナル》

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2014.12.25
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 ヨルダンはイスラエルから天然ガスを輸入しようとしている。イスラエルのグローブス紙によると、取り引きは15年以上、金額は150億ドルに達するというのだが、この取り引きについてヨルダンの国会議員、ヒンド・アル・ファイーズはテレビのインタビューで激しく批判。同議員と同じように考えているヨルダン人は少なくないはずで、大きな不安定要因になっている。

 イスラエルが輸出する天然ガスは地中海の東側で発見された資源の一部。2001年にイスラエルの沖で調査が始まり、2009年に天然ガスが発見された。USGS(アメリカ地質調査所)の推定によると、エジプトからギリシャにかけての海域には9兆8000億立方メートルの天然ガスと34億バーレルの原油が眠っている。その発見に関係した会社のひとつ、ノーブル社のロビイストとして仕事をしているひとりがビル・クリントン元大統領だ。

 この天然ガスが「アラブの春」を引き起こした一因であり、2008年12月から09年1月にかけてイスラエル軍がガザへ軍事侵攻した理由もここにあるとする見方がある。この侵攻では1400名以上のパレスチナ人が殺され、その際に白リン弾のような「化学兵器」やGBU-39(スマート爆弾)の使用が明らかにされている。国連調査委員会も、この侵攻で国際人道法に違反する行為があったとしている。

 歴史的にヨルダンとイスラエルの支配層は関係が深い。例えば、1970年にはヨルダン国王の意向を無視して同国の軍幹部はPLOを攻撃している。ヤセル・アラファト議長は危ういところでエジプトへ逃れた。エジプトのガマール・アブデル・ナセル大統領はその直後に急死、後任は「元イスラム同胞団員」でヘンリー・キッシンジャーと親しいアンワール・サダトに決まった。

 現在、中東を混乱させているIS(イスラム国。ISIS、ISIL、IEILとも表記)とヨルダンとの関係も注目されている。2012年にはヨルダンの北部に設置された秘密基地でアメリカの情報機関や特殊部隊がISの主要メンバー数十人を含む戦闘員を軍事訓練、トルコと同じようにヨルダンにISはシリアへの侵入ルートを持っていると言われている。

 このISを率いているというアブ・バクル・アル・バグダディは2013年5月、シリアへ密入国していたネオコン/シオニストのジョン・マケイン上院議員と会っている。会談にはFSAの幹部も同席していた。

 ネオコンは「イスラエル第一派」だが、このイスラエルでは軍の幹部からアメリカが始めたとISへの空爆を批判する声が出ている。シリアの体制転覆が重要なのであり、ISと戦うのは間違いだという主張だ。

 こうした見方はイスラエル政府で広がっているようで、駐米イスラエル大使だったマイケル・オーレンは退任前の2013年9月、イスラエルはシリアの体制転覆が希望だと明言、バシャール・アル・アサド体制よりアル・カイダの方がましだとエルサレム・ポスト紙のインタビューで語っている。

 ネオコンやイスラエルはイランやシリアの体制転覆が目標であり、ISも利用するということ。ニューヨーカー誌の2007年3月5日号に掲載されたシーモア・ハーシュの記事によると、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの3国同盟はシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラをターゲットにした秘密工作をその時点で開始していたとしている。2007年当時のアメリカ大統領はネオコンにコントロールされていたジョージ・W・ブッシュ。

 ウラジミル・プーチン露大統領の側近、アレキサンダー・プロハノフはイランのプレスTVのインタビューでISはアメリカの道具であり、イスラエルの情報機関、モサドの訓練を受けている可能性を指摘している。ロシアの要人が口にするのは興味深いが、こうした話は以前から流れていた。

 バラク・オバマ政権になって一時期は非ネオコン派が影響力を強めたが、ここにきて再びネオコンや戦争ビジネスが主導権を握った。アメリカでISを使っているのは国務省とCIAだと言われているが、アメリカ軍が主導している空爆でISにダメージを与えているかどうかも疑問。

 9月23日に空爆を始めた直後、最初の攻撃で破壊されたビルはその15から20日前から蛻の殻だったとCNNのアーワ・デイモンは翌朝の放送で伝えている。情報が漏れているのか、最初から誰もいないビルを攻撃する計画だったのかは不明だが、いずれにしても攻撃の効果には首を傾げざるをえない。製油所を破壊しているのは、シリアの産油能力を弱めるためだと推測する人が少なくない。

 そうした空爆に参加していたというヨルダン空軍のパイロットをISが拘束したと伝えられている。そのパイロットが乗っていたF-16戦闘機を撃墜したとISは主張しているが、アメリカ軍は否定している。

 この撃墜の詳細は不明だが、イスラム教徒をも虐殺しているISを見るイスラム世界の目は厳しく、ヨルダンが本気でISを空爆しても大きな問題にはならないだろう。むしろ、ヨルダンを揺るがしかねないのはイスラエルとの天然ガス取り引きだ。





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最終更新日  2014.12.26 03:37:13



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