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《櫻井ジャーナル》

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2015.03.02
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 武装組織に拘束された人を救出することは容易でない。「あらゆる事態に対処できるように、特にテロリスト、武装勢力の攻撃、そういった事態に対応しうる能力は保有」しているはずのアメリカ軍でも難しい。他国で拘束されているならば、その国が対応するのが基本だ。

 以前にも本ブログで書いたが、人質の救出に成功した例だとされているイスラエル軍の「サンダーボルト作戦」は「出来レース」だったと言われている。テル・アビブ発パリ行きのエアー・フランス139便が1976年6月27日にハイジャックされ、ウガンダのエンテベ空港へ降りたのだが、その空港へイスラエル政府は特殊部隊を含むチームを送り込み、人質105名のうち102名を救出した。

 襲撃でハイジャックを実行した7名のほか、33名とも80名とも言われるウガンダ兵が殺されている。イスラエル側では、地上部隊を指揮していたヨナタン・ネタニアフが死亡している。この特殊部隊員はベンヤミン・ネタニヤフ首相の兄だ。この作戦は明らかにウガンダの主権を侵犯している。

 イギリス政府が公開した1976年6月30日付けの文書によると、このハイジャック事件はイスラエルの治安機関シン・ベトがPFLP(パレスチナ解放人民戦線)と手を組んで実行したものだとする情報がある。

 こうした偽旗作戦は日本も行った経験がある。例えば、1931年9月、日本軍の独立守備歩兵第2大隊の第3中隊付きだった河本末守中尉は部下を引き連れて柳条湖へ向かい、その近くで満鉄の線路を爆破、それを合図にして第3中隊長の川島正大尉は中国軍を攻撃した。「満州事変」の始まりだ。

 「人質救出」を名目にして、防衛大臣の中谷元は自衛隊を国外へ派遣したいらしい。そうした議論の切っ掛けになったのが湯川遥菜(湯川政行)と後藤健二の事件。拉致され、未確認ながら、殺害されたと言われている。その実行グループと言われているのがIS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISIS、ISIL、IEIL、ダーイシュとも表記)。

 ISはズビグネフ・ブレジンスキーのアイデアに基づき、1970年代に組織されたイスラム武装集団までさかのぼることができる。サウジアラビアが戦闘員を雇い、アメリカが武器を与えて訓練していた。秘密工作でアフガニスタンへ誘い込んだソ連軍と戦わせるための組織を育成していたのだ。

 1997年から2001年までイギリスの外相を務めたロビン・クックによると、そうした訓練を受けた数千人におよぶ「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイルが「アル・カイダ」。アル・カイダとはアラビア語で「基地(ベース)」や「データベース」を意味している。

 2003年にジョージ・W・ブッシュ政権はイラクを先制攻撃する。欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)の最高司令官だったウェズリー・クラークによると、1991年にネオコンのポール・ウォルフォウィッツ国防次官(当時)はシリア、イラン、イラクを5年から10年(1996年から2001年)で殲滅すると語っていた。このプランに基づく攻撃だ。

 アメリカ軍がサダム・フセイン体制を倒した後、2004年にAQI(イラクのアル・カイダ)なる武装グループがイラクで活動を始める。2006年1月にAQIを中心にしてISI(イラクのイスラム国)が編成され、シリアで政府軍が優勢になると活動範囲をそのシリアへ拡大させ、ISと呼ばれるようになる。その間、2012年にはヨルダン北部に設置された秘密基地でCIAや特殊部隊が反シリア政府軍の戦闘員を育成するために訓練、その中にISのメンバーが含まれていたと言われている。

 イランの義勇兵組織、バスィージのモハマド・レザ・ナクディ准将によると、ISの司令部はイラクのアメリカ大使館。また、クラーク元最高司令官は、アメリカの友好国と同盟国がISを作り上げたとCNNの番組で語った。

 現在、シリアで政府軍とヒズボラがISと戦っているが、その部隊をイスラエル軍は1月18日に空爆、イラン革命防衛隊のモハメド・アラーダディ将軍を含む幹部を殺している。ISはアレッポで政府軍の攻撃を受け、厳しい状況に陥っていた。ISを攻撃していると言われているアメリカだが、高性能武器を「ミス」でISへ渡していることにも疑惑の目を向けられている。

 2007年3月5日付けのニューヨーカー誌で、調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの3カ国がシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラに対する秘密工作を開始したと書いている。その後の展開を見ると、この記事は基本的に正しい。この秘密工作が始まるタイミングでISIが編成されていることも無視できない事実だ。

 自衛隊を自分たちの戦争マシーンに組み込みたいアメリカがISの黒幕である可能性は高く、自衛隊を国外へ派兵する口実にISを利用すること自体、大きな問題。「柳条湖事件」なみの議論だ。





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最終更新日  2015.03.02 19:37:45



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