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《櫻井ジャーナル》

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2015.03.20
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 チュニジアのバルドー博物館が襲撃されて23名が死亡、そのうち18名が外国人観光客で、5名がチュニジア人(2名が襲撃犯)。自分たちが実行したとするIS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISIS、ISIL、IEIL、ダーイシュとも表記)の発表があったようだ。

 リビアのムアンマル・アル・カダフィ体制を倒す際、NATOとLIFG(アル・カイダ)が手を組み、体制崩壊後、ベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられ、その様子を撮影した映像がインターネット上にアップされた。この事実をデイリー・メイルなど西側メディアも伝えている。この地域はアル・カイダの影響下に入ったわけで、そこから生まれたISもネットワークを持っているはず。

Qaeda-B

 カダフィを惨殺した後、LIFG/アル・カイダの戦闘員はシリアへ移動したが、戦闘員や武器をNATOが輸送したとも伝えられている。マークを消したNATOの軍用機がシリアとの国境に近いトルコの軍事基地へ武器と戦闘員を運んだというのだ。リビアの兵器庫から化学兵器を持ち出された可能性もある。

 アフリカを経済的に統一しようとしていたカダフィが排除された後、リビア国内は無政府状態になり、欧米の支配層へ刃向かう力をなくしたが、ここにきてISの活動が注目されている。リビアでISを指揮していると言われているのがアル・カイダ系武装集団、LIFGのリーダーだったアブデル・ハキム・ベルハジだ。要するに、タグの付け替え。

 問題はタグを付け替えた目的だが、ひとつの可能性はアメリカと距離を置き始めたEUに対する恫喝。地図を見れば明らかなように、リビアの隣国、チュニジアの首都、チュニスの目と鼻の先にシシリー島があり、その先はイタリア半島。シシリー島の西にはサルデーニャ島がある。

 アメリカやイギリスの好戦派はNATOに所属するという形で破壊活動を目的とする秘密組織を編成した。イタリアのグラディオは特に有名。ジュリオ・アンドレオッチ伊首相は1990年10月に発表した報告書でグラディオの存在を公式に認めている。その後、NATOに加盟ている全ての国で秘密部隊が活動していることも確認された。その活動は各国の情報機関が指揮、その後ろには米英の情報機関が蠢いている。イタリアの場合、グラディオと非公然秘密結社P2との関係も明らかになった。

 サルデーニャ島には、こうしたNATOの秘密部隊の基地があった。設置されたのはアメリカでジョン・F・ケネディ大統領が暗殺された1963年のこと。その翌年、イタリアの情報機関SIFARはクーデターを計画している。冷戦時代にグラディオはリビアを活動の拠点に使っていたと言われるが、その理由もサルデーニャ島、シシリー島、イタリアというつながりにあるのだろう。同じことをISやその黒幕が考えても不思議ではない。

 アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの好戦派に対する反発がEUで広がり、ウクライナ情勢でも全面核戦争へ向かうアメリカに見切りをつけ、ドイツやフランスの首脳はロシアのウラジミル・プーチン大統領と話し合いを始めた。核戦争する気なら受けて立つとプーチンは示唆しているが、これに対し、反撃を想定していない欧米の好戦派は反発、日本では「革新勢力」と自称している人たちも「怒りの声」を挙げていた。

 クーデターでウクライナの西部を制圧したアメリカの好戦派はロシアとEUとの分断に成功したものの、これが裏目に出てロシアと中国を急接近させ、経済的にも軍事的にも強固な関係を結んでしまった。エネルギーの輸出先も東アジアへ変更、EUは苦しい状況。アメリカの暴走が止まらなければEUは核戦争で消滅することを覚悟しなければならず、対米従属路線は限界に達した。

 中国の提唱で設立が予定されているAIIB(アジアインフラ投資銀行)には、アメリカの意向を無視してフランス、ドイツ、イタリアが参加へ動き、イギリスも同調。さらにルクセンブルグも加わると表明した。オーストラリア、韓国、スイスも参加する可能性があると言われている。日本の財界も動揺していることだろう。アメリカの支配システムが張り巡らされている日本だが、日本の少なからぬ大手企業は中国なしに存続できないと見られ、アメリカに追随してばかりはいられない。

 アメリカ支配層は環太平洋でTPP(環太平洋パートナーシップ)協定、EUでTTIP(環大西洋貿易投資協定)を結び、巨大資本が国の上に立つ体制を築こうとしているが、これも崩壊する可能性がある。ロシアと中国を中心に「ドル離れ」も進行中で、ドルが基軸通貨という地位から転落するかもしれず、そうなるとアメリカの支配力は大幅に弱まる。アメリカ帝国崩壊の危機だ。

 少なくとも戦後のアメリカは戦略を旧ソ連圏からの亡命者やドイツから渡ってきた人に依存してきた。例えば、ポーランドの貴族階級だったズビグネフ・ブレジンスキー、ドイツ生まれのヘンリー・キッシンジャー、その師でやはりドイツ生まれのフリッツ・クレーマーなど。反ソ連、反ロシアという共通項がある。

 クレーマーは外交を内政より優先順位を上に置き、政治権力や軍事力を重要視、経済活動を軽視していた。キッシンジャーも基本的に同じ。これに「際限なき強欲」をプラスするとネオコン/シオニストになる。新自由主義が庶民を貧困化させ、社会だけでなく経済を破壊するのは必然だ。ブレジンスキーはロシアを破壊することにしか興味をもたない。その結果がアメリカの衰退だ。

 その苦境から脱するためにアメリカの好戦派は世界を破壊している。その手先にするために武装集団を育成してきた。イタリアのグラディオ、ベトナム戦争の際にはCIAと特殊部隊でICEX(後のフェニックス・プログラム)という皆殺しプロジェクトを実行、アフガニスタンへソ連軍を引き込み、その部隊と戦わせるためにサウジアラビアのカネを使って武装集団を編成、その戦闘員リストとして「アル・カイダ」を作った。しばしばスンニ派の武装集団だとされるが、勿論、スンニ派とは関係ない。単なるアメリカの傭兵だ。現在、ウクライナではグラディオと同じようにネオ・ナチを使っている。

 アメリカの好戦派を崇め、従属している人たちはISを「反米勢力」だと信じているのだろうが、実際はアメリカの手先。だからこそ、キリスト教徒やイスラム教徒を虐殺してもイスラエルやサウジアラビアを攻撃せず、西側の支配層はISの石油密輸も止めようとしない。

 そもそも、ISを西側メディアが大きく取り上げる切っ掛けになった攻撃が不自然。ファルージャやモスルを攻撃したわけだが、アメリカはスパイ衛星、偵察機、通信傍受、人的なスパイ網などがあり、戦闘集団の動きは把握していたはず。ISの動きをアメリカの情報機関や軍が事前に察知していなかったということはありえない。写真を見ると、トヨタ製の車を連ねて進軍しているので、この時に空爆すれば壊滅的な打撃を与えることができたが、パレードをやらせている。ISを売り出したがっていたとしか思えない。

 ISに対して行っているという「有志連合」の空爆にも疑惑がある。昨年9月に行われた最初の空爆で破壊されたビルは、その15から20日前の段階で蛻の殻だったとCNNのアーワ・デイモンは翌朝の放送で伝えている。

 現在、シリアでは政府軍とヒズボラがISと戦っているが、その部隊をイスラエル軍は1月18日に空爆、イラン革命防衛隊のモハメド・アラーダディ将軍を含む幹部を殺した。劣勢のISを助けたようだ。

 また、イランの義勇兵組織、バスィージのモハマド・レザ・ナクディ准将は、イラクのアメリカ大使館がISの司令部だと語り、アメリカ軍の航空機から支援物資をISへ落としているとしている。これまでもアメリカ軍が落とした軍事物資をISが回収していることは伝えられていたが、これはミスでなく、故意だったとナクディは主張しているわけだ。イラクのアリ・アクバル大隊の司令官はISとアメリカ軍が定期的に連絡を取り合い、物資の投下地点を相談していることを通信傍受で確認したともイランのFNAは伝えている。

 こうした空爆を行う切っ掛けとしてアメリカ政府が利用したのが昨年8月にあった出来事。ジェームズ・フォーリーの首をISが切ったとする映像の公開されたのだが、これはフェイクだと指摘されている。首の前で6回ほどナイフは動いているものの、血が噴き出さず、実際に切っているようには見えないのだ。そうしたこともあり、フォーリーの斬首映像はシリア領内を空爆する口実作りだと推測する人もいる。





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最終更新日  2015.03.21 03:35:54



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