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《櫻井ジャーナル》

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2015.05.27
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 昨年9月23日、アメリカが主導してシリア領内における空爆を始めて以来、IS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISIS、ISIL、IEIL、ダーイシュとも表記)は勢力を拡大してきた。そうした中、イラクはロシアや中国に接近、軍事的な関係を強めている。アメリカ/NATOやペルシャ湾岸産油国がISを使って自国を破壊していると認識しているのだろう。

 レバントとは地中海の東岸、シリア、パレスチナ、イスラエル、ヨルダン、キプロス、トルコ南部のハタイ州のあたりを指しているので、この地域とイラクを支配する首長国を作るという看板を掲げていることになるが、実際に攻撃している相手はシリアとイラク、最近ではリビアが加わった。

 2011年3月にシリアでバシャール・アル・アサド体制の打倒を目指す勢力が武装蜂起した頃から、トルコにある米空軍インシルリク基地ではアメリカの情報機関員や特殊部隊員が、イギリスやフランスの特殊部隊員と共同で反シリア政府軍を訓練していた。

 ヨルダンもトルコと同じようにシリアを攻撃する拠点で、2012年にはヨルダンの北部に設置された秘密基地でアメリカの情報機関や特殊部隊がFSAと呼ばれた反シリア軍の戦闘員を軍事訓練していた。その中にはISの主要メンバー数十人を含むと言われているが、反シリア政府軍は事実上ひとつで、いくつかのタグを使い分けているだけだと見られている。

 その2012年に作成されたアメリカの軍情報機関、DIAの文書によると、シリアの反政府軍はサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてAQIだとしている。AQIは2004年に組織されたアル・カイダ系の武装集団で、2006年にISI(イラクのイスラム国)が編成された際には中核になった。今ではISと呼ばれている。DIAによると、AQIは当初から反シリア政府軍(アメリカ/NATO)の支援を受け、シリアで戦闘員を訓練、その後にイラクへ送り込まれていたという。

 2013年5月にアメリカの好戦派ジョン・マケイン上院議員がトルコからシリアへ密入国してISやFSAの幹部と会談、その4カ月後、マイケル・オーレン駐米イスラエル大使はエルサレム・ポストのインタビューに応じ、イスラエルはシリアの体制転覆が希望であり、バシャール・アル・アサド体制よりアル・カイダの方がましだと答えた。実際、イスラエルはISを支援するための空爆を繰り返している。

 アル・カイダは1970年代にズビグネフ・ブレジンスキーが発案した作戦で作り出されたイスラム武装集団の中から生まれた。ブレジンスキの作戦はソ連軍をアフガニスタンへ誘い込み、疲弊させるというもので、1979年4月にCIAのイスラム武装勢力支援プログラムを開始、この年の12月にソ連軍の機甲部隊がアフガニスタンへ軍事侵攻した。

 この時に多くの戦闘員をアメリカの軍や情報機関は生み出したが、ロビン・クック元英外相によると、アル・カイダとは、CIAに雇われて訓練を受けた数千人におよぶ「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイル。プロジェクトが企画されると、そのファイルの中から戦闘員が選ばれて派遣されるということだろう。

 アル・カイダはアラビア語で「ベース」を意味。「基地」と表現することもできるが、実態は「データベース」だということだ。なお、クックはこの事実を書いた翌月、保養先のスコットランドで心臓発作に襲われて死亡してしまった。享年59歳。

 この仕組みは現在も不変だと見られているが、ウラジミル・プーチン露大統領の側近、アレキサンダー・プロハノフはイランのプレスTVのインタビューでISはアメリカの道具であり、イスラエルの情報機関、モサドの訓練を受けている可能性を指摘している。

 2014年4月にイラクでは議会選挙があり、ヌーリ・アル・マリキ首相の率いる「法治国家連合」が24%の得票率で第1党になり、全328議席のうち92議席を獲得した。

 その選挙が行われた前に月にマリキ首相はサウジアラビアやカタールを反政府勢力へ資金を提供していると批判している。その反政府勢力とはIS。しかも、その矛先はアメリカにも向く。

 マリキ政権は反政府勢力を押さえ込むために航空兵力を増強しようと考え、アメリカ政府に対して2011年と12年にF-16戦闘機を供給するように要請、契約もしていたのだが、搬入が遅れて首相は苛立っていたのだ。しびれを切らしたマリキ政権はロシアに戦闘機の提供を求め、ロシア側は要請に応じ、6月下旬、中古ながら5機のSu-25近接航空支援機をイラクへ運び込んだと言われている。

 通常では4月の選挙で勝ったマリキが首相を続けるはずだったが、7月に大統領となったフアード・マアスーム大統領が指名を拒否し、ハイダル・アル・アバーディが新首相になった。マリキはアメリカにとって好ましくない人物になっていたということだ。

 6月にISがファルージャやモスルを制圧して新たな「テロリスト」として売り出した。その際、アメリカ/NATOは軍事侵攻を黙認している。ISの動きをスパイ衛星や通信の傍受などで把握していたはずで、アメリカが反応しなかったことは不自然。トヨタ製の車を連ねての進軍が撮影されているが、そうしたことが行われたなら、無人機だけでも大きなダメージを与えられる。

 2011年10月にアメリカ/NATOとアル・カイダ系のLIFGの連合軍はリビアでムアンマル・アル・カダフィを惨殺しているが、その時はまずイギリスの偵察機がカダフィの車列を発見し、フランスの戦闘機が2発のレーザー誘導爆弾を投下、アメリカ軍の無人機プレデターも攻撃したとされている。最後は反政府武装グループがリンチのうえで惨殺している。アメリカ/NATOもやる気になればできるのだ。

 アメリカ/NATOやペルシャ湾岸産油国はISにダメージを与える攻撃をしないどころか物資を提供している。最初の空爆で破壊されたビルはその15から20日前から蛻の殻だったとCNNのアーワ・デイモンは翌朝の放送で伝えている。イスラエルは露骨で、今年1月にはISと戦っていた部隊を攻撃、ヒズボラの幹部5名とイランの革命防衛隊の将軍を殺害する一方、反シリア政府軍の負傷した戦闘員を治療している。

 日本が従属するアメリカ、その同盟国であるイスラエルとは、そうした国。現在、「テロリスト」を使って合法的に成立した政権を暴力で破壊、多くに人びとを虐殺している。安倍仙三政権は憲法を隠れ蓑に使いながら憲法を破壊しつつあるが、その目的は「海外で戦争する国」ではなく、侵略と略奪の片棒を担ぐということだ。彼らには「アングロ・サクソン信仰」があり、勝てると思い込んでいる。「勝てば官軍」。何をしても許されると信じているのだろう。





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最終更新日  2015.05.27 15:45:33



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