27428642 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

《櫻井ジャーナル》

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

バックナンバー

2015.06.27
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
 2013年11月から今年2月にかけてNHKの経営委員を務めた百田尚樹が自民党の議員が開いた「文化芸術懇話会」で「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」と発言、問題になっているようだ。こうしたことは裏で静かに行うもので、百田が行ったような露骨な発言は愚の骨頂だと支配層は思っているだろう。

 言うまでもなく、随分前から新聞社の経営状況は悪く、銀行がその気になればすぐに倒産するわけで、実際に「つぶすぞ」と脅されていると考えてる人は少なくない。つまり、新聞は支配層に逆らえない。テレビ局はスキャンダルという弱みがあるようだ。しかも、経営者や編集幹部は取り込まれている。

 百田は都知事選に立候補した田母神俊雄元航空幕僚長を応援した際、極東国際軍事裁判(東京裁判)について、東京大空襲や原爆投下を「悲惨な大虐殺」を「ごまかすための裁判だった」と語り、南京大虐殺も否定したという御仁。思慮深いとは到底言えない。そこで再任されなかったのか、というと、そうではないらしい。安倍晋三政権は慰留したが、本人が断ったという。

 安倍首相は百田より1カ月遅れで埼玉大学名誉教授の長谷川三千子をNHK経営委員として任命しているが、この人物は再任された。1993年10月に朝日新聞東京本社の応接室で拳銃自殺した野村秋介について長谷川は「人間が自らの命をもつて神と対話することができるなどといふことを露ほども信じてゐない連中の目の前で、野村秋介は神にその死をささげたのである」としたうえで、野村氏の自殺によって「わが国の今上陛下は(『人間宣言』が何と言はうと、日本国憲法が何と言はうと)ふたたび現御神となられたのである」と追悼文に書いている。長谷川自身は勿論、安倍首相もNHKも埼玉大学も正気とは思えない。そうした人物がまだNHKの経営委員を務めているわけで、NHKが言論の自由に目覚めたわけではないだろう。

 百田は作家らしいが、基本的にフィクションは読まないので作品自体に感想はない。プロフィールなどを見ると、放送作家として「探偵!ナイトスクープ」のチーフライターを務め、2006年には『永遠の0』なる小説が出版されて13年に映画化されたようだ。

 2006年と言えば、ロシアと中国の長距離核兵器を第1撃で破壊できる、つまり先制核攻撃でアメリカは世界の支配者になれると主張するキール・リーバーとダリル・プレスの論文がCFR/外交問題評議会の発行しているフォーリン・アフェアーズ誌に掲載された年でもある。

 ちなみに、その前年には「日米同盟:未来のための変革と再編」が署名されて対象は世界へ拡大、2004年にはリチャード・アーミテージが自民党の中川秀直らに対して「憲法9条は日米同盟関係の妨げの一つになっている」と言明、03年にはイラク特別措置法案が国会に提出され、そして02年には小泉純一郎政権が「武力攻撃事態法案」を国会に提出している。こうした好戦的な雰囲気の中に百田はカネの臭いを嗅ぎつけたのかもしれない。出版社や読者が何を望んでいるかを察知、『永遠の0』という作品につながったのだろう。

 しかし、見方を変えると、日本のマスコミにとって百田の発言は効果的な宣伝になったと言える。確かに沖縄の2紙は全国紙に比べるとまともだが、それでも支配層におもねっていることは否定できない。NHKを含む放送会社は新聞より酷く、雑誌や出版もプロパガンダ機関化が進んでいる。マスコミは政治、経済、国際、軍事等々、日本やアメリカの支配層にとって都合の悪い情報は伝えず、彼らが流す嘘を無批判に垂れ流してきた。百田は鏡が映し出した今の日本の断片にすぎない。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2015.06.28 03:18:19



© Rakuten Group, Inc.