27441213 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

《櫻井ジャーナル》

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

バックナンバー

2015.06.29
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
 不正な手段で多額の借金を背負わされ、返済は不可能な状態だと仮定しよう。しかも貸し手は高利貸し。取り立てに応じていれば、生活が成り立たないのだが、カネ貸しは身ぐるみ剥ごうとする。そこで高利貸しが生活のさらなる切り詰めを条件にして生活資金を貸そうと言ってきたとき、これを「支援」と言うことはできない。

 ギリシャを財政危機に陥れたのはゴールドマン・サックスをはじめとする巨大銀行やヘッジファンド、そうした集団と手を組んでいたギリシャの腐敗した支配層だと言え、その責任を問うためにも金融機関を徹底的に調べる必要があるのだが、そうしたことは行われていない。IMF、ECB(欧州中央銀行)、EC(欧州委員会)のトロイカはギリシャの庶民に責任を押しつけ、年金や賃金を大幅に減額、社会保障の水準を下げ、失業者を増やそうとするばかりだ。

 ロナルド・レーガン政権で財務次官補を務めたロバート・クレイグ・ロバーツなどは、財政危機への対処として通貨を刷るという手段もあると指摘している。ECBはヨーロッパの金融システムを守るために行っていることをギリシャに対しても行えば良いと言っている。こうしたことをするとインフレを招くと教科書は説明しているが、今の世界では通用しない理論。実際、そうしたことは起こっていない。

 日本でも日銀の黒田東彦総裁が「量的・質的金融緩和(異次元金融緩和)」を推進しているが、インフレにはなっていない。生産力をなくしたアメリカでは物を買うためにドルを発行するが、それは金融市場へ流れ込んでバブルになり、インフレにはならない。

 つまり、IMF、ECB、ECがその気になれば、ギリシャは助かるのだが、このトロイカや、その背後のウォール街はギリシャを助けるつもりはないのだとロバーツは言う。その通りだ。先日、ギリシャは天然ガス用のパイプラインを建設するためにロシアから融資を受けることになったが、助かる道はロシアと手を組むしかない。

 勿論、ウォール街は決して許さないだろう。歴史を振り返ると、アメリカの支配層は自分たちのカネ儲けを邪魔する人びとを排除してきた。暗殺やクーデターは珍しくない。ウクライナのビクトル・ヤヌコビッチ大統領もEUと組んで国を破綻させるのではなく、良い条件を出したロシアへ接近しようとした結果、ネオコン/イスラエル第一派が主導するクーデターで排除された。NATO加盟国であるギリシャにはイタリアのグラディオとつながっている秘密部隊(テロ部隊)が存在していることを忘れてはならない。

 ボリス・エリツィン時代のロシアでも財政は破綻、金融緩和と私有化で一部の人びとは巨万の富を築いた。ギリシャの遺跡を巨大資本は、よだれを垂らしながら眺めていることだろう。そうした状況をギリシャ政府も熟知しているはずで、だからこそ7月5日に国民投票を実施すると発表、トロイカ側もそうした事情を理解しているので「金融支援プログラム」の延長を拒否したわけだ。

 IMFの出したGDP(国内総生産)の見通しによると、2010年には−4.0%だが、11年になると−2.6%に改善、12年は+1.1%、13年は+2.1%になるはずだったが、実際は遥かに悪く、−4.9%、−7.1%、−7.0%、−4.2%と下がり続けた。失業率は11.8%、14.6%、14.8%、14.3%になるとIMFは見通していたが、実際は12.6%、17.7%、24.3%、27.3%だ。

 ギリシャ国民はトロイカの政策を明確に拒否しているが、こうした経済の悪化を見るだけでも、その理由はわかる。それでもトロイカは獲物が逃げることを許さない。激しい戦いが始まりそうだ。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2015.06.30 04:46:04



© Rakuten Group, Inc.