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《櫻井ジャーナル》

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2015.10.08
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 シリアという国のあり方を決める権利を持っているのはシリア人だけである。ところが
アメリカ、イギリス、フランス、トルコ、サウジアラビア、カタール、ヨルダン、イスラエルといった国々は2011年3月、バシャール・アル・アサド体制を倒すために軍事作戦をスタートさせた。つまり侵略を始めたわけである。

 当初、中心的な役割を果たしたのはアメリカ、イスラエル、サウジアラビアだが、ここにきてIS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISISやダーイシュとも表記)に拠点を提供し、兵站ラインを守っているトルコが、またISを支援するためにシリアを攻撃しているイスラエルが注目されている。

 9月29日、ニューヨークでロシアのウラジミル・プーチン大統領とアメリカのバラク・オバマ大統領が会談した。その際、プーチン大統領はイスラエルのシリア攻撃に懸念を示したというが、ネオコンやその背後に存在する支配者グループが大きな影響力を持つアメリカがイスラエルを制御することは難しいはずで、ロシア政府に何を言われても対応できない。

 会談の翌日からロシアはシリアに侵入している武装勢力を攻撃し始めた。今回の攻撃でロシア軍はカスピ海から巡航ミサイルでISやアル・ヌスラの部隊を攻撃したと発表されているが、こうした攻撃が可能だということは、イスラエルを攻撃することもできるということにほかならない。さらに、今後、ロシアはシリアの防空システムを強化してイスラエルの攻撃に備えるだろう。

 イスラエルがシリアを攻撃した一例は、2013年1月30日に行われた4機の戦闘機によるもの。その8日前、アビブ・コチャビAMAN(イスラエルの軍情報部)司令官はワシントンで攻撃計画を説明、同じ時期にイスラエル政府は安全保障担当の顧問、ヤコフ・アミドロールをロシアへ派遣して攻撃を通告していたとも言われている。

 2013年5月や14年12月にあった爆発は大きく、まるで地震のような揺れがあり、「巨大な金色のキノコに見える炎」が目撃された。爆発の様子を撮影したCCDカメラに画素が輝く現象(シンチレーション)もあり、小型の中性子爆弾が使われたと推測する人もいる。この推測が正しいならば、実行したのはイスラエルだった可能性がきわめて高い。

 1986年にイスラエルの核兵器開発を内部告発したモルデカイ・バヌヌによると、イスラエルは150から200発の原爆や水爆を保有しているだけでなく、中性子爆弾の製造を始めていたという。その中性子爆弾を使ったとしても不思議ではない。

 シリアで大爆発があった当時、アメリカとイスラエルはシリアへ軍事侵攻する動きを見せ、「化学兵器話」を西側のメディアは宣伝していた。この「化学兵器話」が嘘だということは本ブログで何度も書いてきた。そして攻撃が噂されていた9月3日、地中海の中央から東へ向かって2発のミサイルが発射されたのだが、2発とも海中に落ちてしまう。

 その直後にイスラエル国防省はアメリカと合同で行ったミサイル発射実験だと発表しているが、事前に周辺国(少なくともロシア)へ通告はなかった。シリアに向かってミサイルは飛んでいたことから、侵攻作戦をイスラエルとアメリカは始めたと考えても不思議ではない。そこで、ドイツからイスラエルへ提供されたドルフィン級潜水艦がミサイルを発射したが、ジャミングなどの手段で落とされたのではないかと言われている。この後、アメリカはシリア攻撃の動きを止めた。

 それでもイスラエルはシリアを攻撃し続ける。今年1月18日にはISを追い詰めていたシリア政府軍とヒズボラの部隊をイスラエルは攻撃し、イラン革命防衛隊のモハメド・アラーダディ将軍を含む幹部を殺した。イスラエルが負傷した反シリア政府軍/ISの兵士を治療しているとも伝えられている。

 アメリカの好戦的な政策を推進しているのは戦争ビジネスやネオコン/シオニストで、その背後には金融資本が存在している。言うまでもなく、ネオコンはイスラエルと緊密な関係にあり、その中心グループのひとりがポール・ウォルフォウィッツだ。この人物はソ連が消滅して「冷戦」が終わる直前、イラク、シリア、イランを殲滅すると口にしている

 1992年の初めにアメリカ国防総省はDPGの草案を作成したが、その中でアメリカを「唯一の超大国」と位置づけ、世界を制覇するために潜在的なライバル、つまり旧ソ連圏、西ヨーロッパ、東アジアなどを潰し、ライバルを生む出すのに十分な資源を抱える西南アジアを支配しようというビジョンを打ち出した。この草案作成で中心的なウォルフォウィッツが中心的な役割を果たしたことから、「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。そこからアメリカの好戦派は軍事侵略を本格化したわけで、「冷戦」の終結で世界は平和になると考えた人は「冷戦」の本質を理解していなかったということだ。

 現在、シリアで続いている戦乱もウォルフォウィッツ・ドクトリンが生み出したと言える。「アメリカの価値観」、つまり少数の支配者に権力や富を集中させ、私的権力が国を支配するべきだとする考え方、フランクリン・ルーズベルトの定義ではファシズム化に従わない「レジーム」を「チェンジ」する一環として、シリアのバシャール・アル・アサド体制を倒そうとしている。

 アサド体制の打倒はイスラエル政府の意思でもある。ベンヤミン・ネタニヤフ首相の側近として知られるマイケル・オーレン駐米イスラエル大使は2013年9月、シリアのアサド体制よりアル・カイダの方がましだと語った

 シリア国内にアメリカ支配層に命令に従ってクーデターを実行できる勢力は存在しないため、国外から傭兵を投入して2011年3月から戦闘が始まった。これを西側では政府やメディアが「自由」や「民主化」といった言葉で飾り立てているが、実態は単なる侵略。

 ネオコンの戦術は恫喝して屈服させるというものだが、「テロには屈しない」ロシアが屈することはないだろう。逆に、イスラエルはロシアの射程圏内にあることを今回の巡航ミサイルによる攻撃は示しているわけで、イスラエルへの警告と見ることもできる。そのイスラエルはガザで破壊と殺戮を行っている。

 事態が切迫する中、安倍晋三政権は憲法を無視する形で「安全保障関連法」、いわゆる戦争法を強行成立させたのだが、ロシアとの全面核戦争へ突き進むネオコンにどの程度の西側支配層が従うだろうか?





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最終更新日  2015.10.08 22:58:14



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