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《櫻井ジャーナル》

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2015.12.22
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 イラクのファルージャでカナダ空軍機がイラク軍を攻撃したと伝えられている。現在、IS(ISIS、ISIL、ダーイッシュなどとも表記)と呼ばれているサラフ主義者/ワッハーブ派系の戦闘集団が2014年1月に「イスラム首長国」の建国を宣言したのはこの地域で、ISとイラク政府軍との戦闘が続いている。

 イラク議会の安全保障国防委員会の委員長によると、先週もアメリカが主導する連合軍がイラク軍を空爆して20名とも30名とも言われる兵士が殺され、同じ程度の人数の兵士が負傷したという。少なくとも結果としてISを支援していることになる。ISの内部にフセイン時代の軍幹部が参加していることは確かだが、ISをフセイン体制の残党だと考えるべきではない。

 こうした「誤爆」や物資の「誤投下」が繰り返す一方、ISなどアル・カイダ系武装勢力の兵站ラインや盗掘石油の密輸をアメリカ政府は黙認してきた。こうした点をメディアに問われたCIAのマイケル・モレル元副長官は、副次的被害のほか環境破壊を防ぐためだと主張して失笑を買っている。

 こうした兵站を担当、盗掘石油の輸送で大儲けしているのが現在のトルコ大統領、レジェップ・タイイップ・エルドアンの一家。背後にアメリカ/NATOやサウジアラビアが存在しているとは言え、トルコ政府はサラフ主義者/ワッハーブ派系の戦闘集団を攻撃していたロシア軍機を撃墜させている。そのトルコ政府と友好を促進する政府も碌でなしだと見られるだろう。

 空爆で武装勢力を壊滅できるかどうかという議論があるらしいが、中東/北アフリカではそれ以前の問題がある。つまり、アメリカ主導の連合軍はサラフ主義者/ワッハーブ派系戦闘集団を敵と考えているのか味方と考えているのか、住民の蜂起と認識しているのか侵略者だと認識しているのかということだ。

 本ブログでは何度も書いてきたが、歴史的にアメリカ、サウジアラビア、イスラエルをはじめとする国々はサラフ主義者/ワッハーブ派系戦闘集団を傭兵として使ってきた。ロビン・クック元英外相が指摘しているように、そうした戦闘員のコンピュータ・ファイルがアル・カイダ。アラビア語で「ベース」を意味し、「データベース」の訳としても使われているのだ。

 ISが建国を宣言する1年5カ月前にアメリカ軍の情報機関DIAが作成した文書には、反シリア政府軍の主力をサラフ主義者、ムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団のAQIだとし、アル・ヌスラはAQIがシリアで使っている名称にすぎず、そうした武装勢力は西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けていると書いている。前のイラク首相、ヌーリ・アル・マリキはサウジアラビアやカタールが反政府勢力へ資金を提供していると2014年3月に発言しているが、これは歴史的な構図だ。

 アメリカがサウジアラビア、パキスタン、イスラエルなどの協力を得てサラフ主義者/ワッハーブ派系の戦闘集団を編成したのは、ジミー・カーター米大統領の補佐官だったズビグネフ・ブレジンスキーが1979年7月に始めたプロジェクトに基づく。ソ連を刺激して軍隊をアフガニスタンへ誘い込み、そこでイスラム武装勢力と戦わせるというプランだ。その目論見通り、ソ連の機甲部隊が1979年12月にアフガニスタンへ軍事侵攻している。

 その後、2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターとワシントンDCの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃されるが、その攻撃を利用し、2003年には無関係のイラクを先制攻撃してサダム・フセイン体制を破壊した。AQIがイラクで編成されたのは、その翌年。2006年にはAQIが中心になってISIなるグループが作られ、活動範囲のシリアへの拡大に伴い、今ではISと呼ばれている。

 WikiLeaksが公表した文書によると、ISIが編成された2006年にアメリカ政府はサウジアラビアやエジプトと手を組み、宗派対立を煽ってシリアを不安定化させる工作を始めたという。2007年3月5日付けニューヨーカー誌に掲載されたシーモア・ハーシュのレポートでは、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの「三国同盟」がシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラに対する秘密工作を開始したと指摘されている。その手先になるのがサラフ主義者/ワッハーブ派系の武装集団だ。

 勿論、アメリカ政府はサラフ主義者/ワッハーブ派系戦闘集団を敵と考え、その戦闘集団の戦いは住民の蜂起だということにした方が西側では生きやすい。が、事実を調べていけば、そうした結論に到達しないだろう。





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最終更新日  2015.12.22 16:23:12



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