27431469 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

《櫻井ジャーナル》

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

バックナンバー

2016.06.22
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
 東京電力の福島第一原発が事故を起こした際、その当時社長だった清水正孝が「炉心溶融」を使わないよう社内に指示していたことを広瀬直己社長は認め、謝罪したという。その結果、近くの住民だけでなく日本人全体の被曝量は大きく増えた可能性があり、その罪は重い。場合によっては、より深刻な事態もありえた。

 2011年3月11日14時46分に地震が発生、その約1時間後に全ての電源が失われて炉心を冷却できなくなったとされている。その時点で炉心溶融は不可避だった。「過渡期現象記録装置データ」から元東電社員の木村俊雄は地震発生の1分30秒後あたり、つまり津波が来る前から冷却水の循環が急激に減少し、メルトダウンが始まる環境になったとしているので、実際の進行は公式発表より速かったかもしれない。

 事故前に原子力安全基盤機構が作成していた炉心溶融のシミュレーション画像を見ると、全電源喪失事故から30分ほど後にメルトダウンが始まり、約1時間後に圧力容器の下に溶融物は溜まり、約3時間後に貫通して格納容器の床に落下、コンクリートを溶かし、さらに下のコンクリート床面へ落ち、格納容器の圧力が上昇、外部へガスが漏洩し始めると予想されている。

 地震の翌日、3月12日の0時49分には格納容器の圧力が大きく上昇、15時36分には1号機で水素爆発があった。その様子を上空から撮影した写真がないとは思えない。その写真を見れば、青い光が写っていただろう。そこで確認できたはずだ。14日11時1分には1号機とは異質の激しい爆発が3号機であった。

 1号機で爆発が起こる1時間半ほど前に開かれた記者会見で経済産業省の中村幸一郎審議官は炉心溶融の可能性があると発言している。中村審議官がメルトダウンの可能性を口にした段階で記者もそうした状況を予想していなければおかしい。原発に関心を持っている人なら「そうだろうね」と思っただろうが、その翌日から広報担当は別の人物に交代した。その時点でこの交代に何も感じない記者がいたとするならばかなり鈍感な人物。炉心溶融について追及しなかった記者たちも読者や視聴者に謝罪しなければならない。

 溶融した炉心がどうなっているかは未だに不明。5月には東京電力の常務執行役で「福島第一廃炉推進カンパニープレジデント」だという増田尚宏は溶融した燃料棒を含む塊(デブリ)600トンがどこにあるか不明だと認めている

 おそらくデブリは地中に潜り込み、地下水がそれを冷却している状態。チャイナ・シンドローム状態になっているということだ。40年で廃炉することが難しいと東電も認識しているようで、例えば、福島第一原発の小野明所長も飛躍的な技術の進歩がない限り、不可能かもしれないと語っている。

 イギリスのタイムズ紙は廃炉までに200年という数字を出しているが、数百年はかかると見るのが常識的。その間のコストは膨大で、リスクは高い。今後、健康、環境への影響も顕在化し、「種」としての存続が問題になることも考えられる。ある程度、情報を出さないとまずい深刻な事態になっているのかもしれない。

 ところで、清水は2008年6月に勝俣恒久の後任として社長になった。勝俣は清水の義父にあたるという。この人事の背景には2007年7月の新潟県中越沖地震があった。地震の最大震度は6強とされているが、柏崎刈羽原発の敷地内にある地震計は震度7を計測、緊急停止している。被害は大したことがなかったとされているが、実際は非常に危険な状態だったとも言われている。

 2007年には電力会社が重大な事故を隠蔽してきたことが発覚、これも東電の社長交代につながったのだろう。例えば、3月には「1978年11月2日に福島第一原発3号機において制御棒5本が脱落し、7時間半も臨界状態が続いていた」と推定されることを東京電力が公表している。そのほかにも東電では1979年2月12日に福島第一原発5号機で1本、80年9月10日に同原発2号機で1本、93年6月15日には福島第二原発2号機で1本、93年6月15日には福島第二原発3号機で2本が脱落し、98年の定期検査中には34本が一気に15センチメートルほど抜け、そして2000年4月7日には柏崎刈羽原発1号機で2本脱落したことが明らかになった。

 情報の隠蔽は常態化、東電、経産省、内閣、マスコミ、どこも信用できない。日本では内部告発者はほとんど出てこないが、秘密保護法は情報の隠蔽を正当化して万一にも内部告発者が現れないようにしている。広瀬社長の「謝罪」も空しい。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2016.06.22 21:22:44



© Rakuten Group, Inc.