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《櫻井ジャーナル》

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2016.08.02
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アレッポで人道支援活動をしていたロシア軍のMi-8ヘリコプターが撃墜され、搭乗していた5名が死亡した。撃墜地点を支配しているジャイシュ・アル・ファターはサウジアラビアやカタールの支援を受け、アメリカが支援するFSAと連携している「穏健派」だ。

 アメリカ政府は現在でもシリアのバシャール・アル・アサド政権を倒し、自分たちの傀儡体制を築くことを目的にしている。そうした「レジーム・チェンジ」を拒否しているロシアのヘリコプターを攻撃しても不思議ではないが、アメリカ政府は「穏健派」、つまり自分たちの手先を攻撃しないようにロシア政府へ要求している。

 本ブログでは何度も書いてきたことだが、アメリカの国防次官だったポール・ウォルフォウィッツはソ連が消滅した1991年、イラク、イラン、シリアを5年以内に殲滅すると語っている。これはウェズリー・クラーク元欧州連合軍最高司令官の話。言うまでもなく、ウォルフォウィッツはネオコン/シオニストの中心グループの属している人物。つまり、ネオコンは遅くとも1991年からシリアの体制転覆を予定していた。

 調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュが2007年3月5日付けニューヨーカー誌に書いた記事よると、その段階でアメリカはイスラエルやサウジアラビアと手を組み、シリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラに対する秘密工作を開始、アメリカのバラク・オバマ政権とトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン政権は2012年のはじめ、アサド政権を打倒するための工作に関して秘密合意に達したという。

 2012年の合意では、トルコ、サウジアラビア、カタールが資金を提供し、アメリカの情報機関CIAがイギリスの対外情報機関MI6の助けを借りてリビアからシリアへ武器/兵器を送ることになったという。こうした国々が傭兵として使ってきたのがアル・カイダ系武装集団やダーイッシュ(IS、ISIS、ISILとも表記)だ。

 アメリカ軍の情報機関DIAは2012年8月、シリア情勢に関する報告書を政府へ送っている。それによると、反シリア政府軍の主力はサラフ主義者、ムスリム同胞団、アル・カイダ系武装集団のAQI(アル・ヌスラと実態は同じだとしている)であり、西側、ペルシャ湾岸諸国、そしてトルコの支援を受けているとしている。

 しかも、報告書が作成された当時にDIA局長だったマイケル・フリン中将はアル・ジャジーラに対し、ダーイッシュの勢力が拡大したのはオバマ政権が行った決断によるとしている。シリアに「穏健派」は存在せず、アメリカ政府は警告を無視してダーイッシュを構成するサラフ主義者やムスリム同胞団、そしてアル・カイダ系武装集団を支援したということだ。また、クラーク元欧州連合軍最高司令官はCNNの番組で、アメリカの友好国と同盟国がダーイッシュを作り上げたと語っている。

 2003年3月にアメリカ軍を中心とする連合軍がイラクを先制攻撃してサダム・フセインを倒した後、イラクへアル・カイダ系武装集団が入り込む。AQIが創設されたのは2004年のことだ。2006年には、このAQIが中心になってISI(イラクのイスラム国)が誕生、13年4月にシリアで戦闘を始めてからダーイッシュと呼ばれるようになった。つまり、アル・カイダ系武装集団とダーイッシュはタグが違うだけで、中身は同じ。

 アメリカ、イスラエル、サウジアラビア、カタール、トルコなどがシリア侵略の黒幕。アル・カイダ系武装集団、ダーイッシュ、あるいは「穏健派」は傭兵だ。アメリカなどがこの傭兵を本気で攻撃するはずはなかった。

 1991年以来、ネオコンはアメリカが軍事侵攻してもソ連/ロシアは出てこないと高をくくっている。その思い込みを打ち砕いたのが昨年9月30日のロシア軍による空爆開始。しかも戦闘能力が高いことを示した。

 ロシア軍を退場させる必要があると考えたのか、11月24日にトルコ軍のF-16がロシア軍のSu-24を待ち伏せ攻撃して撃墜している。内部告発支援グループのWikiLeaksによると、この撃墜は10月10日にエルドアンが計画したという。

 しかし、トルコ政府が独断でロシア軍機を撃墜するとは考え難く、実際、24日から25日にかけてポール・セルバ米統合参謀本部副議長がトルコのアンカラを訪問、トルコ軍の幹部と会談している。シリア周辺ではギリシャを拠点とするアメリカのAWACS(早期警戒管制)機、そしてサウジアラビアのAWACS機も飛行、両機はトルコとシリアの国境付近で何が起こっているかも監視、あるいはトルコ軍機を指揮管制していた可能性が高い。

 現在、ロシア政府内ではシリアから撤退し、国連の任せるべきだと主張する人びとがいるらしいが、ウクライナのクーデターで明らかになったが、国連に任せれば、アメリカ支配層の意向に沿う形で決着する。例えば、国連事務次長のジェフリー・フェルトマンは1991年から93年にかけてローレンス・イーグルバーガー国務副長官の下で東/中央ヨーロッパを担当、ユーゴスラビア解体に関与し、04年から08年にかけてレバノン駐在大使を務めているときにはレバノンでラフィク・ハリリ元首相が殺害されている。この殺害の責任をシリアへなすりつけ、アサド体制を倒す口実にしようとしていた。こうしたことはプーチンも十分に承知しているはずで、国連に任せることはないはず。

 アメリカのメディアが必死に支援しているヒラリー・クリントンは軍事侵略で目障りな体制を倒し、破壊と殺戮で破綻国家を作り続けてきた人物。中国やロシアに対しては、かつてアメリカのリチャード・ニクソン大統領やイスラエルのモシェ・ダヤン将軍のように凶人、あるいは狂犬戦術をクリントンも使いそうだ。つまり、核戦争を始めると脅し、両国を屈服させようとするだろう。ロシアの親米勢力としては、プーチンに屈服させるしか自分たちが生き残る道はない。





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最終更新日  2016.08.02 05:04:28



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