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《櫻井ジャーナル》

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2019.02.14
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 イラクが侵略される2年前、2001年9月11日にニューヨークの世界貿易センターやバージニア州アーリントンの国防総省本部庁舎(ペンタゴン)が攻撃された。クラーク元最高司令官によると、その数週間後にドナルド・ラムズフェルド国防長官の周辺で攻撃予定国リストが作成されていた。そこにはイラク、シリア、イランのほか、レバノン、リビア、ソマリア、そしてスーダンが載っていた。

 このうちリビアとシリアは2011年春に攻撃される。西側の有力メディアは今でも「内戦」だと言い張っているが、アメリカなどが送り込んだジハード傭兵が戦争を始めたのだ。

 両国に対する攻撃は2001年の段階で決定済みで、07年にはジハード傭兵を使うことが決まっていたが、その作戦を最終的に承認したのはバラク・オバマ大統領。2010年8月にPSD-11を出したのだ。そして「アラブの春」が始まる。

 シリアより1カ月早い2011年2月に戦争が始まったリビアで侵略側は飛行禁止空域を導入して制空権を握り、米英は艦船から巡航ミサイルを発射する。5月にはNATO軍機が空爆を開始、10月にはムアンマル・アル・カダフィが惨殺された。

 カダフィが殺されたとCBSのインタビュー中に知らされたヒラリー・クリントンは「来た、見た、死んだ」と口にして喜んでいるが、この時にベンガジでは裁判所の建物にアル・カイダの旗が掲げられ、NATOとアル・カイダ系武装集団が同盟関係にあることが発覚してしまう。(​ココ​や​ココ​)

 リビアでカダフィ体制が崩壊すると侵略勢力は戦闘員や武器/兵器をシリアへ移動させるが、その過程でアメリカなどがアル・カイダ系武装勢力を使っていたことが明確になった。

 ベンガジはアメリカの軍や情報機関が拠点としていたが、そこのアメリカ領事館が戦闘員や武器をシリアへ運ぶ工作の拠点になっていた。その領事館が2012年9月に襲撃され、クリストファー・スティーブンス大使が殺されている。PSD-11ではムスリム同胞団が中心に据えられていたが、これに反発した勢力が実行したとも推測されている。

 NATOとアル・カイダ系武装集団の同盟関係が発覚すると、オバマ大統領は「穏健派」なるタグを持ち出して弁明するのだが、2012年8月にアメリカ軍の情報機関DIAがオバマ政権に提出した報告書の中で、シリア政府軍と戦っている主力はサラフィ主義者やムスリム同胞団を中心に編成された戦闘集団であり、オバマ政権が政策を変更しないと東部シリア(ハサカやデリゾール)にサラフィ主義者の支配国が作られる可能性があると警告する。この警告は2014年にダーイッシュ(IS、ISIS、ISIL、イスラム国とも表記)という形で現実になった。

 オバマ大統領は2015年、シリアに対する直接的な軍事侵攻の準備を始めたと思える動きを示す。2月に国務長官をチャック・ヘイゲルからアシュトン・カーターへ、9月に統合参謀本部議長をマーティン・デンプシーからジョセフ・ダンフォードへ交代させたのだ。ヘイゲルは戦争に慎重な立場で、デンプシーはサラフィ主義者やムスリム同胞団を危険だと考えていた。

 ジハード傭兵を危険だと考える人物からシリアの体制転覆に積極的な好戦派へ替えられたのだが、これに対してロシア軍はシリア政府の要請で9月末に軍事介入、ジハード傭兵を攻撃して占領地域を急速に縮小させはじめる。

 その後、ロシア政府はアメリカ政府との連携を模索、状況はこじれてしまう。ウラジミル・プーチン露大統領は2017年10月に記者からの質問に答え、「西側との関係で我々が犯した最も深刻な間違いは信用しすぎたということだ」と語ったが、遅くとも西側が信用できないことは1990年代にわかっていたはず。ロシアでは親西側派の力がそれだけ強いということなのだろうが、それはロシアにとって大きなハンデになっている。

 イドリブ制圧作戦をシリア政府は中断してきたが、その前、アメリカをはじめとする西側勢力は艦船や爆撃機を派遣するだけでなく、化学兵器話を使おうとしていたと見られている。当時、44名の子どもが誘拐されたと伝えられたが、その子どもをイギリスの情報機関MI6が犠牲者に仕立て上げようと計画、SCD(シリア市民防衛)、別名「白いヘルメット」が偽旗作戦の主役を演じるとも伝えられていた。イドリブ制圧作戦の再開でこのシナリオが復活する可能性もある。(了)






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最終更新日  2019.02.14 00:00:19



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