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テーマ:韓国!(16975)
カテゴリ:映画
Asian Queer Film Festivalで
『鍾路の奇跡/チョンノの奇跡/Miracle on Jongno Street』観賞。 10代、20代が主人公の短編に引き続き (『少年、少年に会う』『友だちなの?』から) 次のライフステージである30代のゲイ4人が主人公。 20代は兵役がカップルの障害になったり 親へのカミングアウトが描かれていた。 30代はさらに広い社会との対峙がある。 職場では「結婚しないの?」と聞かれ より広く複雑な環境での カミングアウトの困難さ、というプレッシャーがかかる。 そんなライフステージで 引き続きカミングアウトという一生の宿題を抱えた4人のゲイ(監督を含めると5人)が 登場するカミングアウト・ドキュメンタリー。 鍾路の楽園洞/ナグォンドンといえば 映画館や宝石卸商の多く集まる鍾路近く。 骨董品、土産物店の多い観光地仁寺洞/インサドン、 独立運動発祥の地で男性のお年寄りが多く集まるタプコル公園の近くに位置する。 楽園洞は ギターなどの楽器を売る店が多く(東京のお茶の水よりちょっと規模が大きい感じ) お餅やさん(名節や結婚式などでつかう専門的な餅も売る店)も多い一角。 夜はゲイが集まる楽園となる(ほかに梨泰院も有名)。 ポスターでは 粋なファッションのゲイ4人が並んで進み 「セックス・アンド・ザ・シティ」のビジュアルを思い出させる。 (女子は並ぶと美しい。 少女時代も。そしてゲイも!?) ドラマと映画になったSATCはアメリカ女子4人の友情を描いていたが 『鍾路の奇跡』は4人それぞれの生を描いたオムニバス形式。 イ・ヒョクサン/LEE Hyuk-sang 監督作品。 最初のエピソードはソ・ジュンムン監督。 ゲイの監督として 現場でただひとりのゲイとしてゲイ映画製作を指揮する困難を語る。 マイノリティの苦悩。 日本社会で(たいていどこでも)たったひとりの韓国人、 マイノリティとして過ごした日々とオーヴァーラップし、 マイノリティの孤独と孤立感に共感し普遍性を感じながら観ていた。 梨泰院で撮影しようとしていた映画製作はけっきょく中断してしまう。 その後は肩の力を抜いて よりリラックスして新しいスタッフと新しい映画製作に入って行く。 マイノリティとして生きるのって緊張を強いられるよね...と共感しながら 監督の変化をみつめていた。 ゲイの人権活動家チャン・ビョングォンの生き方は マイノリティゆえ ほかのマイノリティにも心を寄り添わせて生きるようになる、 生きて行く姿がくっきり感じられる。 フィリピンの性同一性障害の女性も登場していた。 3番目のエピソード、 ヴォーカルグループ(合唱団)G-Voiceメンバーのヨンスの物語は ドラマチックだった。 字幕には訳出されていなかったが ナレーションで彼はいつも「田舎ゲイ/シゴル ゲイ」と呼ばれていた。 愛情と親しみを込めて、 「田舎ゲイ」と呼ばれているのがいい。ちょっといじられキャラな感じ。 田舎ではカミングアウトできなかった 仲間に会うこともなかった地方のゲイが 鍾路で仲間に出会う。 その道程が鮮明。 ドキュメンタリーの中で 今が人生最高の時、と笑顔で語っていたヨンスに訪れた悲劇。 その明暗、対比もくっきりしていて 運命の残酷さに涙がとまらなくなった。 田舎でG-Voiceの公演をすることになった時 高校生のころ好きだった同級生の男性を招待したところ 家族連れで聴きに来たシーンも印象的だった。 同級生はヨンスを受け入れたのかどうか... 同級生の心の動きまでは追っていないので...。 友情ゆえに聴きに来たにせよ 同級だったヨンスを受け入れたかのようで カミングアウトという一生の宿題を果たしていく中で 彼にとって人生最高の時のひとつ、 温かく受け入れられた幸せな瞬間のひとつだったのではないかと 涙ながらに観ていた。 G-Voiceのメンバーは顔を出すのがNGな人は(観ている限り)20%以下くらいかなぁ。 きっとメンバーそれぞれにとっても このドキュメンタリー映画そのものが カミングアウトの宿題を果たす機会になっていたかもしれない。 鍾路でひとめぼれした恋人がHIV患者。 4番目のエピソードの主人公ユルは 恋人と出会う前からの知り合いであるHIV患者をサポートしながら 外資系大手製薬会社が韓国はマーケット規模が小さい、という論理で HIV治療薬を韓国では販売しないことに抗議する運動に関わっている。 マイノリティとして さらにほかのマイノリティと接し 彼らと心を寄り添わせる心の活動の軌跡がくっきりしていた。 マイノリティはマイノリティに 心を寄せ思いを寄せ 通じ合い助け合う過程が伝わってくる。 タルトンネ的発想で 相手のところまで急降下で降りて行って 同じ高さで いちばん底で心を触れ合う時のように。 エピソードそれぞれで 今まで知らなかった事実や 日本の状況との違いなど (たとえば大手製薬会社の話など) 少しずつ知っていきながら ポスターの中で4人が並んで歩くように それぞれのエピソードが手を結び 大きく広がってふくらんでいくような感覚をおぼえた。 ソ・ジュンムン監督が 兵役検査の時になんの気なしに同性愛について正直に志向を回答したゆえに 軍精神病院に1年間入院させられた、というエピソードは衝撃的だった。 分断国家で休戦状態下の兵役、とはいえ... 『椿プロジェクト/Camellia Project-Three Queer Stories of Bogil Island』という 老いたゲイ・カップルを描いた過去の映像作品が ドキュメンタリーの中でちらっと紹介されていたが... それも観ることができれば 人の一生の間、各ライフステージで直面する問題や カミングアウトという一生の宿題との関わりを知ることができるなぁと考えてもいた。 『椿プロジェクト』は イソン・ヒイル監督、チェ・ジンソン監督、そしてソ・ジュンムン監督による ポギル島で起こった3つのクィアー話(2004年)。 奇しくも2011年7月24日は ニューヨーク州で同性婚を認める法律が施行された。 60代、70代のカップルもいたそう。 人生のライフステージ後半にさしかかり ようやく堂々と手を取り合い指輪を交換することができた幸せそうなカップルの姿が ニュースの中でいくつも見られた。 マイノリティが希望を持てる国、社会がいいな...映画『ミルク/MILK』 Asian Queer Film Festivalで観たのは 『少年、少年に会う』『友だちなの?』 と 短編集Aで2回目の『ランドリー・クイーン/The Queen』や『アジュンマ!正気なの???/Ajumma! Are You Krazy???』。 タイのレディボーイのドキュメンタリーについて。 to be continued...!? buzz KOREA Click... にほんブログ村 韓国映画 にほんブログ村 映画 にほんブログ村 映画評論・レビュー にほんブログ村 韓国情報 にほんブログ村 K-POP にほんブログ村 Copyright 2003-2024 Dalnara, confuoco. All rights reserved. 本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は 著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。 無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、 表現や 情報、意見、 解釈、考察 ロジックや発想(アイデア)・ 視点(着眼点)、写真・画像等も コピー・利用・流用することは禁止します。 剽窃厳禁。 悪質なキュレーション Curation 型剽窃、 つまみ食い剽窃もお断り。 複製のみならず、 切り刻んで翻案等も著作権侵害です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Feb 17, 2023 11:46:43 PM
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