中国朝鮮族の張律(チャン・リュル)監督作。
中国インディペンデント映画祭で
『重慶』とともに。
あらすじ
アパートでひとり静かに暮らす男。
唐詩のTV番組を視るのが楽しみだ。
時折訪ねてくる女性は舞踊の演出家。
かつてはスリだった男の、掏りの弟子である。
手が利かなくなってスリ稼業から足を洗い引きこもった師匠に
女は最後の仕事を持ちかけるのだが...
『唐詩/Tang Poetry』(2004年)は張律監督の長編デビュー作。
やはり余白と行間を読ませるような
セリフが少ない寡黙な演出。
釜山で観た
『豆満江/Dooman River』も
『キムチを売る女(芒種)』もそうだった。
ただその静謐さに
欲望と疑惑、恐怖がじわじわ浸み拡がって行く。
アパートの外からは一歩も出ないカメラが
アパート内部の欲望、疑惑、恐怖、悲しみを少しずつ積み重ね
濃縮・凝縮していく。
(以下、映画の核心に触れる部分もございます)
張監督によると
当時中国ではSARSが流行していたため
映画を外で撮ることが出来なかったそう。
また、張監督が住んでいた北京市内のアパートで聞いていた
隣人の生活音や電話の話し声、夜になると聴こえるすすり泣く声なども
ヒントになったそう。
室内ばかりのシーンなので
画面が単調にならないようにカメラの設置には苦心したと言う。
壁やドアを工夫して撮ってもいる。
それでも、出来上がった作品を観た時は自分も眠りそうになったと笑わせるが...
主人公の隣室に住む老人が
箪笥預金が麻雀仲間に盗まれたと激高し勢いで相手を殺してしまった事件について
聞いている時の主人公の表情が心に残る。
人間の欲望、業、その深淵をのぞきこんでしまった絶望に
女への疑惑も感じられたから。
あれほど職場の金を盗もうと執拗に主人公に持ちかけていた女は
よもや老人の箪笥預金に目をつけてはいなかったのだろうか、と
疑惑も持ち上がり、張りつめた緊張感で満たされたクライマックスには
なにひとつ見逃さないよう眼が釘付けになった。
それでも画面は寡黙で
主人公の表情も女の表情も
感情は抑制されていて
何事もなかったのだ、
ふたりは事件に関係はなかったのだと感じさせもするが
一方で疑惑と、人間の欲望の帰結の残酷さが尾を引いて已まなかった。
室内劇のような単調さもありながら
暗転と疑惑の余韻が心をざわつかせ続けていた。
主人公がTVで視る唐詩は映画に10~11篇登場していただろうか。
登場したすべての唐詩がわかり、
その意味も考慮したら
また別の理解、解釈が生まれるかもしれないと思いながらも観ていた。
唐詩を見つめる主人公と
詩の言葉は呼応するかもしれないから。
中国内ではほとんど上映されたこともないそうで、
唐詩についての情報はまだ得られていないけれど...
詩の象徴する世界が寡黙な映画に奥行、陰翳を与えている感も。
あるいは
「なんかわからないけれどいいな、という方が
映画はいいと思う」と張監督が話すように
このままそっとしておいたほうがいいかしら^^*
to be continued...!?
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