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テーマ:韓国!(16914)
カテゴリ:映画
朝鮮通信使のような公式の往来ではなく...
朝鮮通信使『李藝』を描いたドキュメンタリー 日本文化の美の源泉を また別の観点で ドラマチックに朝鮮半島との美の因縁として描く。 韓国の女優クララが高麗の女性役で出演。 あらすじ 秀吉(大森南朋)に切腹を命じられた茶聖千利休(市川海老蔵)。 妻宗恩(中谷美紀)にもついに本心を語ることはなかったが ふところに常にしのばせている緑釉の香合につらなる遠い想い人がいた。 それは高麗から来た美しい女性(クララ)。 茶の修行中、師匠となる武野紹鴎(市川團十郎)を通じて出会ったのだが... 山本兼一原作、田中光敏監督『利休にたずねよ』 (ソウルのムグンファ무궁화、別名 宗旦木槿、底紅。 日本では夏に茶花としてつかいます) 原作は1年ほど前に読んでいたが 映像化作品を観ることでまた違う解釈や理解が生じた。 特に茶道の原点、茶道等文化の源泉や深遠についてである。 そのひとつは 高麗の女性と若き日の利休が身を隠す海辺の小屋が 一畳半あるいは待庵を想起させる狭さとつくりであること。 (そう想起させるよう、あえて美術をそのように整えた可能性もあるけれど...) 読書の際さほど強い印象を持たなかったその小屋が 映画の中での姿、造型を通して 実は利休の茶室の原点だったのかもしれないと感じられた。 あたらしい利休解釈が興味深い。 もうひとつは楽茶碗の原型について。 学生時代裏千家茶道部に所属していたので 京都の樂美術館は学生の頃から時折訪れていた。 あめや長次郎は渡来人(朝鮮半島)の血と考えられていたこともあったらしい。 実は違うと知った後 楽茶碗は茶道で使用する茶碗にしてはめずらしく、 日本的なものなのかと思っていたが... 映画では手にしっくりくる茶碗の見本として 高麗の女がのこした緑釉の香合を長次郎に持たせ こんなふうに、と手で肌で感じさせている。 高麗のやきものの姿や造形をあからさまに写すのではなく (そのころから茶道でつかわれる器には朝鮮半島の器を模したものも多かったが) 手のひらを通して感触を通して 高麗の香合のエッセンスや性格、発想が楽茶碗に伝わり反映されている、 と受けとめられる描写だった。 美術の世界には文化の伝播には 明らかな模倣や写しではなく、 言語化も可視化も具象化もし得ない 手ざわりや感触から 緑釉の香合から黒楽茶碗に連なったひそかな美の水脈、因縁もあるのかもしれない。 目に見える部分ではなく 血となり肉となり一体となるような 有機的な美の伝達。 幽かな香だけを残して身をひそめた 美の転生の痕跡。 そんな痕跡が映像化されているようで余韻を残す。 そう考えると あたらしい茶室で あたらしい黒楽茶碗にたてた薄茶を本妻にさし出すとは 利休はなんと残酷なことかと思う。 ふところに常に忍ばせて愛撫していたであろう緑釉香合の手ざわりと心を写し 高麗の女を想ってつくった黒楽茶碗を 本妻の手に取らせ触らせようというのだから... 美の恐ろしさはこんなところにも截然と。 国境を越えた 美の感応、感化の物語。 一流の茶碗の数々、 今日庵のうつくしい露地等は眼福だが 茶釜の湯気の音も耳に残る。 鉄、銅の釜の湯気の響きと 秀吉の金(鍍金?)の釜の湯気の音は異なり、 釜の奏でる湯気の音それぞれの微妙な差異も演出の効果となっていた。 原作ではそのような印象はあまりなかったのだが 秀吉が藤吉郎の頃から 利休とおなじフレームに入る画、シーンが(少々作為的で)気になった。 高麗の女を象徴するような無窮花(ムグンファ、槿)も 多くのシーンで視野に入る。 演技の面では... 海老蔵はやや瞬きが多い気がする。 冒頭海老蔵が袴をはらう所作、 父團十郎(紹鴎)とのやり取りで海老蔵がセリフを言い終わらぬうちに 團十郎がセリフをかぶせる様式、 團十郎の袖の払い方等... 歌舞伎らしい演技スタイル、体の動きなどがそこここにうかがえて興味深かった。 最後の場面の宗恩の歩き方は摺り足で 能楽を思わせた。 クララは可愛らしい笑顔が チョン・ジヒョンとペ・ドゥナを合わせたようにも見えた。 韓国のムグンファ、木槿の切手。 細川護煕、不東庵の器 余談ですが 映画の中では茶坊主、という言葉は出なかったなぁ(あとで調べよう)。 茶道部時代には 茶道の禅的な部分にもっとも関心があったので... 今日庵は関東の学生代表で伺ったかも... お家元が川床料理に全員をご招待くださったり、 思い出深く。 to be continued...!? buzz KOREA Click... にほんブログ村 韓国映画 にほんブログ村 映画 にほんブログ村 映画評論・レビュー にほんブログ村 韓国情報 にほんブログ村 K-POP にほんブログ村 Copyright 2003-2022 Dalnara, confuoco. All rights reserved. 本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は 著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。 無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、 表現や情報、意見、解釈、考察 ロジックや発想(アイデア)・視点(着眼点)、写真・画像等もコピー・利用・流用することは 禁止します。剽窃厳禁。 悪質なキュレーション Curation 型剽窃、つまみ食い剽窃もお断り。 複製のみならず、切り刻んで翻案等も著作権侵害です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Aug 26, 2021 04:45:28 AM
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