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テーマ:韓国!(16903)
カテゴリ:映画
あらすじ
高校生カップルチャオチャオ(バイ・バイホー)とリー・シン(エディ・ポン)は大学卒業後 とつぜんチャオチャオが切り出した別れ話により 北京と上海でそれぞれ5年間の離別期間に突入。 5年後にもしお互い独身だったら結婚しようと約束した期日をひかえたある日、 リー・シンからチャオチャオに電話が来た。 「おれ、結婚するよ」... 『ラスト・プレゼント』のオ・ギファン監督 『最後の晩餐/分手合約/이별계약/A Wedding Invitation』 (以下、映画の核心に触れる部分もございます) 別れの理由、 急に冷たくなったわけは難病だった... という急展開は 韓流ドラマ好きにはおなじみのクリシェclichéかもしれない。 だが 脚本を中国サイドが担当しているせいか 現代的な中国女性の描写や 現代中国カップル等身大の像が見えて興味深かった。 すなわち チャオチャオがダイヤのない婚約指輪、家も車もない求婚、 望みどおりのウェディングドレスのない結婚式はいや! と即物的に結婚式を考えている現代中国の女性像と セリフ上は表面上は重なっている。 チャオチャオがそう言ったのには実はほかに理由があるのだが... そのように結婚を考える女性が中国に多いという現実を逆手に取っている。 チャオチャオもそんな女性のひとりに過ぎなかったのか、 という固定観念、先入観、一般化からはじまる映画は 中国女性にとっては耳の痛い部分もあるかもしれない。 映画では詳細な描写はないが 両親が台湾出身という設定のリー・シンは おそらく共産党幹部の父親などは持っていないだろうし、 ゆえに、強力なコネもなく 裸一貫でのし上がるしか 愛する女性を経済的に満足させることは不可能。 現代の中国で流行しているという対決番組などで優勝し 実力で三ツ星シェフの座を獲得する以外にない。 中国では料理のできる男性との結婚を望む女性も多いが、 その一条件、一芸としての料理が象徴するものが 単に女性ウケがいい結婚の条件のひとつというだけではなく、 リー・シンにとってはもっと切実な 立身出世の手段になっているかもしれないところが 中国男性が料理が出来て結婚相手に喜ばれるという一般的な構図以上の 複雑な背景を感じさせもした(深読みし過ぎているかもしれないが...)。 結婚にお金の大切さを求める現実的な現代女性と 料理が出来る結婚向けの男性という ありきたりな現代カップル像の背後に、 それぞれ秘めた別の事情が隠されている二重性、皮肉さが 中国社会のリアルを際立たせていて興味深かった。 中国の娯楽映画をすべて観ているわけではないので断言はし難いが 両親が台湾出身という伏線があらためて興味深い。 大陸だけでなく大陸外の中華(華僑)圏(台湾、香港、マレーシア、シンガポール等)での リリースも当初から視野に入れているもよう。 さらに... 台湾企業の方と中国出張に行った時 「中国の人から台湾の訛りがあるとまた指摘された」 と何度かぼやいているのを聞いたので... エディー・ポンの台湾訛りがあるとしたら、 それをフォローする設定という可能性も考えられる。 リー・シンの母親役林美秀も 台湾等のTVドラマに出演する台湾の女優なので そういったバックグラウンドが 中国と台湾の昨今の経済的協力体制とも相まって興味深かった。 ヒロインの女子友、毛毛(ジアン・ジンフー)のキャラが良いアクセント。 ツイスターのシーンでは (リー・シンにドキッとするんじゃない(*♥д♥*)!)と一喝したくなるほど いろいろスキのある、愛すべきキャラ。 LGBTな、ゲイな登場人物が中国映画ではちょっと新鮮かもしれない。 チァン・ウェン『さらば復讐の狼たちよ/譲子弾飛』にも EXILEのような風貌の部下がトランスジェンダーな発言をする場面もあったけれど... 中国映画の表現の変遷の一端ではあるまいか。 (「タイから来たのかよ!」と毛毛に憎まれ口を叩く一般男性の描写等、 現代中国におけるLGBTな人への態度などが リアルに再現されているのかどうかも興味深かった) 以上に記したように 台湾、ゲイといった開かれた表現が 韓中合作の産物なのか 中国映画の変化、表現の自由度の変化なのか (これまでの中国映画観賞歴がそう多くはないので断言し難いが) いずれにせよ、興味深く印象に残った。 中国では『クラウド・アトラス』以上の観客を動員したらしく 朴大統領が中韓合作映画の成功例として本作について言及するなど、 興行成績がすべてではないが 今後の合作モデルケースの一つとなり得る可能性も。 韓国の監督が中国の女優を美しく、 心の襞をていねいに描写して撮る事例としても 一つ新たに加わった感も。 韓国映画監督、中国女優の系譜。 ホ・ジノ監督チャン・ツィイー主演『危険な関係』 キム・テヨン監督タン・ウェイ主演『晩秋 レイトオータム』 ちなみに チョン・ジヒョン、キム・スヒョン主演SBSドラマ「星から来たあなた/별에서 온 그대」は 中国大陸はじめ中華圏・中国語圏で大人気。 韓国で放送された約4時間後(午前2時以降!?)には中国語字幕がついて ネットTVで放送され 中華圏・中国語圏で同時に10億人以上が視聴していた時もあったそう。 その별그대(별에서 온 그대)は中国で映画化の予定。 映画化された暁には ドラマ人気から推して 今作以上の成功例になる可能性も考えられる。 中韓間のコンテンツ開発、コンテンツ再利用等の行方も興味深く (別途記事作成予定)。 映画製作のビジネス的な側面での中韓交流だけでなく エディ・ポンがインタビューで現場について 「韓国の映画制作陣は俳優とスタッフの意見を尊重してくれる」と語り バイ・バイホーは 「監督はとても自由で感情が豊かな方でした。 監督は俳優たちの自信を高めてくれます。 うまくいったら“よかったよ”と言ってくれて、 感動的だと監督まで泣きます。 終わりのほうでエディが私にプロポーズする場面では 監督がかなり厳しく何度も撮った覚えがあります。 何度も撮影して、 撮るたびに監督が来ては頭を下げて”妻のことを想い出しますね...” と言って涙を流していました」と語っていた通り、 相互の心の琴線に触れるような現場の人的交流は 映画共同製作の実績以上の宝になるのではないかとも。 北京の胡同の風景は 古い恋、ひっそりと長く続く恋を象徴するようで なかなかステキなロケーションだった。 ユ・アイン主演『カンチョリ オカンがくれた明日』の釜山ロケと比べると あるいは『007 Skyfall』と比べても 日常の延長の北京と上海がさらっと視界をよぎる風情で、 フィルムコミッション、ロケーションの比重がそれほど高くないような あっさりした印象も。 映画の音楽の一部は 『オールド・ボーイ』の作曲家イ・ジスが担当、 『危険な関係』同様、主人公の想いなどをエンディング曲で語る 香港等中華圏映画特有のスタイル、映画の話法、映画文法を 韓国人作曲家が共有し 音楽のテイストも獲得して ローカリゼーションに韓国スタッフが適応して創作したという感慨。 ルイ(ペース・ウー)のファッションは セレブお嬢様のクールビューティーなエレガンスが表現され、 その雰囲気やスカートの丈まで!ここ数年韓国ドラマ等でも 主流のテイストを醸し出す。 衣装・スタイリングも韓国スタッフが担当。 エンドクレジットを見ていると 協賛等に中国を代表するIT企業が連なっているのが目を惹く。 (中国の現代映画を頻繁に鑑賞しているわけではないので 最近の、現代を舞台にした映画も同様の状況かもしれないが...) 動画共有サービスYouku(優酷網/优酷网) マイクロブログアプリWeibo(微博) (WeChatも映画の中で使われていたかしら...!?) 検索サービスBaidu(百度)など。 韓国版ポスターのチャオチャオは 目元が「国民の初恋」スジを想起させてよい感じ♡ やはり初恋は人生の重石ですね(きっぱり!)。 『コールド・ウォー』続編での ジョー(エディー・ポン)の演技にまた期待がかかる。 to be continued...!? buzz KOREA Click... にほんブログ村 韓国映画 にほんブログ村 映画 にほんブログ村 映画評論・レビュー にほんブログ村 韓国情報 にほんブログ村 K-POP にほんブログ村 Copyright 2003-2025 Dalnara, confuoco. All rights reserved. 本ブログ、サイトの全部或いは一部を引用、言及する際は 著作権法に基づき出典(ブログ名とURL)を明記してください。 無断で本ブログ、サイトの全部あるいは一部、 表現や 情報、意見、 解釈、考察、解説 ロジックや発想(アイデア)・ 視点(着眼点)、 写真・画像等も コピー・利用・流用・ 盗用することは禁止します。 剽窃厳禁。 悪質なキュレーション Curation 型剽窃、 つまみ食い剽窃もお断り。 複製のみならず、 ベース下敷きにし、語尾や文体などを変えた剽窃、 リライト、 切り刻んで翻案等も著作権侵害です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Mar 3, 2024 04:38:29 PM
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