カテゴリ:小説の話
■読みましたよ^^発売日に購入して、すぐに読むなんて相当のミーハーですね。 でも面白かった。今回はよかったです。「1Q84」とはだいぶ違いました。 ■昔の村上春樹が戻ってきたかのような小説です。 個人的な体験を内省的に書く春樹ワールド全開です。 もっとも物語は三人称ですし、殺人事件が起きたり、フィクションばりばりの内容なのですが、それでも、個人的で内省的です。 ■まず主人公が受け身です^^ 「色彩を持たない」と書かれていますが、要するに、意思を表しないわけです。だからいつも周囲に動かされ振り回されます。 煮え切らない、イライラさせる主人公像は、まさに春樹ワールドですな。 そのわりにまわりをよく観察して、気の利いた比喩で表現します。何とも小憎たらしい^^; ■その主人公を動かすのが、主に女性たちです。彼女たちは、欲望に忠実で、どういうわけか主人公に好意を抱き、近づいたり離れたりします。 動かない主人公と、動き回る女性たちという構図で、物語が展開するのは、いつもの通りですな。 ただ、今回は、女性に促されて、一応、主人公は行動しています。 こうした探偵小説風の枠組みも、村上春樹がよく使う手ですが。 ■青年期の喪失というテーマは、この作家が繰り返し描いてきたテーマです。 妙に社会に枠を広げずに、潔く、個人的な狭い世界に絞ったことに、好感を持ちました。 今回は、その喪失の意味を大人になった主人公が、理解するために探究の旅に出ます。 村上春樹の物語世界に慣れた人なら、実に馴染みやすく、魅力的な内容となっています。 ■おきまりになった「精神を病む美少女」も出てきますし、奇形も出てきます。ホモセクシャルもありますし、音楽へのこだわりもいつもの通りです。 魅力的な比喩表現もばっちりですし、適度に謎が解決されないままに終わるのもいいですね。 まさに、ザ・村上春樹です。 こういう小説をこれからも読みたいですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
April 13, 2013 12:33:36 PM
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