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夜に入って、なおも続くぞ更新ラッシュ(爆)
前回で、ほぼ結論は出してしまったわけですが・・・「図像的講釈」としては実はこれからが一番面白いんですよ。 前回「ピエタ」の話をしたとき、出し惜しみしてしまったミケランジェロの「サン・ピエトロのピエタ」。生涯に4体のピエタを作ったという彼の、最初の作品です。 全体を支配する、密度の濃い静けさ。もう言葉を失いますね。これもぜひ一度は現地で見たいものですが・・・ さて皆さん、死せるイエスを抱いて祈っているこの女性は、いったい誰でしょう? そんなの決まっているじゃないか、とおっしゃるでしょう。まず99.9%の方が「聖母マリア」と答えるに違いありません。この彫像のあまりの有名さのために、「ピエタ」といえばイエスの遺体を抱いた聖母の図像であるという固定観念ができあがってしまったのも、当然かもしれません。しかしボッティチェリの絵画のところで書いたように、「ピエタ」は単にイエスの死を悼む人々を描いた図像の総称で、登場するのは群像であってもいいし、あえていえば聖書に記述がない聖母マリアは登場しないという「ピエタ」も存在し得るのですよ・・・おまけに、当のミケランジェロは、この女性が聖母マリアであるとはどこにも書いていないのです。 よく指摘されることですが、この「聖母マリア」の顔があまりに若々しく、美しく作られているのには驚かされます。もちろん彼女は永遠の処女ですから「マリア様は年を取らないのだ」と言ってしまえば反論できませんが(汗)それでも他の作者たちの描く「ピエタ」や、前出の磔刑図などに描かれた聖母は、たしかに気品にあふれ、美しくはありますが、やはりそれなりの年齢を感じさせる描き方をされるのが普通です。そう考えると、この女性は、年齢層だけから考えれば、「もうひとりのマリア」のほうに近いことになりますね。 聖母マリア、といえば、トレードマークは青いフード付きマント。この像ではたしかにマントは着ていますが、彫刻だけにその色まではわからない(汗)その一方では、マグダレーナのほうもマントやフードを着た姿で描かれるケースもあるのですから、これも「聖母」である決定的証明になりません。 それに・・・注目してください。イエスの地に付いた右足、その少し手前の部分。女性のマントの裾がまくれあがって、足のつま先が覗いてますね・・・素足ではないようですが、凹凸が表現されていて、薄い布製の靴か、言ってみればタイツみたいなものを履いてるようなつま先です。マントのまくれ具合はどうも不自然で、何だかこの女性が(ということは、ミケランジェロが)わざとつま先をチラリと見せているように感じられませんか。 もちろんこれだけでは、この女性が聖母マリアに見えて、実はマグダレーナであるという根拠にはなりません。はっきりナマ足とわかるならともかく(汗)・・・また、ルネサンス期にはラファレロなどの聖家族像などに、素足を見せた聖母像もちゃんと出現していますから。・・・けれどもひとつの可能性として、これが実は巧妙にカモフラージュされたマグダレーナであるという可能性は否定できません。 ところで、ミケランジェロが生涯に4体の「ピエタ」を作ったと書きましたが、そのなかで「サン・ピエトロ」に次いで有名で、それに劣らずすばらしいのが、死の間際まで彫り続けていた絶筆?「ロンダニーニのピエタ」です。 いかがでしょう。未完成で荒削りのノミ跡がかえって作品の迫力を増すかのような、壮絶な作品ですね・・・ぬけがらのようになったイエスの遺体、彼を立たせて、天に引き上げようとするかのように抱きかかえる背後の人物・・・イエスとの身長差を考えると、やはり女性でしょう。丸い頭の形を見ると、やはりフードをかぶっているようですね。しかし・・・さて、マントは着てるのでしょうか? 女性の足元を見てください。身長の差を補うために、岩の上のような足場に立っているようですが・・・これ明らかに素足のようですね。はいてるとしたらそれこそタイツ(汗)・・・しかも膝から上の未完成部分を考慮すると、あるいはもっと上まで剥き出しかも(汗汗) そう思ってみると、彼女のフードのこめかみのあたりから垂れ下がって、イエスの肩、そして彼女の腕に沿って彫り残された岩塊が目にとまりますね。これは完成したら何になるはずだったのでしょう? あるいはミケランジェロの脳内では、それはフードからこぼれ流れ落ちる、ウェーブのかかった金髪(色はわからないとしても・汗)であったと類推するのは果たして不謹慎でしょうか・・・ さて、この続きは今夜じゅうにUPできるかどうかわかりませんが、もはやナマ脚がどうのといったレベルの話ではなくなりますので、乞うご期待(あるいはお覚悟を)、なんちゃって(汗汗汗) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.11.14 00:29:57
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