知られざる大傑作に迫る
義父の葬式以来、脳内で鳴りまわってた音楽が、やっとこ形になりました(汗)たぶん、これをお聴きになる方のほとんどは、はじめて聴かれる曲だろうと思います。モーツァルトの中では宗教音楽というのはあまり大きなウェイトをしめていませんし、ただでさえ宗教曲なんて抹香臭いというイメージなのか、クラシックの中でもどちらかというと人気のないジャンルですしね(^^)モーツァルトの宗教曲で有名な、といえば、暗い伝説を背負った未完の「レクイエム」や、短くも珠玉の名品「アヴェ・ヴェルム・コルプス」でしょう。どちらも最晩年の作品ですが、今回手がけた「大ミサ」は、オペラでいえば「フィガロの結婚」などと同時期の、いわば創作力の絶頂期の作。「大ミサ」というのは、もちろん規模が大きいという意味でもありますが、ミサ通常文の5章、「キリエ」「グローリア」「クレド」「サンクトゥス」「アニュス・デイ」の全部を音楽化したのが「大ミサ(ソレムニス)」で、最初の2章だけの簡略版が「小ミサ(プレヴィス)」・・・ところがこの素晴らしい作品がなぜあまり聴かれてないのか、というと、実は未完成作品で、お聴きいただいた「キリエ」のあと、「グローリア」「サンクトゥス」は完成してますが、「クレド」は最初の部分のみ、「アニュス・デイ」は全く書かれていません。しかし残された部分のスケールや内容から考えて、もし全曲完成していたら、「レクイエム」をしのぐ規模の、彼の宗教音楽を代表する傑作になったことはまちがいないでしょう。全曲を通じて、独唱パートはほとんどオペラ・アリアかと思えるような華やかさをもっているのが特徴で、さすが「フィガロ」と同時期の作だな、とうなずかされます。今回お聴きいただいた「キリエ」でも、中間部の美しいソプラノのメロディは、原曲では独唱で歌われるんですが、MIDIでは声楽のソロだけは再現不可能(泣)なので、ここではボーイソプラノ風にしてみました。こんな難しいパートを完璧に歌いこなす少年合唱団があったらすごいですね(^^;A・・・しかしそのおかげでとても新鮮な印象をもつ演奏ができたと思ってます。もしできれば、ほかの部分もやってみたいとは思ってますが・・・その前に、オルガン曲とコンチェルトだな・・・(汗)