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テーマ:映画館で観た映画(8351)
カテゴリ:洋画(な行)
原題:EDEN A L'OUEST 監督:コスタ・ガヴラス 出演:リッカルド・スカマルチョ、ジュリアンヌ・コーラー 鑑賞劇場 : TOHOシネマズららぽーと横浜 フランス映画祭2009公式サイトはこちら。 <Story> エリアス(リッカルド・スカマルチョ)の旅は美しいエーゲ海から始まった。 不法入国者とともに貨物船に乗り込み、希望を胸に、密入国を企てたのだ。 しかしその旅は、裏切りのために一転、苦渋に満ちたものになる。 故国を離れ、アイデンティティーを失ったエリアスが最後にたどり着いた街は、夢の中に何度も現れた輝けるパリだった……。 (フランス映画祭2009公式サイトより) <感想> この秋、全国のTOHOシネマズで行われる、 「フランス映画祭2009」アンコール上映企画 の一環。 来年春に行われる「フランス映画祭2010」のプレイベントとして、4本の作品を順次上映していきます。 この4本の中では、『未来の食卓』だけが鑑賞済み。 当時チケットも即完売が多くて、なかなか取れなかったので、せっかくの機会ですので2本鑑賞してきました。 "社会派の巨匠コスタ・ガヴラス監督が描く、現代の『オデュッセイア』"というキャッチフレーズがついていて、なるほど。。。と納得。 (とは言っても『オデュッセイア』を大幅に短縮したエピソードではあるのですが) 自身がギリシャ生まれで、19歳でフランスに渡り、映画監督として成功して現在に至る彼には、きっとこの作品は原点であり、描きたいとずっと温めていたテーマのように思える。 今年は移民を扱った映画が多いという印象がある。 先日鑑賞した『正義のゆくえ』、 『扉をたたく人』もそう。 この2本がアメリカ移民なら、本作品は複雑化するヨーロッパ移民を取り上げている。 ギリシャから移民船に乗ったものの、途中で裏切りの気配を感じて海に飛び込むエリアス。 移民船からの上陸者は彼以外にいないところなどは『オデュッセイア』なのでしょうか。 流れ着いた場所も何ともロマンチック、リゾート施設の「エデン」のヌーディストビーチ。。。 ここから彼の放浪が始まって行きます。
それにしても「芸は身を助ける」んですね。 彼がフランス語を勉強していたことが結局は危機を脱するポイントにもなる訳ですから。 そして彼に対して差し伸べられる救いの手の数々のエピソードも、まるで夢の世界のようにちょうどいいところですっと出されてくる。 彼の真面目な気質がそうさせるのだろうか。 本能的に、手を差し伸べられるべき人間に彼が入っていくのはきっとそんなものがあるのだろう。 彼に旅支度をさせたハンブルクのマダム、途中で彼を商売に参加させた小鳥屋のソフィー、ヒッチハイクのトラックの運転手、パリのカフェのオーナー、パートナーの形見のジャケットをあげるパリのマダム。。。 いずれ劣らず温かい眼差しがこの映画の救いになっている。 そうかと思えば、随所で登場する彼への試練と、移民政策の徹底ぶりが、否応なしに現実を見せつける。 サルコジ政権になってから、それまでの労働力補強政策を一転させて、密入国取締りを強化させているフランス。 フランス人が移民に対して持つ複雑な感情も、最もと言えば最もなお話である。 夢破れてもなお、富める国を目指して行く人々は、そこで待ち受けていることが何かも知らずにがむしゃらに進んでいく。 そしてたどり着いた先でも、夢がないと生きる希望さえも見出せない彼らの切なさも沁みてくる。 ファンタジーと社会問題を融合させた良作でした。
今日の評価 : ★★★★ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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