5036919 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

DF文書の作成者に連絡して、問題を解決してください。

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

ニューストピックス

バックナンバー

2024/04
2024/03
2024/02
2024/01
2023/12
2010/02/17
XML
カテゴリ:水のメモ
■31兆円の地方公務員人件費には無駄がある!


地方公務員の総人件費は2009年度で31兆円であった。

私が以前、地方公務員の人件費問題について調べていた頃、驚いたことが3つある。

1つは、高卒公務員の生涯賃金は4大卒(どころか6大卒・院卒)の生涯賃金より高いこと。

もう1つは、できない人ほど得をする「無能天国」というべき実態があるということだ。

どちらも、民間企業の感覚ではとても考えられず、とても驚いた。


そして、まるで社会主義の失敗部分だけを集約したような「悪平等」システムだ。


国民が公務員のあり方に関心をもつことは大切だと思う。

しかし、それが単なる公務員妬み、公務員バッシングに終わっていないだろうか?


今回は上記3点を中心に公務員人事システムの異常さを私なりに考えたい。



■なぜ高卒公務員は院卒公務員より生涯賃金が高いのか?


公務員の職員比率は大卒:専門卒:高卒=5:1:1の比である。

大卒の中でも、特に院卒(6卒)は稀少な存在だろう。

院卒・6卒の公務員を採用するのは、高度な専門性を必要とする業務があるからだ。

たとえば、医師、歯科医師、獣医師だったり、法律の資格者などである。

彼らは専門業務にとどまることなく、事務処理能力も身につけて、ジェネラリストとして将来は課長、部長など指揮官になる。

たとえば医師なら市立病院長、保健所長。
獣医師なら動物センター長、農林部長。
法律職なら総務部長、法務部長、税務署長などになるだろう。

一方、高卒公務員で課長になる人はあまり多くなく、ほとんど係長どまりか万年主任も少なくない。

しかし、この2者の生涯賃金は、一般的にいって高卒>院卒であるという。

勤続年数が違うとはいえ、係長ましてや主任で終わった人の方が、課長で終わった人より生涯賃金が高いというのは、まず民間では考えにくい。

民間企業では、主任(ヒラ)と課長では天地ほどの職責の差があるからだ。

どうやら、これは公務員独特の「悪平等」の賃金体系に原因があるらしい



■高卒公務員と大卒(院卒)公務員の生涯賃金


過去の記事でも指摘したが、高卒の24歳と院卒(医師・歯科医師除く)の24歳はほぼ同じ給料で、さらに昇格しても給料がほとんど変わらない。

そうすると、勤続年数が長い分、高卒公務員が生涯賃金で有利になる。

ごく簡単なモデルで説明しよう。(参考:「平成20年地方公務員給与の実態」)

・高さん(高卒・無資格)
18~60歳の42年勤務。この間の平均年収は500万円。

高さんの生涯賃金:500万円×42年=2億1000万円

・院さん(院卒・法律資格者)
24~60歳の36年勤務。この間の平均年収は550万円。

院さんの生涯賃金:550万円×36年=1億9800万円


院さんの方が生涯賃金が少ない。
高さんと院さんの平均年収に、ほとんど差がないことが重要なポイントだ。

これは一般的な民間企業では考えられない。

なぜ公務員では、高卒と院卒の給料に差がないのだろうか?



■地公の部長級とヒラの月給差はたった8万円!?そのカラクリとは・・・


「平成20年地方公務員給与の実態」の中に興味深いデータがある。

大卒の部長級(勤続35年以上,50代後半)の平均月収は489,380円
高卒のその他職員=要するにヒラ(勤続35年以上,50代後半)の平均月収は409,810円

なんと、部長とヒラがたった8万円しか差がない!?
というか、50代ヒラが41万円ももらっているのか!?

これに対して
民間では大卒の部長級(57.2歳)の平均月収は654,200円
高卒の非役職(57.5歳)の平均月収は306,900円である。

平成20年賃金構造基本統計調査より

民間では同じ歳でも部長とヒラでは倍以上の差がある。
どう考えても、これが正常だろう。


しかし、「平成20年地方公務員給与の実態」から換算すると

30歳の高卒公務員の月給は約22万円⇔民間高卒は23万円
30歳の大卒公務員の月給は約23万円⇔民間大卒は28万円

40歳の高卒公務員の月給は約35万円⇔民間高卒は27万円
40歳の大卒公務員の月給は約38万円⇔民間大卒は41万円

50歳の高卒公務員の月給は約38万円⇔民間高卒は28万円
50歳の大卒公務員の月給は約41万円⇔民間大卒は46万円

公務員と民間企業の給与比較


グラフからも明らかなように、民間と比べ地公は、明らかに高卒が貰いすぎている。

一方、大卒の比較では全世代を通じて民間のほうが5万円ほど高く、まず妥当だろう。

普通、民間の感覚なら「昇格してるのならば月給5~10万円ぐらい差があるのでは?」とも考えるだろう。

だが、ここに公務員の「万年主任」のうま味がある。

それはヒラや主任は「残業代がつく」ということだ。

たとえば主任が一日1~2時間(月2-30時間)残業するだけで5万円前後になる。

さらに、課長などの役付の基本給と管理職手当が民間より安い(課長クラスで3~5万)。
そして管理職になったら残業代はつかない。

この残業代が付くか付かないかというトリックで、万年主任と課長の手取りに差がつかないのだ。


要するに「公務員は仕事の大変さと給料がリンクしていない」という結論になる。



■「何もしない」「無能」が公務員では一番得をする


いうまでもなく、公務員は非営利・中立が原則である。

積極的に経済利益を取りにいく機会が少ないということでもある。

公務員にとっての利益とは「公益」に他ならない。

つまり、地域や市民の利益を確保するということだ。

ところが、これが実践するとなると、なかなか難しいようだ。


例えば、消費生活センターのようにクレームや相談の電話を受け付ける課があったとしよう。

ここで、成功する方法は民間のように「クレーム対応技術」でも「専門知識」でもない。

役所で成功したいなら「電話を取らない」ことだ。

なぜなら、電話を取れば、怒りに狂った市民に対応しなければならない。
役所のいうことが正しくても、絶対納得しないモンスター市民もいる。
そうするとトラブルになるし、あること無いこと人事課に通報されるかもしれない。

かくして、電話を取った彼はマイナスの評価になる。

ところが、電話を取らない人、簡単な電話しか対応せず、難しいことは他人に回すということを続ける人はもめ事も少ない。

すなわち、マイナス評価はつかない。

かくして「何もしなかった人、無能で何もできなかった人」が一番持ち点が残るのである。

無能の烙印を押され、ヒラのままでも、結構な給料が減ることはないのだから、彼にとって問題はない。

気の毒なのは真面目に仕事をしてきた人だ。
真面目にやってストレスをため、ミスをして叱られ、それでも得るものは皆無に等しい。


さらに悪いことに、マイナスが少ないため、無能の人が昇格してしまうこともある。

他の職員は無能な上司が上に付いたら、さらに多くの負担を強いられる。

例えば無能な人間が課長になったら、その役割を係長や主任が代わりに負わなければならない。

まじめにやった結果が、出世が遅れ、出世しても給料は上がらず、役職以上の負担を強いられる。
これでは踏んだり蹴ったりだろう。

こういった事態は、公務員の徹底した減点評価法による弊害であることは疑いない。

だから公務員の多くが「事なかれ主義」「何もしないのがよいい仕事」になるのだと思う。


まさにお役所は「無能天国」なのである。



■「無能天国」お役所にメスを入れ、10兆円の血税を取り戻せ!


私は役所になんでもかんでも「民間の感覚」を持ち込むべきだとは思わない。

民間の感覚が、巷で言われているほど優れているとも思わない。

民間のシステムはなるほど効率的かもしれないが、あくまで営利優先であるからだ。

これは時として「公益」と反することがある。


しかし、高卒ヒラが院卒部長より有利だったり、何もしない人が得をする「無能天国」の地方公務員はあまりに異常だ。

これを効率的にするだけで、かなりの税金を節約できるだろう。


とにかく、なにをさておいても「悪平等の徹底排除」が至上課題だ


無能、無気力、軽い責任、単純労務に対しては低い評価と対価で十分。

逆に真に有能な人たちを活用するため、公益主義者で、責任感があり、専門技能・知識がある人には正当に評価と対価を与えるべきだろう。


もちろん、1年や2年で急に公務員人件費31兆円を減らすのは不可能だろう。

いまは、単純労務職(現業職)が構成する自治労が与党・民主党の支持団体だからなおさらだ。

しかし、日本の財源には限りがある。
子供の数も減って、将来的にはGDP、ひいては税収の減少も避けられない。

だから、来年とは言わないが、10年後には25兆円、20年後には20兆円というように段階的に公務員人件費を削減してゆけたらいい。

地公システムの改善で、無駄に支払われている10兆円の血税を取り戻し、もっと大切なことに使わなければならない。


一方で、高齢化社会、地域共同体(助け合い社会)の崩壊の時代を迎えて、役所はさらに効率的な組織にならなくてはならない。


人件費と組織効率化、これを同時にかなえるには、国民が賢明である必要があるだろう。

だから

「不当に高い給与を貰っているのは誰か?」

「なぜ、公務員は事なかれ主義なのか?」

「システムの問題点はどこにあるのか?」

「市民のためになる人を埋もれさせていないか?」


こういったことを深く考えずして

「オレたちの税金で給料をもらっているくせに!」

とか

「公務員の仕事なんてバカでもできる!」

などといった単細胞批判を繰り返しても全然生産的でない。


むしろ議論を混乱させ、時間稼ぎの余裕を与え、自治労など公務員組合への利敵行為になるだけろう。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2010/09/02 10:55:15 PM
コメント(6) | コメントを書く
[水のメモ] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
別の画像を表示
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、こちらをご確認ください。


 頭を疑う県職員を憂う。   宮崎男児 さん
このサイトを見て書きたくなった。つい昨日ことであるが松江城のある県庁に、他県ではすぐに見つけられるホームページ中の「福祉のまちづくり条例」がどこに貼ってあるか電話で県庁に問い合わせた。都市計画課職員につながったがまったく条例さえ知らず答えられない。その内担当課がわかり障害福祉課の落ち着いた職員に転送された。「こんにちわ」と電話口で挨拶するが無言、さらに「こんにちわ」と挨拶を交わし用件を伝えた。「県のホームページのどこに貼ってありますか?」高齢社会・バリアフリーのまちづくりは各自治体のメイン政策である。しかし職員は条例さえも知らないようである。あなたは県職員かと確認したら「そうだ」と答える。なぜこんな簡単なことを知らないの?、と聞くと折り返し電話するという。今知りたい、と云ったら調べ初めて同時にホームページを見ながら先に見つけてしまった。ところが彼は違うところを案内し始めたのでここにあるよ、と注意したら、ようやく彼も発見できた。ここで、こんな大事な条例を知らないなんて、担当課はなにもやっていないの?と聞くと無言である。40歳以上の落ち着きである。彼を採用しているのは誰だろう?上司は誰だろう?云ってやった。身分保証・収入保証で公務員の仕事を頼んでいるのだ。いろいろな批判があるなかで何も思わないのか?、と苦情を言っても電話代・時間の負担はこちらで「ちょっと知らなかったのですから・・」の返答に呆れるだけである。ここ以外にも能力・モラル劣化の事例は驚く程経験するのであった。 (2010/05/20 08:00:26 PM)

 Re:頭を疑う県職員を憂う。(02/17)   眞鍋かとり さん
宮崎男児さん

役所が縦割りで、主管課がはっきりしない部分もあるのでしょうが、ずさんな対応といわざるを得ないですね。
私も自分の仕事で問い合わせに即答できないことはありますが、相手に失礼がないように心がけています。
その点の配慮がどうも見えてこないのが「いろんな非難」に繋がっていることを役所のトップは自覚すべきでしょう。

(2010/05/20 11:14:59 PM)

 Re:「無能天国」地方公務員の人件費30兆円にメスを!(02/17)   プリンパイ さん
すごい共感してしまった町職員です。まさにそのとおりで否定のしようがないです。ただ、ひとつ今はなかなか時間外が小さな自治体ではもらえないところが多くなっています。だから、骨折り損のくたびれ儲けって若手が多くなっています。財政上の理由で採用抑制も多くなってきています。現場としては偉くなっても責任を取らない管理職や、変に社会にいったん出ている大卒よりは高卒のほうが使えますよ。若いうちだけですがね。 (2010/08/19 08:21:21 AM)

 大卒高卒ではなく   眞鍋かとり さん
プリンパイさん
私は地公、国公の友人がいるので、プリンパイさんがおっしゃるような働き損の実態もあると伺っています。
公務員も労基法の適用なのですから、法令遵守の見本にならなければならない役所では超勤不払いがあってはなりません。
私が本稿で言いたかったのは「フェア」の一言につきます。
使える若手、有能、有望な若手は大卒・高卒に拘らずフェアに評価すべきだし、そういうモチベーションが生まれる役所でなければ人件費削減、費用対効果など絵に描いた餅でしょう。
せめて先輩・上司たるプリンパイさんが激励してあげてください!と、納税者の一人としてお願いし申し上げます。

(2010/08/21 11:53:37 AM)

 一部は本当に「無能天国」   マツコ さん
この記事が書かれたのは,かなり前のようですが,これは本当に頭の痛い現実なのです。
私は地方公務員ですが,上司が絵に描いたような「無能上司」です。ある事情により公社から中途採用された上司は,登記以外,全く何もできません。しかし,公務員の横並び出世で今は課長補佐という役職につき,毎日何も仕事をせず(できない),周囲に迷惑をかけながら過ごしています。
しかし,懲戒を受けるようなことさえしまければ,このまま
管理職へと上がっていくでしょう。彼のような職員は,ほんの一例で,このような職員が何人もいます。
税金で給料をもらっているのに,仕事のできない人間に「職」を与えている「施設」という,ありえない現実があるのです。 (2010/11/24 10:45:02 PM)

 Re:一部は本当に「無能天国」(02/17)   眞鍋かとり さん
マツコさん
>この記事が書かれたのは,かなり前のようですが,これは本当に頭の痛い現実なのです。

そうですね。私は地公、国公双方の、それも町役場から公立研究所まで様々な立場の知人友人からこのような話を聞き、問題提起しなくてはと記事にしたところです。

たとえば現業職はエセ同和やエセ人権団体(在日支援団体など)が圧力をかけて、むりやり役所に雇用を作り出した性格があります。
その結果、働かないが高給取りの公務員(現業職)が出てきた。
彼らは既得権益と組織のバックに守られて働かないのですから、しわ寄せは真面目な現業職の人や他の一般職が負ってしまいます。ゆゆしき問題です。

ただ、現業職の既得権益は自治労の支持政党である民主・社民が倒れればなんとか崩すことができますが、行政職にまで病巣が広がっているのは看過できませんね。

私は今の役所では、優秀で厚志な役人が冷遇されすぎ、逆にダメ役人が優遇されすぎていると常に感じています。

私のように話を聞いている者を除いて、国民は公務員をあまりに十把一絡げで見がちです。
現場の人はもっと声を上げるべきです。
(2010/12/16 12:41:12 AM)


© Rakuten Group, Inc.