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テーマ:読書(8219)
カテゴリ:読書
「わかぎみ」永井路子著。 江戸時代に材をとった8編収録。 「わかぎみ」。 大阪落城の後、秀頼の遺児?を預かることになった京極家家中の侍・梁瀬新兵衛の妻おののが、ひとなみなことが何もできず、魯鈍なわかぎみの世話をするうちに、奇妙なその少年に愛情を感じてゆきます。 同時に、淀君の妹で京極高次の妻となり、京極家の陰の実力者として同家を支えた常高院お初の戦国女性らしいしたたかさも描かれています。 「母子かづら」。 子町娘で美男の婿をむかえたものの、夫に借金を残して女と駆け落ちされ、その後、小間物屋を一人で切り守りして、後家暮しを続け、一人娘を大切に育ててきた主人公。 その娘が、彼女自身と関係ができた出入りの行商人とまさかの駆け落ち。 「夢の声」。 藩の儒学者として、主君に重用されてきた学者・伍藤謙斎の娘美緒の結婚は、難航します。 婚期の贈れた娘と学者の間に異常な生活が。 「海の月」。 たがいに交渉を持った男女。 奔放な主人公と、彼女と一緒に暮らしている男性の生き方~男と女の間のふしぎなつながりを描いています。 「海から来た側女」。 藩の財政を一手に処理していた有能な武士だった夫が浮気を始めたため、賢婦と噂の高い妻は、海女出身の女を側女として家に入れたことから起こる騒動。 夫は、その後放蕩のあげく、藩の米を売り払い、その金を持ち出して、側女とともに行方不明に。 が、それは、藩の財政を救うためのひそかな策だったのです。 息子が、行方を探し出し尋ねてゆくと、乞食同然に暮らしている父がいました。 藩の為…この時代の武士は理不全ですね。 「大きなお荷物」。 父親の病によく効く薬を手に入れたいと願った百姓が、そのせいでゾウの世話をさせられることに。 将軍吉宗お気に入りのゾウ~この大きなゾウの世話と扱いに幕府も困っていたのですね。 「ミサンサイ物語」。 時は幕末。殿サマの命令で藩内になる古い天子さまの陵墓を修理することに。 莫大な費用がかかります、殿サマは何を考えているのか。 殿サマは、陵墓の周囲の大きな堀を整備することで、100年の大計を考え、領内の水不足を解消しようとしたのです。 が、その2年後、幕府は崩壊。 殿サマも廃藩置県で領地は取り上げられてしまうのです。 「声なき村からの便り」。 一人の行者に会ったことから不思議な力を持った娘が、多くの病人を治し妖女とみなされてしまいます。 地頭の邸に引き立てられ、恋人まで捕らえられてしまいます。 娘は彼を助けるために、自分が妖術使いであると白状し、それに続いて、村人も次々と妖術を授けられたと白状します。 恐怖と狂気が渦巻く中で、呪われた村は荒廃し、誰も住むものが亡くなったのです。 ちょっとホラーのようなお話です。 久しぶりに読んだ永井路子さんの本。 やはり、面白い。 また、「北条政子」とか読みたいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022.08.24 23:59:46
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