日本を天皇が利用された時代に戻すな
秋篠宮家に親王が産まれ、天皇の後継者ができたことになりますが、天皇家が皇室典範改正で世間が騒然としたのに対応したなのでしょう。皇室典範改正は一次休戦になりましたが、現状のままでは天皇家は衰退してしまいます。 男系天皇だけで皇統が絶えなかったのは側室制度があったからです。昭和天皇は女子の誕生が続き、男子に恵まれなかったときに、側室を勧められたそうですが、それを断ったそうです。戦後には側室制などは論外の社会になりました。 女性皇族は結婚をすれば皇族から離れるので、男性だけで皇族を守るのは物理的に不可能であるという指摘は間違っていません。皇族に男子が産まれたのは41年ぶりだというのもその現れでしょう。 男系天皇を主張する人たちは旧華族を復帰させ、男系天皇を守ろうとしているようですが、アナクロニズムとしか思えません。象徴天皇制で許される皇族の範囲は天皇と直系である宮家だけです。華族を復帰させるのは論外です 男系天皇を主張する人たちの多くは万世一系である天皇、2000年の歴史ある皇室と主張しますが、歴史的事実と余りにも懸け離れています。神武天皇のY遺伝子を男系皇族が受け継いでいるのを論拠としてが薄弱です。 神武天皇が存在したとして、神武天皇のY遺伝子が重要な意味を持つとは思えません。例えば中央アジアの男性の7%くらいがチンギス・ハーンのY遺伝子を受け継いでいるという研究結果もあるぐらいです。 Y遺伝子はX遺伝子に比べて小さく、情報量は非常に少ないことが知られています。Y遺伝子は人間を男性化させる遺伝子を活性化させるスイッチの役割を果たしています。男性でも両親から半分ずつの遺伝情報を受け継いでいます。 戦後生まれには天皇は日本国の祭祀を司る祭司であると説明された方が分かりやすいのですが、天照大神、卑弥呼も女性ですし、伊勢神宮の斎王も内親王が勤めています。古代では女性が祭祀を司っていたのではないでしょうか。男性社会になり祭祀を司る祭司が男性、巫女が女性と役割分担したのではないでしょうか。 天皇が日本国の祭祀を司る祭司ならば、女性天皇が祭祀を司ってもおかしくはありません。国際的に見ても男系に限る王室は極く少数です。平成の皇室は男女同権が相応しいと思います。皇室も時代と共に変わるべきでしょう。 皇室典範改正論議が深まると共に、戦前の皇室を回顧する政治勢力が政治の表に出てきました。戦後教育を受けた世代の中にも復古調の人たちが意外と多くいました。憲法改正論議と皇室典範改正論議が複雑に絡み合ってしまいました。 保守派は憲法改正を機会に天皇を国家元首にしようしていますが、危険な政治の流れだと思います。天皇を戦前の現人神にしてはいけません。日本国憲法、象徴天皇制は先の戦争で亡くなられた人たちの血で贖われた法制度だからです。 天皇家が国民にファッションとして受け入れられるのは構いませんが、現人神である天皇を政治勢力,軍部が利用した時代、戦前に日本を戻してはなりません。瀬戸キリスト教会 HP