|
カテゴリ:カテゴリ未分類
研修医制度が義務化されてはや8ヶ月が経った。旧来の研修制度とは違い、国家によって義務化された、という点が一番の違いなのだろう。それぞれの病院にも拠るのだろうが研修の内容が180度変わってしまったなんてことは考えにくい。旧来の内容を少しずつ改変し適応していっている病院が大半のはずだ。
そもそも研修とは何なのだろうか。医学部に入り6年間の修業年限を経て国家試験に合格し医師免許証が交付されると医師として認められたことになる。その後は保健所に行き健康保険を使って医療行為ができる保険医の登録をすませることとなる。「医師」と「保険医」の登録が無事に済んだら殆どの通常医療行為が可能となる。「IVHは研修終了後3年間は禁止」とか「虫垂炎手術は見学・介助を卒後10年以上の医師の監督下に最低限20件こなすこと」なんてことは当然法令には書かれていない。実際には現場での上司やその病院の裁量によってできる仕事が徐々に増えていくといっていいだろう。結局、初心者マークが付いているからといって「ドリフト禁止」とか「高速道路禁止」なんていうことはない運転免許証と同じようなものだ。免許が交付されればその日から車を運転することができる、ただそれだけの制限なのだ。 運転免許と医師免許は違う、しかも医師は命に関わる職業だから研修が必要だ……ともいわれる。確かにそうだろう。しかし初心者マークで暴走する車も、医師免許取りたてで手術をする医者も同じレベルでしかないように思うのだ。あなたが日頃絶大なる信用をおいて診てもらっているお医者さんも最初は駆け出しのヒヨッコだったはずだ。研修義務化によっていったいどんな変化が起こるのか、今は答えが出ないだろうし出せないだろう。しかし決して研修制度の義務化が患者さんのためになっているとは思えない。 「研修を義務化しました」「だから医療ミスは減ります」「患者さんも安心して医療を受けられます」 こうしたお題目を唱えるためだけに研修を義務化させてはならないと思うのだ。内容が伴って初めて研修制度は生きてくる。形骸化してしまう前に、いったい誰が何のために研修を義務化したのか、そのあたりを考えてみる必要があるのではないだろうか。単に医師だけの問題ではない。患者さんもこの義務化の影響を直接被るわけだから、真摯な眼差しでこの大きな改革を見つめ続けてほしいのだ。よりよい医療を求めるにはいったいどうすればいいのか、病院だけでなく患者さんも共に考えていかねばならない日がもうすぐそこに来ているのだから。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2004.12.14 13:46:57
コメント(0) | コメントを書く |
|