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ある内科医の独り言

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2005.05.26
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田舎の病院で内科をチンタラとやっていると、どうしても処方が多くなる。別に「今日の治療薬2004」みたいな薬辞典の本に載っている薬をすべて暗記しているわけでもなく、使い慣れた薬や使ってみたら良さそうな薬などその判断は僕の一存にあるわけで、リスクファクターなどがなければ必然的に数種類の薬で済ませてしまうことが多い。

たとえば高血圧なんかにしてもCaブロッカーはもちろん、ACE/ARB/α・βブロッカー/利尿剤など薬効分類だけでもずいぶんの数があり、さらに同効薬でもいろんなメーカーから発売されているので数え上げ出すときりがなくなってしまう。結局使い慣れた薬や売れ筋の薬を使うようになってしまうのも納得いただけるだろうか。

こうしてみると「今日のおかずはキンピラにしておきますね」みたいな感覚で薬を処方しているように思われるかもしれない。しかし一応医家向けの薬品には違いないので取り扱いには注意していただきたい。僕もその旨を十分患者さんに伝えているつもりなのだが、それでも薬の誤用や誤飲は後を絶たない。

『薬を倍量飲んだ』とか『飲むのを忘れた』なんかはまぁ対処できうる範囲なのだが、『まちがって1週間分飲んでしまった』とか『1週間飲んでません』なんてことになってくると色々面倒になってくる。前者はともかく後者の場合、飲まなくても体調が維持できているんだったらそれでいいのでは?すなわちせっかく処方したが無駄だったのか……orzと自己嫌悪に陥ってしまうこともある。

まぁ、こうした薬の誤用誤飲はありふれた光景なので特にお話しするまでもないのだが、やっかいなのが以下の2つだ。

1.他人の薬を飲む

これはヤバイ。できれば避けてほしい。なんせ何を飲んでいるのかわからないからだ。「同じような薬だから」と思って家族や友人の間で薬が行き交うようだが、実は全然違う薬という場合もある。また飲み合わせがだめだという場合もあるだろう。薬はあくまでもその人の病状を診て処方しているので、決して他人の薬を安易に飲むことはやめていただきたい。責任とれません。

2.誤用する

違う病態で飲んでしまう薬というのはまま経験する。たとえば、風邪を引ひいて頭が痛かったときに近所の病院で自分に処方された薬。「痛み止め」と薬袋に書いてあったのだが結局使わずに治ってしまった。しかし最近おなかが痛くなってきたのでしばらくこの「痛み止め」とやらを飲んでいたのだが一向によくならない。どうしたものか……。

頭痛に対して処方される薬はNSAIDなどの消炎鎮痛剤が一般的だが、腹痛には抗コリン剤などの鎮痙剤が処方されることが多い。同じ「痛み」であるにせよ頭痛と腹痛は違う病態なので効果がない。潰瘍などの病気であればむしろ悪化する場合すらある。特に西洋薬などの特化した薬品にはこの傾向が強い。むしろ漢方薬などの方が意外に効いたりする。

いずれにせよ、薬というのはその人の病状などをみて一応「プロ」が判断し処方するものだ。いちいち病院に行くのはめんどくさいと思うかもしれないが、薬で体をこわすことほど勿体ないことはない。薬なんて飲まなくても治る病気だったのに体や病気にあわない薬を飲んだせいで命を落とすなんてばからしい。

ここは一つ、押し入れの中にしまってあるような怪しげな薬の処分をおすすめしておきたい。皆さんもこうした薬の一つや二つは持っているだろうから。






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最終更新日  2005.05.26 09:44:26
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