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2006年02月21日
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カテゴリ:読書感想
さっそくですが、書店で帯を見た限りの(勝手)な想像。

図書館戦争


「図書館が戦う?」ってことは絶対無敵ライジンオーみたく司書長(そんな役職あんのか?)がメダルをパチッと机にはめこむと黒板がスクリーンになって、教卓が制御盤になって図書館の閲覧室が戦闘司令室に早代わりして、戦闘司書(何それ?)が掃除用具入れロッカーのシューターから巨大ロボに搭乗したりして悪の組織と戦うに違いない!
いやいや、図書館自体が巨大ロボに変形するってのでもいいぞ!ワクワク。



という無謀な想像(←妄想だ)を抱きつつ読み始めた「図書館戦争」
案の定、全然違う内容でした(←当たり前)
ハードカバーだけどライトノベル。
乙一のGOTHは読んでもそんなライトノベルとは思わなかったんだけど、これはもう、ずばりライトノベル。
通常は文庫で出すライトノベルをハードカバーで出版するあたり、この作品の(というか有川浩の)メディアワークスの意気込みが窺えます。

まあ、ライトノベルの定義自体あやふやなんですが、この作品については、アニメや漫画のイラストを使ってるのをライトノベルとするなら当てはまらないし、キャラクターを中心として作られてるのをライトノベルとするなら当てはまる、そんな感じです。
ちなみにラノベとは何?という方はこちらをどうぞ。ライトノベル(byウィキペディア)



───公序良俗を乱し人権を侵害する表現を取り締まる法律として『メディア良化法』が成立・施行された現代。
超法規的検閲に対抗するため、立てよ図書館!狩られる本を、明日を守れ!
敵は合法国家機関。相手にとって不足なし。正義の味方、図書館を駆ける!

笠原郁、熱血バカ。堂上篤、怒れるチビ。小牧幹久、笑う正論。手塚光、頑な少年。柴崎麻子、情報屋。玄田竜介、喧嘩屋中年。

この六名が戦う『図書館戦争』、近日開戦!


という景気のいい出版社の煽り文句につられて、おまけに(冒頭の)アホな妄想まで沸いて出たので即座にゲットして読んだわけですが。
読んだ感想としては、長編のはずなのに、作中いろいろ起こった事件がそれぞれ複雑に絡み合い、最後に全ての伏線が収束してすっきり、ってなことはなかったなってのが一つ。
どっちかっていうと、短編を長編に繋ぎました的な感じ。連作短編でも良かったんじゃないか?
まあ、だから駄目駄目というわけじゃなく、キャラの掛け合いは楽しいです。さすがライトノベル、キャラ立ちまくり。

た~だ~し!大きな問題点を挙げるとしたらずばり、その世界設定のリアリティのなさ。
ありえねえ!( ̄□ ̄;)!!的なことばかりで説得力がいまいちでした。
メディア良化法っていう悪法による強制的な検閲に、図書館側が組織だって武力で対抗って極端すぎんじゃないの?まあ100歩譲って仕方ない対抗措置だとしても、あっさり武力が認められる世界っておかしくないか?文民統制って言葉はどこいった。
メディア良化委員会と図書館の戦闘は超法規的措置がとられてて死人が出ても罪には問われないってのも、なんだかなあ。
あと、主人公達の本に対する思い入れが(まあ主人公についてはちょっぴり語られてますが)あんまり書かれてないので、なんで主人公達が命をはってまで戦闘してるのかが分からない。単なる戦闘マニアでもあるまいに。
と、この辺でひいちゃったら、確実に最後まで読めなくなりそうです。

ですがまあ、それはそれとして割り切っちゃえば、登場人物たちのャラの会話は軽妙だし、ノリと勢いでさくさく読んじゃえます。作者後書きによれば、月9連ドラ風に楽しめる(笑)

ただ月9連ドラ風という割に、主人公の郁が憧れの王子様に出会うことなく終わっちゃったのが残念。
どうせなら「ええっ?まさかあなたが私の王子様?」ドンガラガッシャーン!(←驚きの効果音)ぐらいあってもよかったのに。
というか、本音としては、正体がばれた王子様の慌て振りとか、その後のツンデレぶりが見たかったんだけどな~。ちぇーっ。

ちなみに、堂上とか手塚あたりでキャラ萌えも十分できる作品ですが、私の一押しは大人な魅力(笑)の玄田で決まり。亡国のイージスでも如月より仙石曹長に燃える(萌えじゃなく)ので、仕方ないよね(笑)

と、割り切って楽しく読んだとしても、ちょっと残念なのが、敵のメディア良化委員会がはっきり描写されないのでいまいちラスト、悪い奴をやっつけた~ばんざ~いってなカタルシスがないとこ。
ここまで無茶な設定なんだからいっそステロタイプのラスボスがでんと構えててもよかったんじゃないかと。特に、後書きにあるように戦隊ものを意識したんならね。

と、ぐちゃぐちゃ不満は書いたものの、キャラ小説と割り切って読めば、しっかり楽しめます。重くなりすぎるのは嫌って人にはお勧め。
あと、いろいろ(王子様の正体が郁にばれたり、郁が両親ともめたり、堂上と小牧の出会いのエピソードだったり、手塚の家の事情だったりといった)伏線が投げっぱなしになってるので続篇ありかもしれません。
とりあえず、続編出たとしたら、速攻読んでるに1000ペソ。←安い。

ちなみに、感想を読ませていただいた素敵サイト様はこちらです。
怪鳥の【ちょ~『鈍速』飛行日誌】 ねがてぃぶな日々 
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最終更新日  2007年10月08日 09時37分01秒
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