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あれこれ備忘録 ホスピス医のこころを支えるもの

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粗忽のたかびー

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2023.01.02
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カテゴリ:緩和ケア

老いと孤独の作法 (中公新書ラクレ) [ 山折哲雄 ]

死に関して調べものをすると、この人の名は欠かさずでてくる。元日、朝日新聞のオピニオン欄の記事を私なりにまとめた。

覚悟を語るとき欧米系のリーダーは、旧約聖書の一節、いま我々は死の陰の谷を歩いているが、神がいてくれるから恐れずに進んで行こう、を使う。
それで、小泉純一郎にそれに匹敵する言葉かないか聞いたら、『ないな』と答えた。
その後、改革をめぐる綱引きの場で、『自分は死ぬ覚悟で取り組んでいる』と伝えており、それだよと思った。
覚悟とは仏教用語で、『迷いを去って道理を悟ること』という意味。迷いをもたらす最たるものは死であろう。
覚悟が死と結び付くようになった原点は平家物語であろう。
源頼政が平家に追討されて死を覚悟し、西を向いて念仏を唱え、歌を残し切腹をしたエピソードがそれに当たる。
思想的な意味で転機になった書物は江戸時代、山本常朝の『葉隠』で、『武士道とは死ぬ事と見つけたり』の一説で知られる。戦のなくなった太平の世で、武士が主君に忠誠をどう尽くすか、それを強調するのに死が注目された。
庶民の世界にまで死と覚悟を結び付けた価値観を定着させたのは、近松門左衛門の『曽根崎心中』。女性が男性に『死ぬる覚悟が聞きたい』と尋ねる場面があり、仏教の文脈から離れた新しい言葉としての覚悟が出来上がってきた。
葉隠の思想は、先の戦争中に、また切腹自殺した三島由紀夫に、死の覚悟を促すために使われた歴史もあり、命の軽視にも繋がる恐れもある。
しかし、葉隠の冒頭には『浮世から何里あろうか山桜』という俳句が掲げられている。
武士の理想が実現できない状況下で、隠者脱俗の世界で『勝てないけれど負けない』生き方があることをも示している。
人生100年という超高齢化時代は、老いや病を抱えた時間、死を意識する時間が、今までよりも長くなる。死をどう覚悟するか、覚悟をどう考えるか問われる時代だ。





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Last updated  2023.01.02 06:14:15
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