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テーマ:ニュース(99464)
カテゴリ:経済
日経平均株価はついにバブル後の最安値圏に突入した。27日の東京市場はメガバンクが揃ってストップ安となるなど、またもや総崩れとなって486円下げ、当面の底値の目安と見られていたバブル後最安値(03年4月28日、7607円)をあっさり割り込んで7162円で引けた。 これは1982年10月7日以来26年ぶりの安値水準という。26年前なあ… 子育てが始まったばかりで右往左往してた頃だなあ。無茶もたくさんしたけど、若くて元気いっぱいだったなあ、…なんて個人的な感傷はまあいいとして、日経平均はたった4営業日で2100円あまり2割強暴落したことになる。これは先進国中最大で、今回の金融危機の震源地米国をすら遙かにしのぐ深刻さだ。 日本経済は欧米に比べ、サブプライムローンの傷は浅いといわれてきたのだけれど、市場の関心が金融危機から実体経済の落ち込みに向かうにつれ、そんな気休めは吹き飛んだ。内需をヨレヨレに疲弊させて輸出主導で稼いできた日本経済の脆弱性が、ここにきて決定的な弱点として露呈したということだ。輸出先は軒並み深刻なリセッションで購買力が低下、まして1ドル90円なんて為替レートで稼ぎがたたき出せるわけはない。市場の評価は、まあちょっと行きすぎじゃないの…とは思うけれど、方向としては妥当というほかない。 政府はまたもや、金融機関への公的資金注入やキャピタルゲイン(株式取引益)減税、さらには企業会計における時価評価原則の凍結やらBIS基準(銀行の貸し出し限度を規制する国際基準)の適用緩和など、ん?それってルール違反じゃないの? ってインチキ気味のも含め、なりふり構わぬ対策を打ち出しているが、極端に輸出に傾斜した日本経済のいびつな体質の転換に手を着けない限り、解決は望めない。それは、生活習慣を改めずに、バナナだけで健康なダイエットが成功するわけないのと同じだ。 規制緩和路線は、国際競争力のある大企業を育てることを意図して徹底的に国内コストをカットした。若者をはじめとする労働者の一群を低賃金の不安定労働とワーキングプアに追い込み、正社員は過労死に追い込まれるほど絞り、働けなくなった高齢者は切り捨て、健康保険や年金を頼りがいないものにし…等々が強行されたわけだが、それは巨大独占企業に空前の利益をもたらす一方で、総じて国内市場を狭隘にすることを意味した。ま、国内で売れなくても、海外で売れればそれでいいと割り切ったのが、小泉竹中流グローバリゼーション規制緩和路線と言うことだ。 だがいま、その海外でメイドインジャパンが売れる見込みは全くない。といってふり返っても、国内市場はまるで焼け野原ではないか。政策がやるべきは、まずこの焼け野原に種をまき、水をやり、緑を取り戻すことなのだ。労働者の待遇を改善し、福祉や教育に金をかけること。多少時間はかかっても、それ以外に活発な内需を復活させ、日本経済を健全に蘇らせる手段はない。 いまこの瞬間、日本時間の10月28日午後11時半時点で覗いたNY市場は、寄りつきでいきなり先週末比200ドルあまりドスンと下げたあと、逆に100ドル近くの上昇に急反転し、今はマイナス50ドル前後でもみ合っている。こうした乱高下はまだ当分続きそうだが、こんなゼニゲバ大国の動揺に律儀に付き合いしないで済む堅実な経済社会を建設することをこそ、政治はめざすべきなのだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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