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環境・平和・山・世相 コジローのあれこれ風信帖

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2010年07月27日
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 またも山岳遭難の救助中にヘリ事故で乗員5人が死亡との報が飛び込んできた。また…というのは、昨年9月のこと、奧穂高岳のジャンダルム付近の稜線で遭難した登山者を救助しようと接近した岐阜県所属の防災ヘリが墜落し炎上、3人の乗員が死亡した事故を指す。このブログでも書いたのでよく覚えているのだが、そういえばあの後、業務過失致死容疑での捜査結果はどうなったのだろう。ともあれ、起きてはならないことがまた起きてしまった。


 今回は奥秩父の古礼沢での沢登り中に滝壺に転落した女性の救助が目的だった。事故原因の究明はまだこれからだが、これまでの報道によれば、強風やガスなど出動がためらわれるような気象条件ではなかったらしい。昨年9月の現場は3000mの稜線、今回は両側を尾根に遮られた谷底で条件は全く違うが、地形の複雑さが気流を不安定にしている点は同じだ。そこに見た目の天候からは推し量れない危険が潜んでいたのではないか。

 さて、遭難者の方だが、パーティーは東京都勤労者山岳連盟が加盟山岳会から横断的に集めた沢ネットのメンバー9人。リーダーは同連盟の理事長だった。ここからは半分推論混じりの話になってしまうのだが、中高年の登山ブームが話題になって久しい。生涯山岳自然を楽しむ人が増えるのは結構なことだが、逆に言えばそれだけ若者が山から遠ざかって久しいということでもある。

 多くの社会人山岳会でも困難な岩や滝や冬山の登攀に挑んできたクライマーに跡継ぎはなく、経験と年齢を重ねた中高年クライマーたちが、今も細々とアルピニズムの火を繋いでいるというのが現状だ。昨今のブームで山はたしかに賑わっているが、人が多いのは誰でも歩ける安全な登山道ばかりで、かつてあれほど若者が熱中し殺到した穂高滝谷にも人影はまばらだ。

 仮にやる気のある登山者がいても単独の山岳会ではパートナーを見つけられず、登攀パーティを組むことすら困難になっている。そうした中で、同連盟は沢登りの技術を次世代に継承するため、加盟山岳会からやる気のあるメンバーを募集して沢ネットを組織したのではないかと想像するのだ。同連盟のサイトで確認したところ、同ネットは沢登りの技術継承のための教室を開催するとともに、北アルプスの双六谷や南会津の谷など本格的な沢登り山行を企画している。今回はその沢登り教室の二回目の実技山行だった。

 沢登りは非常にリスクの高い山行形態だ。せいぜい100m程度の垂壁をよじる岩登りなら落ちることを前提に終始ザイルを繋いでいるが、km単位の距離を歩く沢登りでは少々危険なところであっても、いちいちザイルを繋いでいては時間が足りなくなるので、個々の力量を頼りに危険をきわどくかわしていくような所がある。バランスを崩して滝壺に落ちるなどはちょいちょいあるミスの部類で、通常なら落ちれば泳いで這い上がりまた登り直すだけのことなのだが、今回は運が悪かったのだろう。救助隊が到着した時点で女性はすでに心肺停止の状態だった。

 遭難した女性は55歳、リーダーの理事長が59歳。他のメンバーの年齢は不詳だが、女性は10年選手のベテランで、2年連続しての沢教室参加だった。パーティの技術の程度もコースの難度も分からないから、遭難の直接原因については何も言えないが、この年齢でリスクの大きな沢登りに果敢に挑戦するファイトには無条件に敬意を表したい。

 一般社会では定年に近い中高年パーティが無謀な沢登りで遭難。これに加え、救助ヘリの二重遭難という大迷惑だ。世間の囂々(ごうごう)たる非難が目に浮かぶが、登山はちんたら歩くだけがすべての貧困な世界ではない。困難に挑戦してナンボという先鋭な山登りだってあっていいのだと、もはやそんな山行に挑戦いたしかねるコジローは強く思うのだ。

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最終更新日  2010年07月27日 08時30分46秒
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