昭和19~20年の炭鉱・女性・青春・朝鮮人が出てくる未単行本化小説・堤千代「あと山さき山」(13)最終回
さて最終回20年3月号です。表紙絵タイトルは「防空敢闘」。空襲時や生活に役立つ体験談を募集してます。正直内容もこの二つが中心です。記事配分に関する考察はまた別項で。で本文最終回。読んで「都合のいい話だー」と思うかもしれませんが、そらそーです。婦人雑誌の大衆小説ってのは基本そういうものです。ただその「都合のよさ」というのは、当時「読者に望まれている」ことでもあったわけです。だとしたら、この話の中で鉱山とか半島出身者とかどういう位置づけだったのか、一つの参考にはなるんじゃないかと思うのです。それと、堤千代という作家が「伝聞によってしか情報を得られない作家」であったことも。彼女は自分で取材に行くことが叶わない、身近な情報を膨らめるストーリーテラーでした。また、自身が基本病床にあったことから、ともかく傷病兵や、怪我をした人達に最も寄り添える作家だったと思います。弱者目線です。できるだけこのひとの作品を紹介してから手放そうと思ってます。既に著作権切れてますのでテキストにするのもありなんですが、何せ量が多い。今後彼女の「自伝小説」も上げて行こうと思います。亡くなる前年あたりのものでしたし、あれは殆ど単行本が見つからないものでした。ので主婦之友を探してコンプリートしたんですが、知られなくては意味が無いんですね。こういうものは。ということで、一端幕。