板倉鼎 須美子展 千葉市美術館
2015年に、松戸の博物館で(美術館でなく)初めて板倉鼎が奥さんの須美子を描いた絵を見たとき、その衣装の赤がとても素敵でそれ以来、この画家に心惹かれています。松戸にゆかりのある板倉鼎・須美子夫妻はともに画家であり、エコール・ド・パリの時代にを発表しましたが、夫婦共に20代の若さで早世し、埋もれた画家となってしまいました。鼎の絵をよく見ると、キスリングを連想するような表現があって、生きていたらきっと藤田のようにエコール・ド・パリの日本人を代表する画家になっていたかもしれません。今回のチラシになっている「休む赤衣の女」は亡くなる直前の作品です。まず、目を引くのは赤い衣装。そして、左端の花束と右端の金魚鉢。その真ん中の窓の外に広がる海の光景。白いヨットが浮かんでいます。(須美子の絵にも同じような光景がありました)構図がしっかり固まっていて安定感を感じます。女の顔、どうも目の大きさがアンバランスだと感じていたのですが、キュビズムの影響を受け、異なる視点から描いたものだということが分かりました。抒情的な素敵な作品です。板倉須美子 ベル・ホノルル24須美子の絵もローランサンの描いたような少女の絵が特徴です。ルソーの絵のようにも見えます。素人だった須美子に鼎が手ほどきをしたのだそうですが、画壇では須美子の絵の方が人気があったのだそうです。二人の早すぎる死が惜しまれます。(5/2)