カテゴリ:読書
絵画修復師でも花師でもある佐月恭壱が主人公の美術 界ミステリー。表題作のほうは、冒頭いきなり、村山槐多の 詩からはじまる。ガランスとは村山が愛したあかね色のこと。 ちなみに村山は大正時代、22歳の若さで夭逝した画家であり 怪奇小説家。竹橋の国立近代美術館に私の好きな一点、バラと 少女がある。 さて、そんなことから、かなり興味深く読むことができた。大 正時代に活躍した画家のパリ風景の絵の下に塗りこめられたも うひとつの絵をめぐるミステリー。ただ、ケレン味たっぷりの 言い回しが心地よく感じると同時に、少々わざとらしく感じる 時もあり。 もう一作の「血色夢」は、洞窟の壁画修復と、分割された洋画 をめぐるストーリーがクロスしていく。ひとつの絵をいくつか に分割して、複数の作品を作る贋作の方法など、美術界の裏話 も楽しい。主人公を取り巻く登場人物もそれぞれ味があって、 今後の絡みが楽しみ。お約束のタイプばかりだが。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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