マティス展 東京都美術館
マティスの作品の変化を時代とともに確認することが出来るまとまった展覧会でした。最初に1,900年製作の「自画像」が登場。これがとてもいい味わい。まだいわゆるフォービズムの作風がみられる以前のもの。全体的に暗く重苦しく感じられる自画像だが、ところどころに原色のマチエールが見られ、のちの色彩の爆発の兆しが感じられます。有名な新印象主義の色彩分割の理論による「豪奢、静寂、逸楽」も見応えがありました。本家シニャックほど緻密ではなく、けっこう適当に描いているように見えますが、さすが巨匠マティスの作品。大画面でもまったく破綻がありません。自分はマティスの作品で好きなのは「赤いキュロットのオダリスク」のような1,920年頃のエキゾチックな室内画。絵としても見やすく構図と色彩のバランスが良く、落ち着いて眺めることが出来ます。後年の外の風景が眺めることのできる室内画もダイナミックな色彩が心地良いのですが、眺めていると心がザワザワとしてきます。むしろ、躍動感あふれる切り絵のジャズシリーズが楽しく眺めることが出来ます。最後に南仏ヴァンスのロザリオ礼拝堂の空間を撮影した映像が流れていました。マティスに限らず、シャガールにしろ、フジタにしろ、巨匠のステンドグラスがはめ込まれた教会は大迫力ですね。今回も時間の移ろいによって変化する光の差し込むさまがとても美しかったです。(6/15)