FANTA-G

　コミケや同人活動を長く続けていると、まるで２次創作が「認められたような」錯覚が時折あり、コメントでＭＡＤと同人の違いはナニよ？と鋭い質問に対して、「原典を直接使うか使わないか」の違い以外、明確な根拠が実はあまりないことに考え込んだり。

　で、改めて近年、同人業界において「２次著作であっても訴えられたりしたケース」を調べて見ました。

詳しくはこちらのＨＰがわかりやすいかと思いますが

　この中で訴えられる要素というのが見えてきます

1、販売数が多い、あるいは注目度が高い
2、キャラクターのイメージと極端にかけ離れている
3、市販品と区別が付きにくい、あるいは素材を流用している
4、同人を最初から認めない企業の作品
5、企業がこれから作ろうとしている製品とバッティングしている

　ではないかと。

　1、は例えば通販もあわせて５０００とか１００００とか、通常コミケにおいて大半のサークルが一冊の販売部数が２００冊以下である統計があることを考えると、確かに企業にとって「完全に趣味を越えた利権が発生している」って判断でしょうか。また、比較的同人に寛大な角川作品の同人ソフト「涼宮ハルヒの激闘」というソフトが、販売前に差し止めを食らったケースがありますが、これはネットやアキバでのデモであまりにも有名になりすぎた結果でしょう。

　*実際に販売していたそうで。訂正します。

　2、に関してはアンパンマンやドラえもん、といった幼児向けキャラをリアル＆バイオレンスに描いた同人誌＆同人ソフトが販売差し止めを食らったケースや、ポケモンのキャラの性的描写された同人誌です。「本来のターゲットである子供向けキャラのイメージを著しく損なうのと同時に、元々其の手の同人誌を買う層は最初から市場ターゲットに入っていないことから、差し止めをしてもファンの減少という実害がない」ことが上げられると思います。また、コナミはときメモブーム最盛期、Ｈな同人誌には何も言わなかったのですが手作りアニメでＨなビデオを販売したあるサークルを訴えたケースがあります。この辺は同じ企業でも対応差があるようで。

　3、に関して。これはドラえもん最終回を同人で描いたものが、あまりに上手すぎて本物として広まってしまったケースです。権利者の知らぬ間に同人が本物のようになってしまったという、出来がよいが故の問題でもあります。また、ゲーム内で音楽や効果音を勝手に使った（効果音にも当然権利が発生します）から訴えられた場合もあるので。データ吸出しも含め２次創作でも原典からのコピーはＯＵＴと考えるのが無難かと。

　4、は、そもそも同人を認めない、代表例はディズニーです。とくにディズニーは同人印刷会社組合が共通して印刷しない（何かあった際、印刷所にも責任が発生する）ようにしています。スクエニの「キングダムハーツ」の同人誌がないのはそのためです。また、同人業界と無縁でもかまわないキャラクター企業（任天堂など）や、ジャニーズなど実在の芸能人などの事務所は対応が厳しいと思われます。

　5、の企業とのバッティング、これはつい最近、初音ミクの抱き枕カバーを作ろうとした同人サークルが警告を受けた、というケースや、アーケードゲームの攻略ビデオを販売していたサークルが・・・などがあります。また、同人ではありませんがフリーで「もやしもん」のスクリーンセイバーを配ろうとした人が止められたケースもあります。つまり、企業が利益をこれから出そうという部分に踏み込んでしまった故の警告だと。

　こうして並べて見ると、同人の「危険水域」というのが見えきます。共通点として「企業の収益、イメージ極端に問題が発生しそうな場合」に重い腰を上げる、といったところでしょうか。

　おそらく大多数のサークルさんは「ウチは問題ない」と考えるでしょうけど、本当は権利者の采配一つです。２次創作である以上、絶対安心はありません。

　最近では企業によって「データを直接利用しない限り」「個人の趣味の範囲内において」という注釈をつけて２次著作を認めていたり、コミケそのものに参加している大手出版社、メーカーもありますが「２次創作は禁止」とはっきり明記している会社もあります。結局、私も含め２次著作同人というのは寄生でしかない以上、母体の邪魔にならないように注意をこちらが払うしかないのです。幸い、日本の企業は「今のところ」は寛大です。

　２次著作同人はどこまでいってもアングラです。