FANTA-G

　日本マクドナルドが定年制を復活 「成果主義」思惑はずれ若手育たず
　私の知っているゲーム企業では、ある年からそれまでの年功序列制度を見直した。そして社員を等級付けしている。で、その階級を上がるためには、課せられたノルマと、それに対する成果、そして、ランクが上がるためには試験を受けなければならない。この試験は、上に行くほど厳しくなる。たとえば英会話能力であったり、論文であったり、面接であったり、技能職であればいわゆる資格など。その試験に合格しない限り、ランクが上がらない限り給料が増えることはない。

　つまり、社員が上に上がるために業務とは別の「勉強」を強いられる。そこで這い上がってきたものが上のポストに行けるということ。

　で・・・ここからが問題なのは、何年もその試験に落ち続けたり、あるいはそのための勉強をしていないと判断された場合、通常業務をこなしていても「向上心がない」として降格がある、という・・・

　これはきつい。このシステムを考えた人はきっと優秀な人なんだと思う。「これが社員の向上心を鼓舞する」と思っている。きっと、本人もそういう事を勝ち抜いたがために「お前らもこういう努力しろ」というのが普通の考え方だと。

　結果どうなったか・・・

　その会社から大量の中堅社員が逃げ出した。そりゃそうだ。ノルマをこなしているだけでは降格や減給の可能性がある会社に何年いても、先に未来が見えない。社内試験のために業務以外の勉強をしなければならないのは、とんでもないストレスになる。だったら、これまで大手で培った実績を他の企業に転職という形で売ったほうが手っ取り早い。

　残ったのは、一部のエリートと、新兵、そして出世も昇給も諦めた社員ばかり・・・

　さて・・・この状況で何が起こるか？そう、完全な空洞化。それまでそのメーカーを支えていた技術とか、人的ノウハウというのがまったく伝えられる前に消えてしまって、その穴を埋めるために外部の企業の技術に頼るようになる。しかも、その外部の技術は以前のそのメーカーにあったレベルに達しないもの。品質を売りにしていたそのメーカーがもはや以前のような作品は作れず、評価がどんどん落ちる。過去の人気タイトルもブランドだけ被せた紛い物になり、固定ファンからも見捨てられる。

　そして、その会社の偉い人は言うのです。「残念ながら日本のゲームは技術的に劣っており、世界にまったく通用しない」と。

　こんな世界なんです。成果主義を日本に持ち込んだ企業の大半は・・・

　社員に献身だけを求め、報酬は成果主義という都合のいい形で削ったり、不安定にしたり。そんな会社に愛社精神など育つわけがない。

　会社に骨を埋める覚悟があればこそ、その会社に献身する。どんなに形ばかり正社員になっても、時給計算したらそこで働くアルバイトの方がトータルで給料がもらえる企業に愛社精神は生まれにくいと思うんですが・・・