「心の声」7、8久しぶりなので、あらすじも兼ねてます(笑)なぜか不思議な同居生活が始まった。 心の声が聞こえる私と彼と、 幽霊になっても死んだことが信じられない夫婦。 私と彼は、心の声だけでなく、 いつのまにか幽霊の声まで聞こえるようになってしまっていた。 研究所で、研究や訓練されていたせいかもしれない。 そこを脱走して、この夫婦の家に転がり込んだのだ。 夫婦には、家庭内暴力を振るっていた一人息子が居たのだが、 気がついた時には、もう家に居なかったそうだ。 私は、彼が両親を殺して、逃げたのではと思ったのだが、 この夫婦は激しく否定する。 もちろんそんなことは信じたくないだろう。 子どもを身ごもってる私だって、そんなふうに思いたくはない。 でも、知らないうちに夫婦二人とも死んでいて、 息子がいなくなっていたというのは不自然だ。 あまり追求すると、夫婦の機嫌が悪くなって、 この家に置いてもらえなくなるから、よしてはいるが。 彼はどう思っているのだろう。 いつもは彼の思ってることは、心の声として、 よく聞こえるのに、この点だけは分からない。 彼もまずそんなこと考えたくないのかもしれない。 私も彼も、親の愛に恵まれず、施設で寄り添いながら 一緒に育ってきたのだから。 お互い相手の心の声さえ聞こえればいいと、 言葉も必要としていなかったほど。 私は、彼さえそばに居てくれればいいのだ。 それでも、研究所で、母国語だけでなく、外国語も訓練されたから、 なんとか話せるようにはなったが。 二人の会話は口に出す必要がなくても、 夫婦に話すために必要だから、役には立った。 また、それとなく息子のことを母親に聞いてみる。 どんな子ども時代だったのかと。 母親は息子を溺愛していたようだ。 小さい頃の可愛さと、優秀さを褒めちぎる。 過保護と過干渉だったのかも。 父親は仕事に夢中で、 息子のことは母親に任せていたくせに、 息子が登校拒否でうちに引きこもると、 母親の責任だとなじったそうだ。 それでも、息子が母親に暴力を振るい始めると、 うちから逃げろと言ったそうだが、 母親は息子を見捨てるようで、出られなかったらしい。 父親だけに任せられないという気持ちもあったのだろう。 それまで関わってこなかったのだから。 でも、これがきっかけで、やっと関わりを持てて、 かえって良かったのだろうか。 息子がSOSを出していたのかもしれない。 息子がここに居たら、その心の声を私が両親に伝えられるのに。 両親の心の声も・・・。 今、息子はどこにいるのだろうか? 夫婦は自分達を殺したかもしれない息子のことを心配し、 成仏できないでいる。 死体さえもないということは、 誰かが死体をこの家から運びだしたということだ。 やはり他殺なのだろう。 夫婦は強盗殺人とでも思いたいようだが、 息子も殺されたのなら、一緒に幽霊になってるだろう。 でも、一体息子はどこに行ってしまったのだろうか? まさか、両親を殺した後、自殺でもしていないか? でも、それならば、ここの家で一緒に死んだ方がいいよね。 やはりどこかで生きてるのではないかと思う。 そんなこと、母親に言っても気休めになるかどうか分からないけど。 第一、息子が自分達を殺したとは思ってないのだから。 続き |